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#54 稀少なアルバス

 やけに響く足音と共に金属が擦れる音――鎧に金属部分が多い?

 野盗の類いは動きやすさや物音を立てないという利点を考慮して鎧に用いる金属はリベット部分だけとかいうのを、今着ている新しい革鎧をディナ先輩からいただいたときに説明されたっけ。

 金属部分が多いということは、それだけ戦闘向きにシフトしているってこと。

 傭兵とか、野盗の中でも武闘派とか。

 あ、灯りが点った。

 入り口付近に置いてあった松明ではなく、灯り箱(ランテルナ)を持っているのか?


 メリアンは洞窟の脇へと身を(かが)める。

 俺とルブルムも、メリアンと同じ側の脇へと潜む。

 ロービンは反対側の脇へと隠れ、ウォルラースもロービンのすぐ後ろへと身を寄せる。

 ウォルラースがカウダ盗賊団の仲間でロービンを利用しているだけだとしたら、背後から闇討ちするかもしれない。

 ウォルラースのすぐ後ろに隠れたほうが良かったか? いやでも、ウォルラースはずっとルブルムを警戒しているっぽいし、不用意に近づいてウォルラースに怪しいと思われるのも困る。

 ――いや、待てよ。

 背後から闇討ちっていうのは、ここだけの話じゃない。

 さっき居た場所の地下水路の向こうとか、あの二股通路のもう一方とか、そういう場所からケティやスノドロッフの子どもたちをさらいに来ないとは断言できないんだ。

 『魔力感知』をウォルラースには触れないよう後方へだけ細く伸ばして、ケティたちの無事を確認する。

 そうこうしているうちにも足音は確実に近づいてきている。


「……あのー。誰か居ますかー?」


 声をかけてきたのは向こうからだった。

 若い男っぽい。

 心なしか震えている声――いや、油断を誘うためかもしれない。


「あのー、居ませんかー?」


 ここはどうするべきだろうか。

 もしも盗賊団の連中なら、こんな声かけをするだろうか?


「おいらが行ってくる」


 ロービンは小声でそう言い残すと、立ち上がって入り口へと進んでしまう。


「わっ、足音? や、やっぱり誰かいますよねっ?」


「おいらはロービン。君は誰だい?」


「ぼ、僕は名無し森砦の守備隊、第二隊副隊長ロッキンです。フライ濁爵(メイグマ・クラティア)が三男にして勲爵(エクウェス)です」


 砦の守備隊――ということは王国直属の王兵だ。

 名無し森砦というのは、クスフォード虹爵(イーリス・クラティア)領都フォーリーとボートー虹爵(イーリス・クラティア)領都アイシスとを結ぶ街道の分岐付近にある砦で、領土的にはクスフォード領内ではあるのだけど、王国直轄の砦。

 何事も事件がなく街道を進めていれば、夕方になる前には着けていたであろう場所。

 この名無し森砦の先で、ラトウィヂ王国の王都キャンロルへも道が分岐していると聞いている。

 そういう重要拠点だから、貴族が兵士に混ざっているのかな。

 勲爵(エクウェス)は、虹爵から濁爵までのような世襲貴族ではないにも関わらず、王侯貴族に謁見できる身分だと教わった。

 このロッキンさんみたいに貴族の後継者以外の子以外にも、平民上がりだけど功績上げた人なんかが与えられるはず。


「そのロッキンがここへ何しに来たんだい?」


 貴族を呼び捨て?

 しかも疑うことを知らないと思っていたロービンが、相手から情報を引き出そうとしている?


「街道を巡回中、盗賊団のものと思われる死体を見つけまして、事件の可能性があるとみて探索に来たのです。そしたらこちらの竪穴に、中へ降りてゆくための通路と、馬とを見つけまして……」


 言っていることに不自然さはない。

 馬が騒いでいたのなら見に来てもおかしくはない。あの小道からそれが聞こえるかまでは分からないけれど。

 ただ気になるのは、なんで一人で入ってきている?

