話合い
「違うんだ!彼女は確かに妖魔だけど、悪いやつじゃない!」
「それはわかった。でも、なんで1人で住んでるって嘘ついたの?」
「それは…」
それはわかる気がする。
おそらく関係を壊したくなかったんだろうな。
この気まずい空気をどうにかしようと私は口を開いた。
「とりあえず、落ち着いて話し合える場所まで移動しようよ」
その声を否定するものはいなかった。
4人は場所を移動した。
本当なら、楽しい楽しいお礼会が行われるはずだった場所だ。
「まず、ヒスイ…彼女は悪い奴じゃないんだ」
「それは分かりました。では、ヒスイさんであってますよね?あなたに質問があります」
「なんですか?」
初めて口を開いた。
声はどこか寂しさを感じる声だった。
「あなたは、なにを“つくり“ましたか?」
「…私はなにも“つくって“いません」
「そう。分かりました」
それを聞いた瞬間、ミィは後ろに倒れ、寝っ転がった。
「あああああ!疲れた。真面目な雰囲気を出すのはもう嫌だ〜」
「「「え?」」」
3人の声が揃った。
そりゃあ驚くでしょ。
あんなに真面目な雰囲気を出していたミィがいきなりこんなことを言い出したのだから。
「いや〜、敵かどうかの確認だったので、もうお礼会初めてもらって大丈夫ですよ」
「「「できるか!!」」」
また3人の声が揃った。
ミィの声でシリアスな雰囲気は一瞬でなくなってしまった。
そのあとは、ヒスイさんとの出会いをアレンから聞いていた。
ヒスイさんとは私がアレンの水筒を落としてしまった年の誕生日に出会ったらしい。
つまり6歳の誕生日だ。
私と同じように猫を拾ったら妖魔だったと。
日本だとよくある話なのかな?
ヒスイさんの名前はアレンの畢生の響きからつけたらしい。
だから似ていたんだね。
そのあとは、ミィとヒスイさんが妖魔トークをしていたり、みんなで腕相撲大会をしたりした。
結果は、
1位 ミィ
2位 ヒスイ
3位 私
最下位 アレン
となった。
アレンが絶望した表情をしていたけど、私には関係ない。
そんなことをしたりして過ごしていく内に、もう外は暗くなってしまっていた。
「もう暗いし、危ないからもう帰ったほうがいいじゃないかしら」
「そうですね。今から帰ります」
ヒスイさんもミィも言っていることだし、もう帰るとしよう。
玄関についた。
「じゃあね、和乃ちゃん。また月曜日」
「うん。また月曜日に」
また会うことを約束できる友達っていいな。
今まで心を許せる友達がいなかった和乃は密かにそう思っていた。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
今まで憂鬱だった学校が少しだけ楽しみになった気がした。
そんな和乃を見てミィは、
「よかったね。和乃さん」
と自分にしか聞こえない声で言うのだった。