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旅立ちの朝


エリオラは、新しい日の光が窓から差し込む小さな宿屋の部屋で目を覚ました。彼女は静かにベッドから起き上がり、昨夜の出来事を思い返した。聖女としての身分を捨て、ただの旅人としてこの宿屋に辿り着いたのだ。彼女の心はまだ混乱していたが、新たな一歩を踏み出す決意は固かった。

宿屋の窓からは、町の人々が朝の仕事に忙しく動き始めている様子が見えた。エリオラは自分もその一員になることを想像しながら、荷物をまとめ始めた。彼女は、これから先の旅路で必要なものだけを選び、それ以外は全て置いていくことにした。

宿屋を出ると、エリオラは町の市場へと足を運んだ。彼女は、旅の途中で必要となる食料や衣類を買い揃えるためだ。市場は色とりどりの商品で溢れ、人々の声が賑やかに響いていた。エリオラは、聖女としての過去を隠しながら、一人の女性として市場を歩いた。

彼女は、果物やパン、乾物などを手に入れ、小さな袋に詰め込んだ。そして、旅の途中で着替えるためのシンプルな衣類も購入した。エリオラは、これらの物資が自分を支える大切なものになると感じていた。

市場を後にしたエリオラは、町の外れにある小さな森へと向かった。そこは、彼女が子供の頃によく遊んだ場所だった。森の中には、彼女が昔、友達と作った秘密基地が残っていた。エリオラは、その場所で一息つき、これからの旅について考えた。

彼女は、自分がどこへ行くのか、何を目指すのか、まだはっきりとは決めていなかった。しかし、一つだけ確かなことは、もう二度と聖女としての過去に戻ることはないということだった。エリオラは、自分の心の中にある小さな希望の光を信じて、旅を続けることにした。

森を抜けると、広大な平原が広がっていた。エリオラは、その平原を横切り、次の町へと向かう道を歩き始めた。彼女の背中には、これまでの生活を捨てた寂しさと、未知の世界への期待が混ざり合っていた。

太陽が高く昇り、エリオラは一人、新たな旅路を歩み続けた。彼女は、これから出会うであろう人々、見るであろう景色、経験するであろう冒険に心を躍らせていた。そして、彼女は知らず知らずのうちに、自分の運命を変える出会いに向かっていたのだった。

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