 六人も居るんだ。事件の可能性があるのなら、中に入るのは二人くらい居てもいいものじゃないのか? しかも副隊長自ら。

 まるで中は安全だと知っているかのような――本当に砦の守備隊なのかどうかも怪しいな。


「盗賊団なら一人やっつけた」


「えっ」


「盗賊団にさらわれた子どもたちも保護している」


 ロービン、何もそんなバカ正直に……。


「盗賊団にさらわれた子どもたち? そんな子たちがいるんですか?」


 あっちは知らないフリなのか、本当に知らなかったのか。


「奥にいる!」


「じゃ、じゃあ、保護しないと! ちょっと待っててください!」


 足音はバタバタと洞窟の外へと出ていき、何やら説明しているような声がわずかに聞こえている。

 ケティや子どもたちは今のところ無事だ。


「子どもたちを連れてこよう!」


 ロービンの声は明るい。


「そうだね」


 そう答える以外に何も案は思いつかなかった。

 もしも本物の王兵なのだとしたら、ここで変な対応なぞしようものなら逆にこちらが疑われて危ない。


 やがて、ロッキンさんともう一人、小太りのプラプディンさんという王兵がロープと灯り箱(ランテルナ)とを持って入ってきた。

 ルブルムが突然尋ねたりしから、プラプディンさんは両生種(ヘケトッ)だとわかった。

 ちなみにロッキンさんは山羊種(パーンッ)

 俺はかなり驚いたのだが、初対面の人に獣種を尋ねるのは一般的に失礼なことではないとされているようだ。

 けどそれは、獣種の先祖とされる動物――先祖獣(アンテセッソール)を食卓に出さないための最低限の礼儀として。

 食事を振る舞ったり、一緒に食事をする前のマナーであって、こうやって初対面でいきなり聞いてしまうのはメリアンやウォルラースまで吹き出してしまうようなことっぽい。


「では早速運び出してしまいましょう」


 ロッキンさんの号令のもと、皆で協力してケティやマドハトや子どもたち、バータフラの死体までもが一緒に洞窟を出る。

 洞窟の外では四人とも馬を降りた状態で俺たち待っていた。

 時間的にはたいして経ってはないはずだが、ずっと神経を使っていたせいかやけに眩しさを感じる。

 樹々の切れ目からのぞく空は暮れてこそないが、夕焼けはそう遠くなさげな気配。


「盗賊団の退治協力、感謝する。私が名無し森砦の守備隊第二隊隊長、ダイク勲爵だ」


 筋肉質で猿種(マンッ)にしては体の大きなこの隊長さんも勲爵なのか。


「改めて、僕はロッキン。第二隊副隊長をしている」


 ロッキン副隊長さんに続いて他の王兵な皆さんも自己紹介をしてくれる。

 鼠種(ラタトスクッ)のスナドラさん、鳥種(ホルスッ)のホリーリヴさん、馬種(エポナッ)のブラデレズンさん――えっと、一度に名前こんなに覚えられるだろうか。

 しかも誰かはわからないけれど『魔力感知』で触られた感じがした。

 この六人、もしくはウォルラースかロービンが魔法を使えると警戒していた方が良いってことだよね。

 ルブルムはここへ来る前から今までずっと普通に『魔力感知』を使いっぱなしだから、こちら側に最低でも一人は魔法を使えるのがいるってこともバレていると考えた方がいいだろうな。

