第七十六話 知らないほうがいいこと
「そういえば、ファリナって勉強どうしてる?」
「え?」
「いやあ。成績が下がってきていて。」
「みんなに教えてもらったら?」
「なんかいや。だってライバルって感じだから。」
「そんなもん?」
「そんなもん。」
「でもなあ。リットと一緒にいるのバレたらなあ。」
「そうだよね。」
「というか、何の教科?」
「いや、いろいろ。数学とかはね。」
「ああ、リットはどちらかというと数学苦手だもんね。」
「うん。ファリナは得意でしょ?家で計算とかしていたから。」
「といってもその前に教える教えない以前の問題に、リットの問題はてさてBクラスの端くれの私に溶けるかどうか、、、、。」
「ファリナは大丈夫だよ〜。多分。というか、そうだなあ。じゃあ、私に教えてくれたら、あることやってあげる!」
「なに?」
「それはねえ、、、、。」
***
「それはいいよ。」
私の親友はそういった。
親切心で言ったつもりだった。
それに、昔からの友達でいっぱい迷惑をかけているファリナへの。
でも、ファリナはその誘いに乗ってこなかった。
妹大好きなファリナが断るわけがないと思っていた。
ソフィアちゃんのためにもいいんじゃない?
ファリナだって、安心でしょ?
人生が安定するに決まってるルートに入るということなのだから。
でも、ファリナはよしとしなかった。
妹が頑張るなら頑張ったらいい。
そんなことしても、あの子が困るだけだ。
いくら平民が貴族社会に組み込まれようとしていても。
随分、最悪な想定を考えている我が親友に、
「なんで、そんな悪いこと考えるの。そんなことおきないって!」
と言ったら、親友は、
「そんなこともないよ。私は知っているから。そんな事が起きた人を。」
と言った。
「そんな人知らないし、聞いたこともない!言い伝えだよ。」
私が笑い飛ばすと、我が親友は
「そんな事が起きる、世の中なの。知らないほうがいいこともあるよ。
リットは聞かなかったことにして。
人生ってむずかしいもので、大変なものだから。妹の人生はあの子が決める。
私達が不用意に手を出すものじゃない。見守るしかできないものなのよ。引いたレールの上を歩くようなことをあの子が好きだとは思えないから。」
そういった。ファリナの言う事も一理あるけど、でも、歯がゆくないの?
それに、私が知らないほうがいいことってなに?ファリナが知っていて私が知らないこと?
そんなのあるの?
ファリナは苦し紛れのような笑い方をしていて、深く聞けなかった。
裏話
一応、補足。
リットちゃんはファリナが強いのは知っていますが、どこまで強いのか。
そして、ファリナが魔法を隠すきっかけになった頃はまだ、ファリナと出会ってはいませんでした。
そのことはファリナしか知らない=家族すらも知らない秘密なわけです。




