#99 救い
叫び声で目を覚ました。
窓と入り口とをすぐに確認する――が、閉じたまま。そしてまだ夜は明けていない。
傍らではディナ先輩が同様に周囲を警戒している。
足元にうずくまっていたマドハトも目を覚ましたようだ。
「お前の背負い袋からだ」
ブーツを履かぬままベッドから床へと降りる。
確かにそこから、今まで感じたことのない「濃い」としか形容できない寿命の渦を感じる。
すっかり気が抜けていた。
まさかタールの『魔動人形』みたいなのがまだ――ベッド脇に置いた革ベルトから短剣を抜く。
(チガウ)
(ポーにはわかるのか?)
(オマエノコダ)
(コ……って、子ぉ?)
(ソウダ)
えっ、ちょっと待て。俺、童貞なのに子供って――そこで思考がようやく眠気から脱出する。
これって多分アレだよな?
短剣を鞘へと戻し、急いで背負い袋の口を開ける。
ディナ先輩がベッド近くの灯り箱に火を点けてくれたからか、うっすらと中が見える。
可愛らしい翼の生えたトカゲのようなのが俺をじっと見つめている。
そしてさっきの叫び声に近い音質の、でも小さな声で、クルルルと鳴いた。
手を伸ばすと、よちよちと俺の手を登り、そしてしがみついてきた。
可愛ぇぇぇぇ。
背負い袋の中には、卵石ゴーレムと俺が呼んでいたものの欠片が――とうとう孵ったのか!
ドラゴンが!
全身が興奮で熱くなる。
カエルレウム師匠のとこの書物だとドラコーン、この国の一般的な庶民の間ではドラコと呼ばれるドラゴンが!
「ドラコか、珍しいな。ボクも本物は里で一頭見たきりだ」
ディナ先輩がまじまじとドラコを見つめている。
「里」というのはアールヴの隠し里ってことか。
というか見たことあるのか!
「ドラコって何を食べるんです?」
「成長すれば肉でも果実でも酒でも何でも食らうが、寿命の渦自体を食べることもできる。特に幼い頃はそれしか受け付けないだろう。卵のときと同様に、消費命を集中して与えてやるしかない」
寿命の渦を食うって響きの凶悪さったらないな。
即死とまではいかなくとも、それに近い攻撃ができちゃうってことなのかな?
というか、寿命の渦を勝手にそんなに与えちゃって良いのだろうか、と今更だけど。
寿命の渦はリテルの魂にも俺の魂にもつながっているし、今までは生き残るために必死で「死ぬよりかはマシ」と思って魔法発動に使ってはきたけれど、ペットを飼うための食事として提供するとなると話は変わってくる。
せめてこの子がどのくらい食べるかわかれば――なるべく早く寿命の渦以外のものも食べられるようになってもらわないとな。
うちにはもうポーも居るし、ポーは少食で助かっているし。
(モットタベラレル)
(ポー、ひょっとしてずっとお腹空いてたのか?)
(イソガシクナイトキハコノママデイイ)
(忙しくない……あー、もしかしてタールと戦ったときみたいに活躍してくれたときとか?)
(ハラガヘル)
(これはこれは……失礼しました)
そうだよな。
頑張ってくれたんだから、感謝の気持をもう少し増やしてもいいよな。
(ごめんな。そしてありがとうな、ポー)
当然の話だと、消費命をあげようと集中したら、ドラコが口を大きく開けた。
「待て待て、おちびちゃん。これは君よりも先輩のだからな」
まずはポーに消費命を捧げる。
(マンゾク)
「次はお前の分だ」
卵状態と同じなら、ちょびっとずつあげるのがいいんだよな。
一ディエス分の消費命を集中した指先を、ドラコの口に近付くと、指先がすーっと冷たくなり、そこに貯めた消費命が消えた。
またクルルルと喉を鳴らす。
可愛いなぁ。
丈侍の弟の昏陽はトカゲ好きで、アカハライモリとヒョウモントカゲモドキを飼ってたけど、俺もそれを見てからけっこうトカゲ好きになったんだよな。
懐かしい。あいつら元気にやってんのかな。
「名前は付けないのか?」
そうですよね。俺が付けるべきですよね。
でも俺のネーミングセンスは魔法の名前から分かる通り、皆無だから。
ドラコにドラゴンってのはナシだよな。
パッと浮かぶのはちっちゃいからチビとか――どこかのマンガになんでもチョビって名前付ける人居たっけな。
「ドラゴンって大きく育ちますよね?」
「ああ。最終的にはモクタトルのとこのトリニティよりも大きく育つな」
トリニティってグリフォンの――あれより大きくなるのか。
というか、そしたら乗れるのか。
ドラゴンライダーか。
いやいや、浮かれるなよ、俺。
まだ飼えるかどうかもわからないってのに。
「最初に思い浮かんだ名前が一番喜ぶぞ。寿命の渦を食うということは、寿命の渦を感じられるということだ。寿命の渦には感情や思考も繁栄される。自分のために感情や思考を集中してくれていることを敏感に感じ取っているからな」
「ということは……」
チビ?
