第九十話 代々受け継いでいくもの
エレーナという魔女について考えていた。
彼女に会って、よく聞かなかったけど、もしかしたら、私と同じ魔法を持った人だったのではなかったのだろうか。
頑張って。といったのは、それは自分と同じ境遇を持っているから?
もうちょっと詳しく聞けばよかった。
長く生き続けている理由も、聞いとけばよかったと思うのも今更だ。
それだったら、私のこともああいっているのもわかる。
彼女に会って、あの国立図書館にある摩訶不思議な本を思い出した。
もしかして、彼女が私以外にあの本を読めた人なんだったら?
頭をフル回転させるが、なにか忘れている気がして思い出せない。
「国立図書館に、行ってみるか。」
私はそう思って、走って学校とは違う方向に足を踏み出した。
前にあったのと同じところにその本はあった。
人はまばらであまりいない。
本棚のかげにかくれて、その本をめくる。前見たページはそのままだった。
他のページもめくっていく。
その本の最後にはページ全体に書かれた場所があった。
前見たときには気づかなかったところだ。
よく見ると、真ん中が破れている。ちゃんと読んでいないと見ないページだ。
そこにはたくさんの魔法使いが寄せ書きのように書いていた。
今までの私と同じ境遇の魔法使いの方たちが。
こんなにたくさんいたのか。
こうやってなんとかして自分の未来の魔法使いに託していたのか。
ということは、私に教えてくれた人は、その一人なのではないのだろうか。
上から順に名前をなぞっていく。
そこにはさっきまで話していたエレーナさんの文字もあった。
行きづらく感じて、この本にたどり着いたこと。
まだ、生きようと思えたこと。
後世の魔法使いに伝えたいこと。
彼女が言っていた、今期の魔法使いが私だとわかったのも納得だ。
最後に書いた人は、名前を書いてなかった。
だが、昔あった彼女であることだけはわかった。
彼女が言っていた過去そのままだったから。
どの魔法使いを見ても、彼女たちがいることによって、
反乱が起きたり、貴族間のドロドロに巻き込まれたり。
この世の平穏のためにも、私は隠さなければならない。
先に知ったものとしての使命のような気がした。
その本を閉じた。
まだ、そのような時期ではない。
私はまだ、彼女たちのように自分の過去をかけるような人ではない。
いつか、いや、いつまでもここに書かないような平穏な時を過ごせますように。
そう願って私は本を閉じた。




