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所属チームのコーチの話②

 一軍と二軍の両方を担当していて、また杉森は三塁手で俺は内野守備のコーチとそこも合っており、都合が良いということで指名したのだろう。「面倒見がいいのであいつにしろ」と誰かから助言されたなんてのも、あるいはあるかもしれない。杉森は今年が一年目だ。監督からそんなふうに注目されているルーキーはどんな奴なのだと興味を抱いたのは言うまでもない。

「へえ」

 アマチュアのとき一度も名前を耳にしたことがなく、うちがドラフトで指名するメンバーのなかにいて初めて知ったくらいの選手だというのに、良い素材だなとすぐに思った。粗削りというのではなく、核の部分はできあがっているけれど、高卒の入団したてだから仕方ないのだが線がやや細いなど、フィジカル面で完成にはもう少し時間がかかるだろうなといった具合で、いずれ一軍でレギュラーを張るのは確実と感じるほどのセンスの良さだった。

 さすがは仁科さん、前の監督時代に務めた二年ともにチームをリーグ優勝に導いただけあって、情報量や目の付け所が凡人の俺なんかとは比べものにならないんだな、と感心した。

 さらに、そこまでは仁科さんもわかっていなかったんじゃないか、であるからこそよく見てくれと俺に言ったのもあるんじゃないかと思う、人間性に関しても、杉森はまだ十代なのにしっかりしているし、毎日遅くまで素振りをするなど野球に取り組む姿勢も立派で、欠点は探しても見つかるかなといった調子だった。

 こりゃ大事に育てなきゃと気を引き締めた、のだけれど——

「え?」

 驚いた杉森は俺に尋ねた。

「どうしてなんですか?」

「まあ、期待されているんだろう。頑張れよ」

「はあ……」

 彼は首を傾げたが、こっちだって訳を聞きたい。それは俺に限らず、周りにいる皆も一緒で、不可解とすら言えた。

 その、杉森の昇格の早さは。



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