でももう少しエレガントさが欲しいというか。
ちっちゃいドラコの目を覗き込む。
可愛いなぁ。
そういえば、ガキの頃、母さんのフランス公演に連れてかれたとき、向こうでお呼ばれした晩餐会で英志が「プティ」とか「シュー」とか言われてたっけ。
フランス語の「プティ」には、可愛いとかいう意味もあるんだっけか。シューはシュークリームのシューでキャベツなんだけど、あちらではキャベツにも「可愛い」って意味がある――けど、ドラゴンにキャベツはないよな。
「お前、プティでいいか?」
クルルルと喉を鳴らす。
「よし。プティに決定だぞ、プティ」
クルルル、と返事が返ってくる。
さて、ようやくこれで眠れる――となったところで、ナイトさんとナイトさんとこの守衛さんたちが部屋へとやってきた。
あー、プティの産声、大きかったからなぁ。
何があったのかと見に来た感じっぽい。
これは仕方ない。
俺も驚いて飛び起きたクチだし。
「すまない。うちのマドハトが寝ぼけて叫んでしまったようだ」
と、ディナ先輩が彼らを部屋の中へは入れずに対応してくださる。
そうか。
ディナ先輩が居なかったら、うっかりプティをナイトさんへ嬉々として紹介してしまっているところだった。
すまないマドハト。
俺がプティを背負い袋の中に戻そうとモタモタしているうちに、マドハトまでもが入口へと走っていって、謝り始めた。
マドハト偉いよマドハト。後で顔舐めていいから。
ようやく俺も入口まで行き、一緒に謝り、事なきを得た。
ナイトさんたちが帰っていった後で、ディナ先輩が口を開く。
「王族や貴族へ献上するつもりがないのなら、隠し通すか、さもなくば『使い魔契約』をしておいた方がいい」
「献上、というのは考えていませんでしたが……そういう手もあるんですね」
「もっとも、それを魔物の側が了承するかどうかは別だがな。特にそのドラコはお前が孵した。お前以外の寿命の渦は好まない可能性もある」
なるほど。
寿命の渦は食料というよりは、母親のお乳に近い感じなのかな。
「……とりあえず、カエルレウム様に相談するまでは隠し通す方向でいきたいと思います」
「それがいいだろう」
懸念はもう一つある。
いま『使い魔契約』をしたら、場合によっては俺が消えてリテルだけが残った場合、プティに対してもリテルに対しても無責任になっってしまうから。
「色々とありがとうございます」
「手のかかる弟弟子だな」
ディナ先輩の表情には最初に遭った時のような棘はない。
認めていただけているのかも、という嬉しさがじわじわこみ上げてくる。
「とはいえ、お前に何か就きたい職でもあるのならば、カエルレウム様に義理立てしなくとも良いのだぞ」
「そっ、それはどういう意味ですか?」
まさか油断させてから突き放す作戦?
「お前にはもう、お前が思っている以上に価値が付いている、ということだ。自分が何をしたいのか、するべきなのかは普段よりしっかりと考えておかねば、いざ思いもかけぬ誘いに直面したとき、あとで後悔するような道を選んでしまう恐れもある」
そういうことですか。
芯から有り難いお言葉だった。
「はっ、はい。ありがとうございます!」
俺がしたいこと。
お誘いならばもう既に受けている。ナイトさんにも、フトゥールムにも。
そしてルブルムやレムとも「一緒にいる」という約束をしている。
俺がリテル本人であれば、次男として実家を出てゆく予定なのでどこにでも行ける。
カエルレウム師匠のもとで魔法を学び続けることも、ナイトさんのとこへ就職して地球の話もしつつ楽しく暮らすことも。
ただ、なすべきことの不動の第一位として、「リテルに体を返すこと」が俺の心の中にずっと存在し続けている。
それが終わるまでは、どんな誘いにも乗るつもりはない。
俺が「したいこと」も含めて。
わずかばかりの仮眠を取り、迎えた朝。
起きがけにディナ先輩から教えていただいたのが、プティに大人しくしてもらう方法だった。
あの後、わざわざカエルレウム師匠に連絡を取ってくださり、その方法を教えていただいたとのこと。
頭が下がる思いだ。
「ドラコは寿命の渦で育てる、というのは話したな。その寿命の渦は子守にも使えるのだ。空にした魔石に、伝えたい感情……この場合は安心をうながす感情を乗せた状態の消費命を集中して格納する。それを与えておけば、魔石内の格納消費命が尽きるまでは、その魔石と共に居てくれるようだ」
ちょうど良いことに、ギルフォドの傭兵部隊でファウンの足を治療したときにもらって使いきった白魔石がある。
プティの体色も銀に近い白なので、お似合いだ。
