140.スカイハイ
再開します。7章終わりまでは止まらないつもりです。
「……くっ! どうして、ワシはいつもこんな……っ!」
酒飲み幼女はコントローラを放り投げ、握り締めた手を震わせた。
上位チャット:幼女……
上位チャット:もう、もう……
上位チャット:掛ける言葉がないよ
上位チャット:今の一回は何としてもクリアしなければならない一回だったな……
「酒飲み幼女」
「エルフ……」
上位チャット:エルフさんが行った
上位チャット:頼むエルフさん、この空気をどうにかしてくれ!
「『スカイハイ』ってどういう意味か知ってる?」
「何の話じゃあ!?」
上位チャット:このエルフw
上位チャット:どうにかしてくれた
上位チャット:「どうにでもしてくれ」とは言ってないんだよなぁ
上位チャット:えーっと、このゲーム名だよね?
上位チャット:そう
上位チャット:直訳して、空高く?
「ワープ部分を上に飛び越えられたらまだ記録あるか?」
「何じゃと……?」
上位チャット:どうなの?
上位チャット:そりゃいけるわ
上位チャット:現状、ワープ部分にかなり掛かってるし
上位チャット:間に合う
「じゃが、どうするのじゃ? 普通に飛んでは高度が足りんぞ?」
「スイッチバグって透明なブロックを作れるんじゃないか?」
「うむ。透明なブロックが発生するのう」
上位チャット:え、そうなの?
上位チャット:同時押しされたスイッチの残骸だと言われてるね
上位チャット:この透明ブロックを特定の座標に設置することで任意コード実行が可能になる
上位チャット:でも、よくエルフさん透明ブロックに気付いたね
「スイッチ押した直後に小ジャンプをしてたからな」
「待て、待つのじゃエルフ」
「何だ?」
「……要するに、勢いを殺さずに、透明ブロックを高空に配置して、それを足場にもう一度離陸しろということかの?」
「ん」
「無茶苦茶言いおるのう!?」
「目隠しの時、勢いを殺さなきゃ即離陸できたぞ?」
上位チャット:理屈の上はできるが……
上位チャット:そんな難しいの?
上位チャット:目隠しの時とは条件がぜんぜん違う
上位チャット:勢いが落ちると離陸できないから、ブロックの設置場所はピクセル単位の精密さを要求されるぞ
上位チャット:だが、可能性はある
「無理じゃ」
「酒飲み幼女」
「ワシにはそこまで見極める自信はないのじゃ」
「酒飲み幼女」
「エルフならできるかもしれんが、ワシにはとても」
「酒飲み幼女」
「……なんじゃ?」
三度呼びかけて、酒飲み幼女はようやく俺を見た。
「後、よろしくな」
「へ?」
上位チャット:え
上位チャット:は?
「えい」
「エルフぅうううう!?」
上位チャット:エルフさんが倒れた!
上位チャット:ちょっとおおおお!
上位チャット:なになになになにこれ!?
上位チャット:エルフさん、大丈夫!?
「大丈夫だぞ」
俺はクッションに横たわったまま応える。
上位チャット:あ、意識あった
上位チャット:なんだ、びっくりした
「半日くらい動けないだけだ」
上位チャット:さらっとやばいこと言った!
上位チャット:それ大丈夫と違う!
「エルフ……お主……」
「もう見えるだろ?」
二回の「えい」で、酒飲み幼女の目は何も疲れが残ってないはずだ。
「空高く――ぶっ飛んでこい」
上位チャット:スカイハイ!
上位チャット:幼女!
上位チャット:飛ぼう、幼女!
「ええい、お主ら暑苦しいんじゃあ!」
上位チャット:わ
上位チャット:幼女がキレた
「エルフも! 目に疲れは残ってないと言ったじゃろうが!」
「そうか」
「はぁああ、もう!」
酒飲み幼女は頭をガシガシと掻くと、コントローラを握り直した。
「これでできんなんぞと言ったら、女が廃るのじゃ。ちゃんと見とくんじゃぞ!」
「おう」
上位チャット:行け、幼女!
上位チャット:飛べ、幼女!
上位チャット:ブロック設置してすぐ下降してブロックに乗ったら即座に離陸しろ、幼女!
上位チャット:具体的だ
倒れエルフ。





