第十二話 出会い②
寮に戻ろうとしたが、ふと思い立った。この本を普通に読んでしまったのがローズマリーにバレたら、きっとローズマリーに怪しまれるだろう。
ただでさえ、すべての属性が使えることをを隠しているし、もちろん本当の学力も隠している。
なにかバレるとまずい。
寮に帰る前に何処か誰もいないところはないかと探していると、中庭にベンチを見つけた。
ベンチで座りながら本を読む。知らぬ間にのめり込んだらしく、顔をあげるともう夕方になっていた。
夕日をきれいだなーと思いながら眺める。
流石にこれ以上寮に帰らないとローズマリーに心配されて迷惑をかけると思ったのでベンチを立ち、バッグ思ってそこから離れた。
中庭の真ん中に出ると、一人の女の子がいた。彼女はツインテールの可愛らしい女の子だ。Sクラスだろうか?
本当はあまり面倒事に巻き込まれたくなかったのだが、彼女はなにか探しているようで、流石にほっておけなかったので、話しかけた。
「なにかお困りですか。」というと彼女は
「うん。この辺にこれと同じ髪飾りが落ちてると思うんだけど」といった。どうも髪飾りの片方を落としたようだ。かなり高そうなもので、流石に聞いたからここで逃げるのは気が引けたので、
「探すの手伝いましょうか。」といった。
「ありがとう!」
二人で探していると大きな木の近くに発見し、彼女のところまで走り、
「これですか?」と声をかけた。
彼女は
「そう!ありがとう。見つからないと思ってた。本当にありがとう。」と言った。
「いえこちらこそ」と返すと
「ねえ、お礼がしたいから名前を教えてくれない?」と言われた。
名前を言うのは嫌だったのだが、
「高貴な方にいうほどのものではないので、、、。」
「いいの!あ私はシャロンっていうの!よろしくね。」
と言われてしまい、
一応
「シャロン様でございますか。ファリナと申します。」と名乗った。
「ファリナね!覚えた!本当にありがとう!」
そして用事がある彼女と別れ、一人で寮に帰宅したのだった。