そこへ「安心して眠れますように」という想いを込めた消費命を格納しておく。
卵時代の格納消費命の減るペースを考えると、ちょっと多めが良いだろうな。
試しに持たせてみると、プティは大人しく眠りについた。
俺の着替えのシャツでくるんでから、背負い袋へと戻ってもらう。
申し訳ない気持ちはあるが、プティのことを守るためなのだと自分に言い聞かせ、背負い袋の口をぎゅっと紐で閉めた。
「もう、起きましたか?」
ドアの向こうからそんな声をかけてくださったリリさんは、ナイトさんの奥さん。
「はい。昨晩はお騒がせして申し訳ありませんでした」
マドハトにも申し訳ないことをしたが、助かった。
「お洋服、お持ちしたけど、開けても大丈夫です?」
「はい」
ドアが開き、礼服を着込んだマネキンみたいなのが運び込まれる。
フリルがついたシャツに、黒いジャケットと、同じ生地のズボンにはベルトを通す輪が幾つか付いている。
それから蝶ネクタイと、見慣れた形の――地球のに似たベルト。綺麗に磨かれた革靴っぽいのまで。
こちらに来て初めて地球っぽいデザインの服。
やっぱりナイトさんがデザインしたのかな。
サイズは二種類。俺とディナ先輩用。
昨晩、ムケーキさんがレーオ様までご連絡してくださったおかげで街の中へ入れていただけたのだが、その御礼をお伝えするために今朝、俺たちはレーオ様のお屋敷にご挨拶に伺うことになっているからだ。
マドハトとプティはお留守番。
ところで今気付いたんだけど、お作法の勉強とか一切していない。
モノケロ白爵様ご本人に謁見するわけではなく、レーオ様の別邸でレーオ様とのみ面会するだけだから、「気さくでいい方だよ」と皆、本気でお作法を教えてくれなかったんだよな。
フォーリーを発つときにクスフォード虹爵様へご挨拶をした際はディナ先輩とルブルムだけで、俺はウェスさんと一緒にお留守番だったし、レーオ様に前回お会いしたときは、メリアンが手合わせしてたのを横で見ていただけだし、そもそも祭りの最中だったし、なんにも参考にならない。
さあ着替えますよって言われた今、緊張感がとんでもないことになってる。
「はい。腕をあげてくださいな」
リリ様と一緒に入ってきていたメイド服のお姉さんたちが、俺にはりつきで礼服の着方を指示してくれる。
あっ、これけっこう恥ずかしい。だって、パンツまで用意されているし。
なんというか、女性の前で裸になるという耐性はかなり付いたはずなんだけど、なまじ服のデザインが地球っぽいので地球での感覚がちょっと戻ってきてるというか。
「いや、あの、下着は自分一人で着られますから!」
なんとか下着は死守したが、下着に縫い付けられた紐をきゅっと留めた後はもう、あっという間に寄って集って着せられて、あっという間に馬車に押し込まれて、あっという間にレーオ様の別邸へと運ばれた。
ご挨拶の口上などはディナ先輩が全部やってくださって、俺は隣で見ているだけ。
ガキの頃、始めて給仕が居るレストランに連れて行ってもらったときのことを思い出す。全部父さんの真似をしたっけな。
なんだろうな。
最近やたらと地球での家族とのことをあれこれ思い出す。
それなのに、こちらで目覚めたばかりの頃のようなあの嫌悪感とか疎外感みたいなのをあまり感じない。
時間が経って、嫌な部分は忘れちゃったとか?
それとも俺が成長して大人になれたってことなのかな?
なんて余計なことを考えてたおかげで、堅苦しいタイムはあっという間に終わった。
「おう。もう、堅苦しいのはいらんぞ」
レーオ様は急に座り方を崩された。
でも、そう言われたからといって「じゃあ」とすぐにこちらも崩すわけにはいかない、ってのは様々なルールがわかっていない俺でも察している――なんてモノが分かっている風だけど、実際には緊張で強張ったままだったり。
「リテルと言ったか? メリアンは息災か?」
「は、はい! ギルフォドの傭兵大隊にて大隊長になりましたっ!」
「聞いた聞いた! あのタールを倒したらしいな! あいつらしい」
ひとしきり笑った後、レーオ様は俺をじっと見つめた。
そして悪そうな笑顔。
「メリアンに教えを請うたんだろ? 手合わせしてみようぜ!」
マジですか。
レーオ様はメリアンより若干身長が低いものの、筋肉量では負けてない。
相手が貴族様だという以前に、忖度なしのガチでやっても物理的に全く勝てそうにない――でも。
タールの『魔動人形』はまだ一体残っている。
もしも、その一体がレーオ様みたく圧倒的強者感を漂わせていたら、俺はそこで諦めるのか?
