第一話 私の始まり
「気をつけてね」
「姉さん、がんばれ!」
母と妹の声が聞こえてくる。
今日から少しの間家族とは離れ離れで過ごすことになるから、王都に旅立つ私を送り出しに来てくれた。
「言ってくるね。」
母と妹にそう答えたあと馬車は発車した。
私の名前はファリナ。至って普通の地方の町に住んでいる庶民だ。親が商人でいつかは両親の仕事を引き継ぎたいと思っている。
なぜ私が王都に向けて出発しているかというと、王都にある魔法学校に入学するためだ。
本当は行きたくなかったし、入学金もバカほど高いから入学したくなかったが、両親に説得され仕方なく入学することにした。先程出てきた妹はソフィアと言ってこれまたすごい魔法の才能を持っている。行きたくない私より妹のほうが入れる価値があると思うのだが。
そんな私は見た目は茶色い髪の水色の瞳だが実は髪は染めている。
この理由を説明と長くなるが。
私の家系は代々魔法が強かったそうだ。
七歳のころ、ある時森で魔法を使っていると、髪の毛の色が変わり、それと同時に魔法の威力が格段と上がってしまった事がある。
その時にあった方が私にアドバイスをしてくれた。
静かに暮らしたいのなら、その魔法の強さを隠したほうが良いって。
髪の毛もなにか関係があるらしい。彼女も私と同じ色の髪の毛だった。
彼女は平民として生まれたが、貴族に引き取られ、本当の家族から離されてしまい、今まで会うことができなかったと言っていた。
私の二の舞いになってほしくないと言っていた彼女には本当に感謝している。
彼女は魔法を見せてくれた。特に彼女は水の魔法が強くて、奇しくも私と同じだった。
私も水の精霊を引き連れていたからだ。
そして彼女にはもう一つ教えてもらった。
パーフェクト属性が使えるのは隠したほうがいいということだ。
これがバレると田舎で過ごすのは難しくなってしまうと。
問答無用で貴族に嫁がせられると言っていた。彼女もそうだったようだ。
彼女といたのはその日だけだったけれど、彼女は私に色々なことを教えてくれた。
商人になりたいという私の願いをくんでくれた。
きっと彼女だって私を突き出したほうが絶対有利なはずなのに。
だから私はこのことが決まったときに決心した。
一番下のクラスに入学して、暇な時間に妹の入学金を稼ごうと思っている。
貴族に目をつけられるとか絶対嫌だし。