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王都へ

二作目になります。休み中に書いたので支離滅裂な文になっているかもしれません。

優しい目で見てほしいです。

「やっと、着いたぞぉ〜」


僕は、冒険者証を見せて三時間ほど並ばされた王都の門をようやく潜り抜けた。


誰も文句を言っていないところを見ると、王都ではこれぐらいの時間並ばされるのはいつものことなのだと理解した。


昼過ぎに門まで到達すれば、遅いお昼は食べれるだろうと高を括っていた僕の目論見は脆くも崩れ去り、空きっ腹を抱えて門を潜り抜けた所にある広場を見渡すと、至る所に食べ物の屋台が出ており、どこも午後三時にも関わらず非常に混んでいた。


幸いにも日常の生活二ヶ月分ほどの安心して使える現金(とても金貨や大金貨は使えない)は、三年ほどの冒険者生活で手に入れていたので、よほど選り好みさえしなければ、幾ら物価が高くても一ヶ月位は大丈夫じゃないかと考えていた時期が僕にもありました。


「えぇ〜、肉串一本銀貨一枚もするの?」


屋台で親父に提示された値段は、僕の予想の遥か上の金額で、幾ら上等なミノタウルスの肉でも銅貨十枚の地方の都市では考えられない価格だった。


しかし、朝から何も口にしていない空腹には絶えられず、銀貨一枚を支払うと、百グラムにも満たない肉串をゆっくりと味わいながら、タレの一滴も零さないように舐め尽くした。


「ヤバい!ヤバイです。王都の物価を舐めてた。このままだと宿の値段はいったい幾らになるんだ....そうだ!困った時はギルドだ。ギルドに行って情報収集するしかない。」


僕が通りがかりの人に、冒険者ギルドの場所を尋ねると、なんだこの田舎者は?というような顔をしたが、銀貨一枚を渡すと、途端に笑顔となり親切に道を教えてくれた。


(都会って、ホントに怖いんだね)


それが僕の感じた王都の第一印象だった。


僕の名前はカイト。このカルタス王国の西の辺境伯領の中でも、更に西の果てにある魔の森と隣接するカタ村出身の十四歳の小柄な冒険者である。(身長はまだまだ成長期だから、今後はもっと大きくなることを期待している)


子供の頃から、村に魔物が侵入してくるのは日常茶飯事で、五歳を過ぎた頃からゴブリンやらオークを倒していたら、元々才能があったらしく、剣や槍や弓のスキルや、魔法のスキルが次から次へと生えてきて、十歳の頃にはA級冒険者証を手に入れ、村一番のハンターとなっていた。


中でも一番重宝したのは空間魔法で、空間庫(アイテムボックス)とも呼ばれるレアな収納魔法も覚えることができた。空間魔法は他にもいろいろと応用がきくはずなのだが、周りにそれを教えてくれるほどの知識を持つ人はおらず、村長に、もしも村以外の人間にバレたら、拐われて一生使い潰されるかもしれないと脅されてからは、極力人前では使用しないことにしている。村の人間でも知っているのは村長以外には数人しかいないはずだと思う。


そんな僕がどうして王都に出てきたかというと、村が一夜にして焼き払われたのが原因である。


僕が狩りから帰ってきて、村まであと五キロほどの丘に到着すると、村の方向の夜空が赤く染まっていた。その光景に一瞬身体が震えて固まったが、僕は全速力で村へと急いだ。


村の側まで来た時、中央の広場に十メートル以上はあると思われる巨大な翼と真っ赤な鱗を持つ魔物、最強の魔物の一つと言われている火焔竜が鎮座し、その巨大な口から放たれた炎のブレスが、周辺を燃やし尽くしているのが見えた。


その光景を見た瞬間、僕の心の中の何かが裂けて全身がカーっと熱くなったと同時に理性が弾けて、そこからの記憶は夢を見ていたかのようにあやふやなものしか残っていない。


気がついたら、村の中央の広場に立っていたのは僕一人で、傍らには首を切断された火焔竜とその頭が転がっていた。


正気に戻った僕は、村を隅々まで探し回ったが、見つかったのは、誰かも判別できない炭のように焼け焦げた遺体ばかりだった。家さえもまともな物は一つもなく、更地に焦げた数本の柱が転がっているばかりだった。


その日、僕は妹と両親という大切な家族と村の仲間達全てを失った。


まともな食事もできず、焼け跡に転がっていた僕を見つけたのは、たまたま魔の森へ狩りに来たA級冒険者達で、回復魔法をかけたり、ポーションを使いながら、辺境伯領の城砦都市のオンワセまで運び面倒を見てくれた。


当時十二歳になったばかりでまだ精神的に子供だった僕は、「どうして助けたんだ!どうしてあのまま皆と死なせてくれなかったんだ!」とどなり散らし、魔法や武術のスキルを使って暴れまわった為に、その都市から放り出された。本来なら牢屋に閉じ込められるか処刑されても仕方のないことだったかもしれないけど、僕を助けてくれた冒険者達はギルドに掛け合って、何とか僕を保護しようとしていたみたいだった。


当の本人にその気が全くなかった為に、その判断を覆すことはできなかったようだった。


都市を放り出された僕は、全速で街道や草原を駆け抜け、暮らしていた村へと戻り、大声で家族や村の人の名前を叫んだが、誰もそれに応えてくれるはずもなく、三日三晩叫び続けた僕は、村の焼け跡に土魔法を使って、巨大な石碑を造り、村の名前とそこで暮らしていた全員の名前を刻んでから、オンワセとは反対方向へと向かう街道へと足を進めた。


その当時の僕は、十二歳ということもあり身長も百三十センチ程度で(決してチビではないと思いたい)、髪はストレートの白に蒼い銀色の混じった色をしており、それを後ろでポニーテール風に纏めていた。自分で言うのもおこがましいが、顔もそこそこ整っており、一見は女の子と見間違うような外見をしていたと言って良いと思う。


そんな子供が一人で街道を歩いていれば、山賊ホイホイのように次から次へと奴らが襲撃してきて、その度に殲滅してお宝を空間庫(アイテムボックス)に収納していく毎日だった。お陰で対人戦とか一対多の戦闘にも慣れ、かなりの額の白金貨や大金貨を含めたお金や、いくつかの銘品を含む武器や防具等、かなりの数のスキルオーブを手に入れることができた。


僕のメインウェポンである斬竜刀の大太刀や、身隠しの外套、太郎丸と銘の付いた小太刀はこの時の戦利品で、他にも生活魔法や闇魔法、錬金術や鍛冶のスキルオーブは、既に使用済みである。


価値も低く使わないと思われる武器や防具は、行く先々の冒険者ギルドに寄付という形で預けていった。最初は胡散臭い目で見られていても、僕の提示する辺境伯領冒険者ギルド発行のA級冒険者証(ライセンス)を見ると、態度が一変し、素直に受け入れてくれた。


低級の武器や防具であっても、駆け出しの冒険者達にとっては、非常に貴重なもので、これだけでも新人の死亡率が下がるということもあり、本音は凄く有り難かったようだ。


一年ほどもすると、僕のランクはS級へと上げられ、史上最年少のS級冒険者として、地方のギルドの間ではかなり名のしれた存在になっていた。

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