それじゃダメだろう。
ここで俺が怖じ気付いたら、メリアンに迷惑がかかってしまわないか?
レーオ様からしたら俺はメリアンの弟子みたいな認識のようだし。
ああ、そうか。
メリアンもまた俺の師匠なのだな。
余りにも気を張りすぎていて、いっときはメリアンのことさえ敵かもと疑ったせいでそのことを明確に意識はしていなかったが、振り返ってみればいつも何かを教えてくれていた。
できるとこまでやってみよう。できる限り足掻こう。
それがメリアンに対してできる俺の恩返しだと思って。
そもそもメリアンでさえ勝ち越せていないレーオ様は、傭兵時代はメリアンの元上官。絶対的に強い。
胸を借りるつもりでッ!
「じゃ、若輩者ながら、お望みとあらば」
言葉にすると全身に変な震えがくる。
獅子に睨まれた鼠、といった気分。
それを抑え込むように両手で膝をぐっと押した、その勢いで腰が浮いた。
「そう、力むな。気配組み手だ。怪我をすることはない」
気配組み手というのはメリアンから教えてもらっている。
実際には身体を動かさず、寿命の渦へ身体を動かす気持ちだけ乗せ、相手のそれを読み取り、こちらの動きをまた変え――という模擬戦のこと。
行きにここでレーオ様とメリアンとがやっていたアレのことだ。
これは俺が訓練していた「動こうと思った気持ちを寿命の渦に乗せつつ違う動きをする」というアレの訓練にもなる。
動きへの思いだけ寿命の渦――魔術師以外は気配呼ぶ――に乗せ、実際には身体を動かさないからだ。
レーオ様の前に立つ。
その美貌も筋肉も美しい。それでいて物凄い圧を感じる――少年漫画なら背後にゴゴゴゴゴとか描かれちゃうやつ。
レーオ様はまだ座ったままだが、それは唐突に始まった。
右足を一歩踏み出すイメージの直後、左足が矢のように突き出されるイメージ。
槍かと思ったけどこれ蹴りなんだよね。
今回のルールとして、武器として良いのは己の肉体のみ――ということで下がる選択はしない。
レーオ様の鋭い左足蹴りをかいくぐるように踏み込み、右手で渾身の突きをレーオ様のみぞおちへ、というのは読まれているだろうから、そこでしゃがみ、レーオ様の軸足になっている右足へ、左足で足払いのイメージ。
と、そこへレーオ様の左足が素早く戻ってきて俺の背後から延髄を刈り取るイメージ――慌てて身体をかわす、のが精一杯で、そこへ来たレーオ様の右手には反応が遅れ――って目潰しっ?
頭を突き出し額でなんとか防ぎ、足払いに使った左足でレーオ様のバランスを崩すべく蹴り上げようとしたが、そこで頭をつかまれたイメージ。
本当ならばここで魔法を発動するところだが、これはあくまでも気配組み手。武器と同じく魔法も使わない。
ということでレーオ様の右手の肘側から左手で掌底を打ち付け腕の可動域を制限しつつ、右拳で俺の頭をつかむ手を下から突き上げるイメージ――そこへレーオ様の左蹴りが俺の脇腹へ――これは魔法なしじゃ防げない。
なんとかダメージを減らすべく左側へステップ――なんてやっぱり見抜かれていて、一瞬意識がそれたレーオ様の右手が俺の頭から離れて、俺の喉へ――そのまま地面へ後頭部から叩きつけられるイメージ。
ああ。魔法なしだと恐らくここで意識が飛んでいる。
「参りました」
レーオ様はとにかく疾い。しかもその動き一つ一つが重い。
実際に受けたわけじゃないけれど、寿命の渦に乗る筋肉を動かすイメージの厚みが違うというか。
「勇猛なる雷姫」という二つ名の通りだと思い知った。
「リテルよ。寄らずの森の魔女の弟子見習いであり、得意の武器は弓とも聞いている。ならば近接でこれだけ動けるのは、将来が楽しみだ……だが、育ちが良すぎるな。相手の急所なり動きを制限するなりしたい場合は、その一手が見えなくなるほどの強き別の一手を囮として使った方がいい。攻撃と攻撃との連携も薄い。三手、四手繋げたら、そこで息切れしているようだ。お前に時間があるのなら、うちの近衛の訓練を受けさせたいところだがな」
「勉強になります。ありがとうございます」
いや本当に。
課題も明確に見えたし。
いつも戦場ではそんな先まで考えるゆとりはなかったが、物理戦闘も魔法と同じで普段から脳内でシミュレートしておくしかないんだな。
「もっと筋肉をつけろ。筋肉はいいぞぉ」
レーオ様は豪快に笑う。
見た目は筋肉美女なのに、中身はマッスルおっさんのような感じ。
その後は軽食が供された。
こちらが急ぐというのは伝えてあったので、立ち食い形式で。
あの夜以来、レーオ様の近衛の皆さんがすっかりハマったというナイトさんのポテチも出される。
ディナ先輩も気に入ったっぽい。
こりゃ、そのうちニュナム名物にでもなりそうだな。
ナイトさん邸まで送っていただいた帰りの馬車の中で、ディナ先輩に急に手を握られた。
ディナ先輩からの『テレパシー』だ。
(魔法はいつから公然と使っている?)
