236.下僕、二人
【年末セールのお知らせ】
年末にエルフさん1巻が割引されるそうなので、2~4巻も年末だけちょっぴり割引する予定です。そのタイミングで見つけられた方が買いやすいように、という程度の割引ですが。
現在申請中なので変更される可能性もありますが、期間は以下を予定しています。
booth:12月1日~12月31日
楽天kobo:12月1日~12月31日
BOOK☆WALKER:12月16日~12月31日
『オーッホッホッホ! 萌黄が捕まりましてよ! 残すところはわたくしだけですわ!』
場所は湖東。湖沿いにボートが並ぶ桟橋と遊具を貸し出す小屋をそばにした広場。そこにたった今捕まった――捕まりに来た――萌黄と鬼の茜がいた。
「茜さん、放送が確認できましたね? それでは私も子鬼としてゲームに戻ります」
「はい、萌黄さん。いい勝負をしましょうね!」
言い捨てるように早口で話を済ませようとした萌黄に、茜は戸惑いもなく戦意をたぎらせた。
「……驚きましたね」
「えっ?」
時間を浪費すべきではないと思いつつも、萌黄は茜に向き直る。
「驚いたと言いました。あなたはエルフさんに籠絡されたと思っていたのですが、どうやら違う様子でしたから」
「いいえ。むしろ、逆です。エルフさんにささやかれた甘い言葉を振り払って私はこの場に立っています」
何を感じたのか、何を語られたのか。今の茜は明らかに萌黄が知る彼女ではなかった。
「あなたはどう戦うつもりですか?」
「勝ちます」
「現在、お嬢様は九ポイント。エルフさんは七ポイント。エルフさんがお嬢様を捕まえたならばエルフさんの逆転勝利となります。わかっていますか?」
「はい、萌黄さん。承知しています」
「……もしあなたがお嬢様を捕まえてしまったら、お嬢様とエルフさんが同点になることも理解していますか?」
「はい。その上で、勝ちます」
リリカの勝利ではなく茜本人の勝利を。茜は、ただこのひと試合を勝つことを目標に定めていた。
「そうですか」
「はい」
下僕としてどうあるべきか説いたとしても、今の茜は聞き入れない。そのことが萌黄にはわかった。
「――私はお嬢様を勝たせます。エルフさんより先にお嬢様を見つけて、エルフさんから守ってみせます」
だから、これは説得ではなく、ただの宣言であった。
「それでもエルフさんに捕まりそうになったならば、私がお嬢様を捕まえます。これで同点止まりです」
「……そのために、萌黄さんは私に捕まりに来たのですね」
西で落とし穴を作った浅葱がエルフに捕まったのならば、茜は東にいると萌黄は読んだ。実際にそれは正解であったのだ。
「お嬢様に活躍していただくことが下僕の務めですので」
「私はお嬢様のおそばに居続けるにはそれではいけないと思います」
対立する二人の下僕。想いは同じく。されど選んだ道は異なった。
「ご武運を祈ります」
「はい、萌黄さん。武運長久を祈ります」
二人はそれぞれに走り出した。
【別作品のご紹介】
――帝国に銃を並べるため、俺(英雄)は私(少女)となって成り上がる!
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BOOK☆WALKER
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次回は11月16日(日)を予定しています。





