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妖魔と共に見る景色  作者: てぃたいむ
第1章 ムネーモシュネー
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ナンパ

「ねえ、そこの嬢ちゃん。俺とお茶しな〜い?」


1人で歩いているとよくある話だ。

知らない人にナンパされる。


「ごめんなさい。用事があるので」

「そう言うなよ。俺と遊んだほうが楽しいぜ」

「結構です」

「俺はお嬢ちゃんを楽しませることができるぜ」


いつもなら、強く断ったらどこか言ってくれるのに、

今日のはしつこかった。


はぁ〜。とわざとらしくため息を吐き立ち去ろうとした。


「おい。待てよ。楽しませてやるって言ってんだ。黙って来いよ」


腕を掴まれながらそう言われた。


「必要ないって言ってます。どこか行ってください」

「このクソガキが!!」


そう言いながら男は殴りかかってきた。

私はその男の腹を殴り、脛を蹴り、バランスを崩した時に男の腕を掴んで気の幹に放り投げた。


「ぐはぁ!」


今時ぐはぁなんて言う人がいるんだと思いながら、

「二度と近づかないでください。不快です」

と言った。


男はさっきに高圧的な態度は消え去り、急いで逃げていった。


「とても強いんですね」

「とても意外でした」

「!?」


この声は…まさか!

ミィとヒスイさんの声だった。


「見てたの?」

「はい!放り投げるところまでしっかりと見ていました!」

「とてもカッコよかったです!」


しっかりと見られていた。

恥ずかしい。


するとミィは、

「武術を習っていたのですか?」

と聞いてきた。


「道場で習ったわけじゃないよ。お姉ちゃんに習ったんだ」

「お姉さんがいるのね、私たちは明確に兄弟や姉妹と言える存在は少ないから、興味あるわ」

「ん?兄弟いるでしょ。私たちにも」

「あら?そうかしら。もう結構こっちの世界にいるから忘れかけているのかもしれないわ」


ミィもヒスイさんも質問そっちのけで妖魔トークをしていた。

…質問してきたのはそっちなのに。


このあとずっと拗ねてると言われ続けた。


「で、なんで俺の家に和乃ちゃんとミィさんがいるんだよ!?」


私たちは今、アレンの家に来ています。


「なんで?って、説明したじゃん。話の流れでミィが2人にごちそうするって」

「いやいいやいや、それはいいんだけどなんでそうなったかを聞きたいの!」

「しつこい男は嫌われるよ」


その一言でアレンは黙った。


あの時、ミィとヒスイさんは買い物中にたまたま会ったらしく、話をしていたら私がナンパしてきた男を投げているところを見かけたらしい。


その後、話していたらアレンの家まで来てしまっていたからどうせなら!ってことでこうなりました。

説明終わり。


「ていうか、ヒスイから聞いたんだけど和乃ちゃんって強いの?」


もう話したのか…早すぎるよ、ヒスイさん。


「中学生の時にお姉ちゃんに教えてもらったからね」

「へぇ〜。そのお姉ちゃんは強いの?」


強いか強くないかで答えると、

強い。

とても人間とは思えないほど強い。


「小学校までは普通の元気で可愛らしい女の子だったのに、中学の時に急に失踪して、私が中学生になった時に普通に『ただいま〜』とか言って帰ってきたの。その時お姉ちゃんが15歳だったから、3年間失踪してたわけ」

「なんというか…すごい姉ちゃんだね」


うん。

それは認める。

お姉ちゃんは確かにすごい。

そうやったかわからないけど、3年間も1人で生き抜いてきたのだ。

私はとても尊敬している。


「それで、帰ってきたらとっても強くなっていたわけ。わかった?」

「うん。どうしてかは気になるけど、わかんないだろうから聞かないどくよ」


実際私も気になってはいるけど、話してくれないんだ。

絶対に。


話している間に、ミィがご飯を作り終えていた。


「おぉ!すごく美味しそう!」

「本当ね。とても美味しそうだわ」

「喜んでもらえて嬉しいです」


この時のミィはとても幸せそうな顔をしていた。


「「「「いただきます」」」」


今日のご飯は、ラーメンにチャーハン、餃子と中華料理だった。


なんでも作れるな本当…

と思いつつ口に入れる。

ラーメンは麺にしっかりとスープが染み込んでおり、とてもおいしかった。

チャーハンはIHなのにパラパラしていて、とてもおいしかった。


でも、餃子はあんまりだった。

アレンとヒスイさんの2人も神妙な顔つきをしていた。


そんな時ミィは真剣な顔つきで、

「まずいですよね。あえてそう作りましたから」

と言った。


「なんで?」

「その前に、とりあえず、美味しいと言ってみてくれませんか?」


何を言っているのかわからなかったけど、

「美味しい」

と言った。


それに続き2人も

「「美味しい」」

と言った。


その光景をしっかりとミィは見た。

それからにっこりと笑って、

「ありがとうございました。まぁ本当は酸っぱいものを入れたら合うのかなと思って試してみたら見事にまずかっただっけですけどね」

と言った。


何がしたいのかわからない。

あまりにも行動がおかしかったので、唐突に笑ってしまった。

「「「あははははは!」」」


2人も同じことを思ってしまったのか笑っていた。


それからは、楽しい夕食が続いた。

ミィもにっこりと笑っていた。

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