ハッとする。
公然と、という意味では多分、傭兵部隊の挑戦試合からだ。
実績紋に「寄らずの森の魔女の弟子」という情報が刻まれているから、それがタールやプルマ副長を参照が可能だと聞いて――いや、それは言い訳だ。
魔法を試合で使わなければ、他の大部分の傭兵たちには知られずに済んだじゃないか。
弟子ということで「まだ魔法を習っていません」と言い張ることだってできたはず。
情けない。
きっと自分がどこまで通用するのか確かめたかったんじゃないかと、今では思えてしまう。
自分の甘さと軽率さを深く反省する。
(……傭兵部隊に入隊せざるを得なかったとき、実績紋に「寄らずの森の魔女の弟子」という情報が刻まれていること、そしてそれを傭兵部隊の大隊長や副長は参照することができることから、魔法を使えることが知られているだろうと軽率にも魔法使用を判断してしまいました。今思えば、見習いなのだから、魔法を使えないことを装うという選択肢があったにも関わらず……申し訳ありません)
(今更取り返しはつかない。だがそこで魔法を使用した実戦経験を得られたと考えるべきか……これからは相手がお前の手の内を知っている前提で行動しろ)
(申し訳ありません)
(謝る暇があるなら次回以降、他のことに対してもその思考を活かせ)
ごもっともです。
(はい)
(ちなみに、ボクは寄らずの森の魔女の連絡係となっている。恐らく周囲からは、食料や生活必需品を寄らずの森へと運ぶ権利を持つ商人、という認識だろう)
だから外ではディナ先輩ではなくディナ様と呼べ、とおっしゃっていたのか。
ディナ先輩が「カエルレウム師匠」ではなく「カエルレウム様」とお呼びしていたのも、そういう意図だったのか。
トゥイードル濁爵領兵に対しても、ルブルムの指示で補給物資を運んで来た、みたいなこと言ってたっけ。
ディナ先輩のおっしゃっていた幾つもの情報を重ねると、教えていただかなくともそこまで思い至る余地はあったように思える。
思考にはもっと可能性がある。
もっと、もっと、考えるようにしなければ。
俺がもっとちゃんと思考できていれば、あの共同夜営地での惨劇はもう少し被害を抑えられたのでは、といまだに思えてしまう。
(気をつけます)
(貴族相手の礼儀は覚えたか?)
(幾つかは「こうかな」というのは把握できましたが、相手が相手だけに中途半端な理解では危険だと感じました)
(この『テレパシー』は便利だな。言語外の情報……お前たたちの世界でいう画像や動画といった情報も同時に送ることができる。ということで、ボクの知識を送ってやる)
(ありがとうございます)
大量のマナー知識が情報としてまるっと送られてくる。
確かに、ものすごく便利だ。
情報の伝達という点ではこれほどの効率の良いものはない。
魔法が凄いというのもあるけれど、その根底にあるのは脳と脳とを直接接続するというSF的な思考だ。
科学と魔法って相性良いんだな。
しかも自分に『テレパシー』を使えば何度でも記憶を再体験できて復習できるというのが地味に頼もしい。
マナーの方はと言えば、ここのマナーには男女別の差異というのがほとんどないのもありがたい。
(そういえば、フォーリーではウェスから何も教わらなかったか?)