 俺はほんのり『魔力微感知』に留めているが、本当にこれで相手にバレないでいるのか不安もある。

 今度時間ができたらルブルムに確認してもらおう。


 しかしさすが王国直属の兵士さん。装備がいい。

 腰に小剣、背中に円盾、鎧はベースが革で金属板を一定間隔で取り付け補強されているタイプ。隙間の多いラメラーアーマーといった感じ。

 鎧だけじゃなく、兜に籠手、脛当て、馬の頭と胸元にも同じタイプの補強がされている。

 ちなみに馬の胸元防具は鞍とつながっていて、鞍の右側には槍、左側には小型の弓と矢筒とが引っ掛けられている。

 これだけしっかりと武器防具が揃っているということは、この辺りにもしかしたら異門(ポールタ)とかあって、魔物が出現しやすかったりするのかな。


 メリアンがルブルムに目配せしたので、ルブルムが自己紹介を返す。


「私はルブルム。とある費用を徴収するために人を追っている。こちらは従者のリテルとマドハト、ケティ。こちらは護衛のメリアン」


 さっきメリアンがウォルラースとロービンへ説明したのにルブルムも合わせてくれたのか、ケティが護衛から従者へと変わっている。


「ずいぶん従者が多いんだな。あんた美人だし、どこぞのお嬢様かなんかかい?」


 ブラデなんとか――馬種(エポナッ)の王兵が鼻の下を伸ばし気味にルブルムやケティを値踏みするような目で見つめている。


「追っている人の顔を見たのが私とケティの二人だけなのです」


 フォローを入れた俺にはあからさまに興味なさげな表情に変わるブラデなんとか。。


「街道で突然襲われてな。その従者をさらわれたから、ここまで追いかけてきたんだ。そちらのロービンが協力してくれたおかげで、なんとか取り戻すことができたってとこだ」


 メリアンの追加説明を受けて、今度はロービンが自己紹介する。

 王兵という響きからもっと立派なイメージを勝手に持っていたけれど、案外ガラも態度も悪いんだな


「おいらはロービン。この森に住んでいる。小さな子どもたちを連れたやつらを見つけたから声をかけたら、そいつら良い人のフリをして、おいらそれにすっかり騙されたんだ。でもそこのウォルラースに酷いことをしようとしたから、良い人じゃないってわかって倒したんだ」


 バータフラを指差す。

 ん?

 なんかロッキンさんの表情が――寿命の渦(コスモス)も『魔力微感知』でもわかるほど震えている。

 強い感情、なんか怒りのような?

 まさか知り合いとか?


「わ、私がウォルラースです。行商人です。アイシスでの取引に必要なものをフォーリーへと取りに行くために乗っていた定期便が襲われて、ここへ連れてこられました。その盗賊団って人に脅されていたんですが、ロービンさんとそちらのルブルムさんたち御一行に助けていただきました」


「ぼく、トーム」


 ロービンの足下にしがみついている三人の子どもだちのうち、一人が手を挙げた。

 すると残りの二人も続く。


「わたしはミト」


「あたいはモペト」


 洞窟の中では気付かなかったが、スノドロッフの子どもたち三人は全員透き通るほど肌が白く、目が赤い。

 しかも先祖返りで、獣種は猫種(バステトッ)

 首から上だけ見ているとアルビノの仔猫にしか見えない――リテルの知識によれば、この世界ではアルビノじゃなくアルバスと呼ぶみたいだけど。

 三人を洞窟の外へ連れ出したとき、メリアンが驚いていたってことは珍しいんだろうな。

 ふいにディナ先輩の言葉を思い出す。「連中は、アールヴとかホムンクルスとかを希少価値だと考える」ってやつ。やっぱりこの盗賊団とウォルラースはつながっているような気がする。


「とりあえず砦まで送ろう。道の途中に放置してあった馬車をそこまで持ってきた。乗り給え」


「待ってくれよ、ダイク。この子たちの親はもうすぐここへ来るはずなんだ」


 ロービン、砦の守備隊長でも呼び捨てか――じゃなくて。

 バータフラの仲間が親を呼びに行っているって嘘なんじゃないのか?

 それとも何か特別な通信手段とかあるのだろうか?


「そうか。もうすぐ来るのか……じゃあ」


 笑顔のまま、ダイク隊長はロービンにいきなり斬りかかった。

 とっさに飛び退くロービンへ、二撃、三撃と、ダイク隊長は異様な剣での攻撃をやめない。

 その三撃目を、ロービンはあの大剣で受け止める。

 そのおかげでダイク隊長の使っている異様な剣の形を視認できた。片刃なんだけど、刀身の背の部分、つまり刃がついていない方は鋭いギザギザ形状になっている。


「白いのを逃がすなっ!」


「おいっ」


 止めに入ろうとしたメリアンが、突然片膝をついて黙りこくる。片手で下腹部を抑えている。

 ルブルムとケティも同様に、お腹を抑えて地面にしゃがみ込んだ――何をされた? 魔法?

