２２３．口を塞いで息を潜めていました
【無料ホラー短編公開されました】
無料です。カクヨムネクストにて『ネクスト怪談コレクション』にホラー短編を１本寄稿しました。期間中無料です。大事なことなので何度も言いました。
https://kakuyomu.jp/works/16818792436616798763/episodes/16818792436696636866
「この辺りにいた」
上位チャット：見当たりませんね
上位チャット：草木が生い茂ってるから隠れられそうではあるんだが……
上位チャット：まだ温かい。この辺りにいるぞ！
上位チャット：ベテラン刑事かな？
「ここから半径一三メートル二〇センチ以内にいた」
上位チャット：細かい細かい
上位チャット：まだ温かい。ここから半径一三メートル二〇センチ以内にいるぞ！
上位チャット：大ベテラン刑事かな？
上位チャット：息を潜めてるのかも
上位チャット：お耳を立ててよく聞いてみよう！
上位チャット：お耳をピコピコさせて聞いてみよう！
上位チャット：お前らｗ
「んぅ」
上位チャット：はぁん
上位チャット：ピコ
上位チャット：どうですか？
「見つからない」
上位チャット：索敵に引っ掛からないか
上位チャット：いなくなっちゃったのかも？
上位チャット：足跡は視覚だから誤魔化せるのはわかるけど聴覚だもんな
上位チャット：しかし、心音は隠しようがないでしょ
「聞こえるのは呼吸音までだぞ」
上位チャット：あ、そうなんだ
上位チャット：意外と普通
上位チャット：普通とは
上位チャット：俺の胸の高鳴りがエルフさんにバレなくて済むと聞いて
上位チャット：顔を見たらおしゃべりできなくなっちゃうんだ
上位チャット：思春期かな？
上位チャット：でも、追えなくなっちゃったのね
「ん」
上位チャット：はて、どこ行ったのやら
上位チャット：この辺でエルフさんの目の届かない場所で……
上位チャット：大胆な隠れ方をする萌黄さん……
上位チャット：お？
上位チャット：エルフさん？
上位チャット：何見てるの？
「上」
上位チャット：上
上位チャット：上
上位チャット：上
上位チャット：上って……木の上？
「いた」
「もご」
上位チャット：木の上にいるｗ
上位チャット：あんな高いところにｗｗｗ
上位チャット：なーるほど、遠くに行ってないけど見失うわけだ
「驚きました。エルフさん、まさか見つかるとは思いませんでした」
「被ってるのはリリカ様が慎重だと言ってたからな。同じ隠れ方は避けると思った」
「道理ですね。ですが――私に当てられますか？」
「む」
被ってるのが枝の陰に隠れた。
「えい」
放った俺の弾は、しかし葉っぱに弾かれて当たらなかった。
「むむ」
ならば、と木に手を掛け、近付こうとする。が、
「では、エルフさん、御機嫌よう」
被ってるのは、するすると木を伝って地面に降り立ち、走り去っていった。
「追うぞ」
上位チャット：三メートル以上の高さから飛び降りない
上位チャット：あっ
「飛び移るのは飛び降りてない？」
上位チャット：ダメです
上位チャット：どう考えても危ないからダメです
上位チャット：小首傾げるのめちゃ可愛いけどダメです
上位チャット：お耳しゅんとされると思わず許しそうになるけどダメです
上位チャット：あきらめてゆっくり降りてきてどうぞ
「むぅ」
あと少しまで迫りながら、俺は被ってるのをまんまと取り逃がしてしまったのだった。
【別の連載作品】
カクヨムネクストにて、新作『ドラゴンでも愛してくれますか？』が連載中です。いよいよ物語も終盤戦。
https://kakuyomu.jp/works/16818093093050584355
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次回は８月１７日（日）を予定しています。