(貧民街での最低限の知識や礼儀、幾つかの符丁などを……あとは、相手が気を引く仕草をした場合の注意とか対処法とか、特に相手が女の場合は気をつけろとか……あっ、魔法を使えないときに使いなさいと麻痺毒もいただきました)
必ず使わざるを得ない状況に遭遇するって言われたんだよな。
無駄使いはするなって言われたからいまだに開けてもいない。
それにレムが支給されていたカウダ毒をわけてもらったってのもあったし。
(そうか。それはボクが指示したものではない。ウェスがお前になぁ……)
少しだけ、ディナ先輩が微笑んだようなイメージが伝わってきた。
ナイト邸に着き、礼服を脱ぎ、旅のための服に着替える。
プティの様子を見るとまだ大人しく眠っている。
良い子だ、と、額を優しく撫でてやる。
ふと傍らを見ると、待っている顔のマドハト。
そうだな。マドハトにもたくさん助けてもらっているな。
マドハトの頭をわしわしと撫で、それから荷物をまとめて母屋の方へと向かうと、ナイトさんが笑顔で待っていてくれた。
「整備しておいたぜ、ショゴウキ号」
ルブルムたちが返しておいてくれたんだな。
「えっ、また貸していただけるのですか?」
「ああ。これよ、これ!」
ナイトさんがショゴウキ号の側面をトンと叩く。
そこにはホルトゥスの言葉で『新しいものが、ある! ナイト商会』と書かれている。
何を扱っているのか全くわからないイメージだけのCMを思い出す。これ、狙ってやってんのかなぁ。
「広告付きだからな。これでオレたちにも利があるから、君もそんなに恐縮しないで済むだろ?」
「扱っている商品を書かないのはわざとか?」
あっ、ディナ先輩がツッコんだ。
「知らないのですか? 私はナイト商会のものを持っていますよ……という既にお得意様となっている人からその周囲にご紹介していただくきっかけのための広告なのです」
「ふむ。面白いことを考える」
「ちなみに、中にはリテルくんのご要望を受けてシャベルを用意してある」
中を覗くと、いかにも地球の工事現場にありそうなシャベルが二本も立てかけられている。
「ナイト商会特製踏み鋤をシャベルという名前で売り出していてね。ライストチャーチ白爵領兵の皆さんは標準装備なんだよ」
「あれ。ここに椅子増やしたんですね」
「フフフ、ニヤリ。それは実は椅子だけど、貴重品入れでもあるのだよ。横に小さな鍵穴があるだろう。これを使ってごらん」
渡されたのは――鍵と指輪がくっついたようなもの。
「指鍵と言ってね、こっちでは鍵はそれが主流なんだよ。今、安全ピンとセットになったキーホルダーを開発中なんだけどね、まだまだ指鍵以外は売れないねぇ」
鍵を挿し込んで回し、カチャリという音を確認してからいったん指へとはめる。
なるほど。これは失くさない。
そういえば、ホルトゥスの服にはポケットが滅多にないからなぁ。
開けた中には――見覚えのある使用マニュアル。ショゴウキ号の。
そしてさらにその下にあったのは、さっきまで着ていた礼服?
「クーラ村を襲った魔物を退治してくれたんだろ? うちの従業員にクーラ村出身の子が居てね、とってもとっても感謝してたんだよ。だからこれはオレたちナイト商会からの贈り物だ。さっき着てたやつと同じサイズのだから、何かのときに使ってくれ」
クーラ村を襲った魔物――ルージャグだ。
ウォッタやカーンさんたちは元気にしているだろうか。
そしてファウンと出会ったのもあのときだった。
出会いが最悪だったから、最後の最後までちゃんと信じてやれなかったけど――そして、ギルフォド一・マンクソム一・ニュナム三の共同夜営地では、無関係の人たちを誰一人守れなかった。
俺は本当に――幾つもの感情がどっと押し寄せる。
でも。
感謝されるようなことを少しでも成せたのならば、それは幸いだ。
「ありがとう、ございます」
救ってもらったのは、俺の方なのかもな。
ディナ先輩が急かしてくださったおかげでそれ以上は長引かず、俺たちはショゴウキ号――ショゴちゃんに乗り込む。
マドハトが率先して御者席へと座る。馬まで貸していただいた。二頭立てだから二頭。
「リテルさま! 出発するです!」
俺たちがニュナムを出たのは、ちょうど昼の十時の鐘が鳴ったときだった。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ魔術師見習い。レムールのポーとも契約。
傭兵部隊を勇気除隊し、ウォルラースとタールを倒した。地球の家族へ最初で最後のメッセージを送ったが、その記憶はない。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きくリテルとは両想い。
フォーリーから合流したがリテルたちの足を引っ張りたくないと引き返した。ウォルラースの牙をディナへ届けた。
・ラビツ
イケメンではないが大人の色気があり強者感を出している鼠種の兎亜種。