 消費命(パー)の集中は感じられなかった――『魔力微感知』じゃだめだ。『魔力感知』へと切り替える。


「犬っころは魔法を使う!」


 ウォルラースが叫んだ直後、スナドラと小太りプラプディンが小剣を抜き、マドハトへと斬りかかった。

 その攻撃をマドハトは器用に避けて、走り出す。

 あっ、今俺に魔法が「触れた」感じ――ああ、これが魔法を防げた感じか。

 魔法を唱えたのは――わかりやすく両手を顔の前で組んでいる、鳥種(ホルスッ)のホリなんたらいうやつか。

 馬種(エポナッ)の鼻の下野郎も剣を抜きこちらへ――俺は倒れる、と見せかけてウォルラースの方へと跳んだ。

 ルブルム達が苦しんでいるのはあいつのせいだ。ディナ先輩のときに使ったのと同じ魔法的な何か。


 しかしというかやはりというか、ウォルラースの奴、やけに素早い。

 手斧を抜いて斬りかかったが、小剣でうまくさばかれる。

 実戦経験は向こうが上か。

 ただ魔法代償(プレチウム)が消費され続けているのは感じる。

 これだけ動けるというのは、使用に集中を要する魔法じゃない。何か魔法品を使っているのか。

 また魔法に触れられた感じ。

 幸いまた防げたみたいだが背筋がゾクゾクする。

 これで俺が魔法にかかって眠ったり麻痺ったりしようものなら、ルブルムやケティやあの子どもたちがどんな目に遭うかわからない。

 気合を入れてウォルラースへと襲いかかるが、相変わらず有効打をキメられない。

 しかもウォルラースの奴、ちょいちょいマドハトを気にしている。

 そうか!

 マドハトは『魔力感知』を知らないが、俺が魔法を使えるというのがバレていないから、俺の『魔力感知』をマドハトが使っていると思っているんだな?

 だとしたら俺の魔法は切り札になり得る。

 使い所を間違えちゃいけない。


 鋭く金属が打ち合う音が響く。

 ロービンがダイク隊長――もう敬称不要だろ――ダイクとやり合っている。

 悪党の仲間のくせにやたらと強い。隊長というのも俺たちを騙すために騙っているんじゃなく、本当に隊長でただ悪事に手を染めてるだけなのか?


 マドハトを襲った二人のうちの一人が走って逃げ回るスノドロッフの子どもたちを捕まえる方に回ったせいか、マドハトはなんとか逃げ回れているようだが、このままじゃヤバい。

 鼻の下野郎はルブルムとケティの方へ向かったが、メリアンが片膝をついたままでなんとかそれを撃退している。

 うわっ、今度はウォルラースの方から斬りかかってきた――この一撃、重たいじゃないか。


「つっ」


 ウォルラースに気を取られていた間に背後を取られていたのか、斜め後ろから斬りかかられた。

 右手に深い切り傷。

 痛みは『虫の牙』の傷ムカデほどじゃないが、右手を強く握れない。

 血で滑り、手斧が俺の手から滑り落ちる。


「しょ、正面からの攻撃じゃないとか言うなよ? 盗賊団め!」


 声も手も震えているロッキンだった。

 『魔力感知』で把握はできていたが、ウォルラースの攻撃を防ぐのにいっぱいいっぱいで避けきれなかった。

 見えていても動けるのは別だ。


「違う! 俺たちは盗賊団じゃない!」


「じゃあなぜバータフラ・ミンは死んでいる? 巡回に出ていた砦の王兵がっ!」


「王兵? こいつが? 襲いかかってきたのにか?」


 ロッキンの態度からロッキン自身は盗賊団ではなさげだと感じるが、説得しようにもウォルラースも適度に距離を詰めてくる。


「ウソをつくな! 我らがラトウィヂ王国の誇りある砦の守備兵が!」


「ブラデレズン! ロッキンは賊にやられた」


 まだ何かを言おうとしていたロッキンの声を遮りダイクがそう叫んだ。

 すると子どもたちを追いかけ回していた小太りが突如、ロッキンへと走り寄り、斬りかかった。

 すんでのところでロッキンはその刃を防ぎはしたが、「どういうことだ!」と叫びながら防戦一方だ。

 今の隙に消費命(パー)を集中して――そのとき、視界の端でマドハトを襲おうとしたスナドラがみっともなく転んだのが見えた。

 おかげでウォルラースの注意がそちらへ向く――届けっ!

