233.萌黄という覚悟
【修正のお知らせ】
前回232話にて、萌黄さんと浅葱さんの名前を取り違えて書いていました。申し訳ありません。10月19日現在、修正は済んでいます。
「お嬢様を差し置いて目立ってどうするのですか」
三試合目開始とほぼ同時に流れたエルフ確保の放送は北の草原エリアにも届いていた。萌黄と呼ばれる彼女は小さくため息を吐く。
「お嬢様とエルフさんの点差は一ポイントだけ。エルフさんはあえて子鬼になってお嬢様を探す側に回ったということでしょう。それはわかります」
萌黄のカラーである黄色の髪飾りが軽く揺れた。
「ですが、茜さんは断ることもできたでしょうに。『ゲームの趣旨に反する』と説明すれば、エルフさんは従ってくれたはずです」
萌黄は知っている。勤勉な彼女は準備を怠らない。だから、エルフの配信アーカイブは残らず視聴した。
萌黄は知っている。エルフは常識知らずで破天荒な言動が多い。でも、人に優しくルールも守る。
「おそらくエルフさんは茜さんを説得されたのでしょう。茜さんは絆されたのでしょう。新たな希望を見つけたのでしょう」
萌黄は知っている。茜が思い悩んでいたことを。どうすれば、リリカの隣に居続けられるか試行錯誤していたことを。
萌黄は知っている。エルフがこれまで他の配信者とどのような戦いをしてきたか。そうして、自分と向き合った彼ら彼女らがどうしたのか。
「くだらない」
だが、
「――お嬢様を引き立てることが下僕のすべてでしょうに」
萌黄は迷わない。彼女の中での優先順位はすでに決まっているから。
「勝負です、エルフさん。あなたをお嬢様の下へはたどり着かせません」
萌黄は手に持っていたシートをそっとその場に敷いた。
◇◆◇
「いっぱい」
上位チャット:エルフさんの感想が可愛い
上位チャット:いやうん、いっぱいだわ
上位チャット:他に言い様がない
上位チャット:うーわ、なんじゃこりゃ……
上位チャット:確かに浅葱さんらしくない隠れ方だとは思ったけどさ
「落とし穴だらけだ」
俺の目の前には、三〇個もの落とし穴が並んでいた。
上位チャット:萌黄さんのトリックだった、ってわけか
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次回は10月26日(日)を予定しています。