高名な傭兵集団「ヴォールパール自警団」に所属する傭兵。二つ名は「胸漁り」。現在は謝罪行脚中。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人。取り戻した犬種の体は最近は丈夫に。
地球で飼っていたコーギーのハッタに似ている。ゴブリン魔法を使える。傭兵部隊を勇気除隊。いつもリテルと共に。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
魔法も戦闘もレベルが高く、知的好奇心も旺盛。親しい人を傷つけてしまっていると自分を責めがち。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。ウォルラースを追って合流。
・ディナの母
アールヴという閉鎖的な種族ながら、猿種に恋をしてディナを生んだ。名はネスタエアイン。
キカイー白爵の館からディナを逃がすために死に、タールにより『魔動人形』化された。現在は灰に。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。
・タール
元ギルフォド第一傭兵大隊隊長。『虫の牙』でディナに呪詛の傷を付け、フラマとオストレアの父の仇でもある。
地界出身の魔人。種族はナベリウス。『魔動人形』化したネスタエアイン内に居たタールはようやく処理された。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。ラビツとは傭兵仲間で婚約者。ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種の半返りの女傭兵。知識も豊富で頼れる。二つ名は「噛み千切る壁」。現在はギルフォド第一傭兵大隊隊長代理。
・レム
爬虫種。胸が大きい。バータフラ世代の五人目の生き残り。不本意ながら盗賊団に加担していた。
同じく仕方なく加担していたミンを殺したウォルラースを憎んでいる。トシテルの心の妹。現在、ルブルムに同行。
・ウォルラース
キカイーがディナたちに興味を示すよう唆した張本人。金のためならば平気で人を殺すが、とうとう死亡した。
ダイクの作った盗賊団に一枚噛んでいた。海象種の半返り。クラーリンともファウンとも旧知の仲であった。
・ナイト
初老の馬種。地球では親の工場で働いていた日本人、喜多山馬吉。
2016年、四十五歳の誕生日にこちらへ転生してきた。今は発明家として過ごしているが、ナイト商会のトップである。
・ファウン
ルージャグから逃げたクーラ村の子供たちを襲った山羊種三人組といっとき行動を共にしていた山羊種。
リテルを兄貴と呼び、ギルフォドまで追いかけてきた。傭兵部隊を一緒に勇気除隊した後、ウォルラースを止めに走った。死亡。
・フラマ
おっぱいで有名な娼婦。鳥種の半返り。淡いピンク色の長髪はなめらかにウェーブ。瞳は黒で口元にホクロ。
胸の大きさや美しさ、綺麗な所作などで大人気。父親が地界出身の魔人。ウォルラースに洗脳されている。
・フトゥールム(オストレア)
鳥種の先祖返りで頭は白のメンフクロウ。スタイルはとてもいい。フラマの妹。オストレアは偽名。
父の仇であるタールの部下として傭兵部隊に留まっていた。現在も傭兵部隊の任期を消化しつつ、フラマの面倒を見ている。
・オストレアとフラマの父
地界出身の魔人。種族はアモン。タールと一緒に魔法品の研究をしていたが、タールに殺された。
タールの、ギルフォルド王国に居るアモン種族の『魔動人形』が、この父である可能性が高い。
・エルーシ
ディナが管理する娼婦街の元締め、ロズの弟である羊種。娼館で働くのが嫌で飛び出した。
共に盗賊団に入団した仲間を失い逃走中だった。使い魔にしたカッツァリーダや『発火』で夜襲をかけてきたが、死亡。
・コンウォル
スプリガン。定期便に乗る河馬種の男の子に偽装していた。タールの『魔動人形』の一体。
夜襲の際に正体を現して『虫の牙』を奪いに来た。そしてマドハトの首を刎ねたが、リテルに叩き潰されて焼かれた。
・クラーリン
グリニーに惚れている魔術師。猫種。目がギョロついているおじさん。グリニーを救うためにウォルラースに協力。
チェッシャーやリテルやエルーシに魔法や魔術師としての心構えを教えた。ホルトゥスと地球との繋がりを紐解くきっかけを作った。
・グリニー
チェッシャーの姉。猫種。美人だが病気でやつれている。その病とは魔術特異症に起因するものらしい。
現在かなり弱っており、クラーリンが魔法で延命しなければ危険な状況だったが、クラーリンと利照のおかげで回復。
・チェッシャー
姉の薬を買うための寿命売りでフォーリーへ向かう途中、野盗に襲われ街道脇に逃げ込んでいたのをリテルに救われた。
猫種の半返りの女子。宵闇通りで娼婦をしているが魔法を使い貞操は守り抜いている。リテルに告白した。
・レムール
レムールは単数形で、複数形はレムルースとなる。地界に生息する、肉体を持たず精神だけの種族。