 血まみれの右手をウォルラースへ向けると同時に『水刃』を使った。自分の血で。消費命(パー)は二倍で。

 俺の血でできた刃が刹那、指先からウォルラースの小剣の脇を抜け喉元まで伸びた――のを、ウォルラースは首をひねりながら仰け反った。

 マジか!

 血の刃はウォルラースの左の牙をへし折りはしたものの、その首には刃先がわずかにかすった程度。

 しかもウォルラースは倒れ込みながら、俺から離れる方向へと跳んだ。

 ああダメだ。『水刃』の効果時間が終わる。

 ビシャっと地面に自分の血が落ちる音を聞きながら、俺は立ちくらみで地面に膝と手とをついてしまう。

 体内の血を刃として大量に使ってしまったからか――自分の内側にあった血まで使ったから。

 意識を集中しようにも、この体調では『虫の牙』の傷ムカデの痛みに耐えるのは至難。

 だがここで倒れるわけには!


「よくやった!」


 メリアンの声が轟いた。

 飛びそうな意識をなんとか痛みで押さえつけていた、その痛みがふっと薄れる。

 痛みが引いてゆく。

 右腕の斬られた傷も、左腕の傷ムカデの痛みも。

 ルブルムが『生命回復』と『脳内モルヒネ』とをかけてくれていた。

 俺がウォルラースへ仕掛けた攻撃で、ウォルラースの使っていた魔法効果を途切れさせられたのか?

 メリアンが鼻の下野郎の顔面へ小剣を突き刺したのと、ロービンがダイクの左手――武器を握っていなかった方の手を切り落としたのは同時だった。

 ケティはルブルムの小剣を構えてスノドロッフの女の子たちを守ろうとしている。

 スナドラはまだつるつる滑っていて、マドハトは俺の方へと走ってくる。

 形勢は逆転したかと、落とした手斧を拾いながら周囲を確認したそのとき、ロッキンに襲いかかっていたはずの小太りがスノドロッフの男の子に追いついてしまったのが見えた。


「う、動くな! このガキを殺すぞっ!」


 小太りが、短剣をトームの首筋に当てた。


● 主な登場者


有主(ありす)利照(としてる)/リテル

 猿種(マンッ)、十五歳。リテルの体と記憶、利照(としてる)の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。

 ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。


・ケティ

 リテルの幼馴染の女子。猿種(マンッ)、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。

 リテルとは両想い。フォーリーから合流したが、死にかけたり盗賊団による麻痺毒を注入されたり。


・ラビツ

 久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。

 フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。


・マドハト

 ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、今は犬種(アヌビスッ)の体を取り戻している。

 リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。変な歌とゴブリン語を知っている。


・ルブルム

 魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種(マンッ)

 槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。ケティがリテルへキスをしたのを見てから微妙によそよそしい。


・アルブム

 魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種(ラタトスクッ)の兎亜種。

 外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。


・カエルレウム

 寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種(マンッ)

 ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。


・ディナ

 カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。

 アールヴを母に持ち、猿種(マンッ)を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。


・ウェス

 ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種(カマソッソッ)

 魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。


・『虫の牙』所持者

 キカイー白爵(レウコン・クラティア)の館に居た警備兵と思われる人物。

 『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。


・メリアン

 ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。

 ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種(モレクッ)の半返りの女傭兵。


・エルーシ

 ディナが管理する娼婦街の元締め、ロズの弟である羊種(クヌムッ)。娼館で働くのが嫌で飛び出した。

 仲間の猿種(マンッ)鼠種(ラタトスクッ)と共に盗賊団に入団しようとしたが、現在は盗賊団の毒で麻痺中。


・バータフラ

 広場の襲撃者である二人の爬虫種(セベクッ)の片方。ロービンの居る竪穴の底まで馬に乗って逃走。

 洞窟内へと逃げたがロービンに倒された。「スノドロッフの子どもたちを保護した」と言っていたらしいが盗賊団の入れ墨があった。


・ロービン

 マッチョ爽やかイケメンなホブゴブリン。メリアンと同じくらい強い。正義の心にあふれている。

 マドハトと意気投合し、仲良くなれた様子。


・スノドロッフの子どもたち

 魔石(クリスタロ)の産地であるスノドロッフからさらわれてきた子どもたち。カウダの毒による麻痺からは回復。

 猫種(バステトッ)の先祖返りでアルバス。ミトとモペトの女子二人はケティに守られているが、男子トームが敵に捕まった。


・ウォルラース

 キカイーの死によって封鎖されたスリナの街から、ディナと商人とを脱出させたなんでも屋。金のためならば平気で人を殺す。

 キカイーがディナたちに興味を示すよう唆した張本人。盗賊団にさらわれた被害者の素振りを見せていたが……。


・ロッキン

 名無し森砦の守備隊第二隊副隊長であり勲爵(エクウェス)であると自称。フライ濁爵(メイグマ・クラティア)の三男。

 本当の守備隊のようであり、仲間が盗賊団であることを受け入れられないでいる様子。


・ダイク

 名無し森砦の守備隊第二隊隊長であり勲爵(エクウェス)であると自称。筋肉質で猿種(マンッ)にしては体の大きい。

 ロービンに襲いかかったが、左腕を切り落とされた。ウォルラースと密接な関係のようである。


・プラプディン

 名無し森砦の守備隊の一員と思われる。小太りの両生種(ヘケトッ)。現在、トームを人質にとった。


・スナドラ

 名無し森砦の守備隊の一員と思われる。鼠種(ラタトスクッ)。マドハトを追いかけていたが現在つるつる滑りっぱなし。


・ホリーリヴ

 名無し森砦の守備隊の一員と思われる。鳥種(ホルスッ)。魔法も使うようだ。


・ブラデレズン

 名無し森砦の守備隊の一員と思われる。馬種(エポナッ)。ルブルムやケティを見て鼻の下を伸ばしていた。

 ウォルラースの魔法的効果でうずくまっていた女性陣を襲おうとしてメリアンに返り討ちにされた。




■ はみ出しコラム【砦の指揮系統】


・守備隊司令官

 砦の司令官は爵位持ちの貴族が請け負う。

 その補佐として補佐官が付く場合があるが、基本的には司令官の身内や部下であることが多い。

 司令官が誤った判断をしたとき、その責は司令官にあるとされるため、縁故というよりは能力が高いか信頼できるかする者が就く場合がほとんどである。


・守備隊隊長

 砦の規模にもよるが、砦の守備隊は基本的には一日を三交代により途切れることなく任務にあたる。

 砦時計をもとに、朝の六時から十二時(十進換算で十四時)までの勤務を第一隊、十二時(十進換算で十四時)から十八時(十進換算で二十二時)までを第二隊、十八時(十進換算で二十二時)から翌六時までを第三隊として、それぞれに隊長、副隊長が配置される。

 守備隊隊長は司令官のほか、砦を視察に来る領主や王族と直接会うことがあるため、勲爵(エクウェス)を含めた爵位持ちのみが任命される。


・砦時計

 ラトウィヂ王国においては、脱進機付きの振り子式時計が砦の中央塔に設置されている。

 年に四回、春分・夏至・秋分・冬至に、太陽の位置をもとに時計のズレを調整することが定められている。


・守備兵

 第一隊から第三隊までの各隊と、有事の際には優先的に応援・遊撃部隊とされる休息隊を含め、最低でも四部隊が配置される。

 各部隊は「班」とも呼ばれ、五、六名からなり、班長を一人おく。


・名無し森砦

 「名無し森砦」については、第一隊から第三隊までについては各二班ずつが配置され、休息隊として一班、巡回部隊として一班が別途配置されている。

 なので砦の兵員規模としては五十名ほどになる。


 砦自体は頑丈な石壁で覆われており、砦内には、定期便の馬車(ゥラエダ)や旅人が利用できる野営施設も用意されている。

 また、守備兵以外も利用できる井戸も砦内には設置されていて、安価での利用が可能となっている。


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