力の一端
ピーンポーン
とチャイムの音が鳴る。
「はーい」
ドアが開き爽やかな声がする。
「いらっしゃい」
「こんにちは」
「あ、そちらの方があの?」
「うん。ミィ。」
「ミィと申します。今日はお招きいただきありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそありがとう。作戦を思いついたのも君なんだよね」
「微力ながら力になれたようでよかったです」
そんな話をミィとアレンがしているときに私は別のことを考えていた。
家がでかい!!
家が大きいのだ。
とても家が大きい。
私の実家も大きかったけど、それと同じくらい大きかった。
「ねえ、ここに1人で住んでるの?」
「うん。1人だよ」
その時ミィは少し顔をしかめた。
「どうしたのミィ?」
「いや、何でもありません」
「とりあえず上がって欲しいな」
家の中に入っていく。
「お、お邪魔します」
「どうぞ」
もう玄関だけですでに広かった。
奥には廊下があってとても長く続いていた。
50m走測れるんじゃないかってぐらいあった。
「さあ、靴はここに置いて。ぜひ上がって上がって」
私とミィは靴を脱ぎ家に上がった。
「じゃあ、こっちに来て。お礼会の準備してあるから」
「うん。ミィ立ち止まってないでいくよ」
ミィはその呼びかけが聞こえないかのように下を向き立ち止まっていた。
「おーい、ミィ。ここは人の家だy…」
「アレンという名でしたか?」
そう唐突にミィが言った。
「え?ぼく?うん。そうだけど…」
「ではアレン。何か隠していることはない?」
「な、なんだい急に。そんなことを聞い…」
「今は質問に答えろ」
「う、うん。ないよ」
いつものミィとは思えない言葉使いと圧だった。
そんなミィに私はとても怒りが湧いてきた。
「ミィ!いい加減にして!」
そう言い、ミィに寄っていった私をミィはアレンのいる方に片手で突き飛ばした。
「危ない!」
紙一重のところでアレンは私を抱き止めた。
「あんた!なんてことすr…」
「お前は悪人だ」
「え?」
私はただただ怒りが湧いてくる。
「アレンが悪人なわけないでしょ!なに言ってるの!?」
「嘘をついている人は善人か?」
「え?」
どういうこと?
「こいつは嘘をついている。私たちに隠し事をしている」
その言葉を境にアレンに焦りが見え始めた。
「な、なにを言って、るの?」
「廊下の突き当たり」
「な!?」
ミィはなにを言っているの?
本当にわからない。
ミィはそばに寄ってきて、私とアレンの腕を掴んだ。
そしてものすごい風圧を感じたと思ったら、
50mくらいあるはずの廊下の突き当たりに来ていた。
「アレン。ここなにがある?」
「…なにもない」
「そう。わかった」
途端にミィは拳を構え、突き当たりの壁を思いっきり殴った。
すると、壁に波紋のような波ができ壁が消えた。
私は驚いた。
アレンは顔を伏せていた。
ミィは感情のこもっていない顔で消えた壁の中を見つめていた。
私も中を覗いてみる。
すると1人の女の人がいた。
そちらも驚いた表情でこちらを見ていた。
「和乃さんは初めてですよね」
そんな…
「まさか…」
「和乃さんの想像通りです」
アレンも同じだったのだ。
「初めてですよね、私以外の妖魔に会うことは」
そう、アレンは妖魔を隠していた。