自身の能力を提供することにより肉体を持つ生命体と共生する。『虫の牙』による呪詛傷は、強制召喚されたレムールだった。
・ショゴウキ号
ナイト(キタヤマ)がリテルに貸し出した特別な馬車。「ショゴちゃん」と呼ばれる。現在はルブルムが使用。
板バネのサスペンション、藁クッション付き椅子、つり革、床下隠し収納等々便利機能の他、魔法的機能まで搭載。
・ドラコ
古い表現ではドラコーン。魔術師や王侯貴族に大人気の、いわゆるドラゴン。リテルはその卵をロービンよりもらった。
卵は手のひらよりちょっと大きいくらいで、孵化に必要な魔法代償を与えられるまで、石のような状態を維持する。
・ロービン
マッチョ爽やかイケメンなホブゴブリン。メリアンと同じくらい強い。正義の心にあふれている。
マドハトと意気投合し、スノドロッフ村の子どもたちを守ったリテルに感謝している。
・モクタトル
スキンヘッドの精悍な中年男性魔術師。眉毛は赤い猿種。呪詛解除の呪詛をカエルレウムより託されて来た。
ホムンクルスの材料となる精を提供したため、ルブルムを娘のように大切にしている。
・トリニティ
モクタトルと使い魔契約をしているグリュプス。人なら三人くらい乗せて飛べる。
・ナベリウス
苦痛を与えたり、未来を見ることができる能力を持つ勇猛な地界の一種族。「並列思考」ができる。
鳥種の先祖返りに似た外観で、頭部は烏。種族的にしわがれ声。魔法品の制作も得意。
・アモン
強靭で、限定的な未来を見たり、炎を操ることができるなどの能力を持つ地界の一種族。
鳥種の先祖返りに似た外観だが、蛇のように自在に動かせる尾を持つ。頭部は水鳥や梟、烏に似る。
■ はみ出しコラム【魔物デザイン ドラコ】
とうとう生まれました、ドラコ。
ということで今回の魔物デザインはドラコです。ドルフ・ラングレンじゃないよ(それはドラゴ)。
・ホルトゥスにおけるドラコ
古い表現ではドラコーン。魔術師や王侯貴族に大人気の、いわゆるドラゴン。
その卵は手のひらよりちょっと大きいくらいで、孵化に必要な魔法代償を与えられるまで、石のような状態を維持する。
生まれてからしばらくは離乳食代わりに魔法代償を好んで食すが、成長したら肉や果物も食すようになる。
成長サイズはグリュプスよりも大きい。翼が有り、成長すると飛行も可能。アールヴの隠れ里にも一頭居る。
・地球におけるドラコ(というかドラゴン)
あまりにも資料も種類も伝説も多く、とてもじゃないけど転載はできない感じなのであえて省略します。
私自身が所有する書籍においてもドラゴンのオンリー本が三冊あり、ドラゴンの記述がある本となると十冊をくだらないかと。
→ 苑崎透:著『幻獣ドラゴン』
→ 荒川紘:著『龍の起源』
→ ダグラス・ナイルズ:著、高尾菜つこ:訳『ドラゴンの教科書』
・ドラコのデザイン
デザインの最初は、数多あるドラゴンの性質や特徴の中から、何を選ぶか決める、というものだった。
その中で要素として特に気になったのは「魔法抵抗力が高い」と「毒を持つ」だった。
しかしその要素をそのまま使うわけではなく、そういう生物はどのような生態を持つのか考えるところから始まった。
単純に毒を吐くのではなく、まるで毒を喰らったかのように被害者が死ぬ、というのはどうだろうか。それなら寿命をそのまま喰らうことができるというのはどうだろうか。寿命の渦は、そのまま魔法発動のためのエネルギーとなる。ならば、この寿命の渦を食する、というのが設定的には面白そうだ、と。
そこから逆に、ドラコと魔石の関係というのも出来上がった。
卵の段階から温度ではなく魔石からエネルギーを得て成長するのはどうだろうかと。いやむしろ、ドラコの卵を生育する環境として親ドラコが通常の石なり鉱石なりを魔石化する能力を持つのはどうかと。
そして「魔石の採れる場所の秘匿化」「魔石の秘密を知る一族」という設定が出来上がり、スノドロッフの一族が出来上がった。彼らがレムルースと契約しているのは、ドラコの巣に近付く難易度から、普通の連中じゃダメだなと思ったから。
魔石さえあれば卵が勝手に孵るのであれば、親ドラコは常に卵に張り付いていなくてよくなる、というのも都合が良かった。
ちなみにロービンが持っていた卵は、盗んだわけではなく、自然災害にて魔石がない場所まで流されるなどしたのをロービンの父親が見つけて大事に保管していた、という設定である。
実はスノドロッフ村の人々に渡せば魔石の「産地」まで卵を運んでくれたのだろうが、ロービンがスノドロッフ村の人々と仲良くなったのは、彼自身の代になってからだったのと、魔石漁りの一族であることをスノドロッフの人々自身が秘密にしていたことから、すれ違っていた、という感じです。
他にも設定は幾つか用意してありますが、それはいずれかの物語の中で語られるかもなので、今回はこのへんで。
あっ。ちなみに成長しても可愛い女の子に人化したりはしません。ドラコはドラコのままです。




