#51 洞窟の奥に居る者
「ホブゴブリン?」
ルブルムがぽそっと呟いた言葉に突然、丈侍を思い出した。
この筋骨隆々のイケメンがホブゴブリンってのは、丈侍に出会う前の俺ならば頭に「?」が浮かんだだろう。
ゲームやゲーム世界観を元にしたマンガなんかに出てくるホブゴブリンはゴブリンの上位種族で強いけど醜悪なモンスターというのが、それまでの俺の中にあったイメージだったから。
でも今は違う。
丈侍が言うところの「正統派ファンタジー」のホブゴブリンだ。
ロビンフッドはホブゴブリン、ムーミンはトロール、白雪姫の七人の小人はドワーフ、オーガはシャルル・ペローの長靴を履いた猫で初めて名前を与えられた人食い鬼。
「ゴブリン? おいおい、ちびっちゃいやつじゃないのかよ?」
メリアンは馬から降りると、メリアンサイズの例の小剣二本をすらりと抜いた。
なんでも知っている印象があったメリアンでも知らないということは、この世界的にはレアだけど、ルブルムが知っているということは、カエルレウム師匠の本棚にあった本の中にホブゴブリンについて書かれたものがあったということか。
ここはまだクスフォード虹爵領だから、その書物はこの個体について書かれていたまであるな。
マドハトも底へと到着し、モタモタと馬から降りようと――して、なかなか降りられないでいる。
俺たち三人が乗った馬も竪穴の外壁に沿って螺旋状に設置された板の通路を駆け下りる。
「獣種に似ているが獣種よりももっと力が強い異界由来の種族という記述を本で見たことがある」
ルブルムがホブゴブリンと呼んだそいつは、そいつ自身の身長くらいある大剣を軽々と構えた。
確かにすごい筋肉だけど、あんなゲームやマンガの中でしか見たことがない大剣をちゃんと使いこなせるのだろうか。
メリアンの持つ小剣なんか簡単にたたっ斬りそうな気配さえある。
防具の方はメリアンがしっかり着込んでいるのに対し、ホブゴブリンは上半身に分厚い革ベルトを何本か交差させるように装着しているのみ。
下半身は革製の巻きスカートみたいなのを着けていて、足下はやはり革を巻き付けたサンダル。
ほぼ半裸に近いが、表皮に防御力とかあるんだろうか。
「話が早くていいねぇ」
メリアンは無造作にホブゴブリンへと近づいてゆく。
ホブゴブリンもまた無造作に大剣を振り下ろす。
メリアンは体を捻りつつ二本の小剣で大剣を弾くように受け流し、大きく一歩踏み出しつつ小剣を振り戻す――その切っ先がホブゴブリンの腕へ食い込む寸前で止まる。
ホブゴブリンが強引に引き寄せた大剣で受けたのだ。そのまま力でメリアンを押しつつ大剣を振りかぶる。
押されたメリアンは自ら飛び退き、左手側の小剣の柄を真逆に持ち替え、構えを変えた。
右手の小剣はホブゴブリンの喉へ向け、左手の小剣は居合抜きみたいに腰近くで待ち構える構えに。
そのまま二人は距離を測りながら少しずつ移動する。
フェイントを交えながら何度かに一度は激しく斬り結ぶが、どちらも既の所で、決定打はかわしている。
「……リテル、力が強い」
ルブルムの声で、自分の腕に必要以上に力が入っていたことに気付く。
ルブルムの背後から抱きしめるように両手を回し、麻痺ったケティの体をつかんでいた――その腕に力が入ったもんだから、ケティの体を引き寄せるというより、ルブルムの体を圧迫してしまっていた。
ルブルムは柔らかい革の胴鎧の上から、硬い革の胸当てと背当てとを幾つもの革ベルトでつないだタイプ。
動きやすくはあるがサイド面の防御力は少し落ちるし、こういう前後からの圧迫の影響もモロに受ける。
「ごめん、ルブルム」
慌てて圧迫を緩める。
メリアンたちの戦闘の緊迫感に呑まれかけていたのだろうか。
無意識に力が入っていたということは、思考が立ち止まっていた恐れがある。
落ち着け、俺。
こういうときこそ冷静さを失わず、視野を広く持て。
『魔力感知』の詳細な感知と、『魔力探知機』の広範囲な感知とを切り替えながら繰り返す。
竪穴の底の横穴――洞窟の中へ逃げた爬虫種のことも追ってみようとしたが、洞窟の中は洞窟入り口の真正面からじゃないと感知できなさげ。
そういえば『魔力感知』は障害物を通り抜けられないんだった。
森の中では特に気にしなくて良かったから忘れかけていた。
元々寿命の渦を持つモノや、それを元にした素材――木材とか革とか布とかは障害物たり得ないのだが、金属なんかだと、ほんの数センチくらいの厚さが限界っぽい。
障害の面積が狭ければ『魔力感知』が回り込めてる感じはするんだけど、あまり丁寧に検証したわけじゃないし、どちらにせよ、こんな分厚い岩盤はまるでダメだ――っと。底に着いた。
メリアンたちの戦いを注視しつつ、『魔法感知』で周囲を確認しつつ、俺たちは馬から降り、俺はケティを背負う。
ケティは相変わらずぐったりとしたままなので、俺は体をある程度傾けておかないとケティがずり落ちてしまう。
ルブルムが馬の手綱を近くの岩に結んでいるのを見て、もういっそロープで背中に縛り付けたほうが動きやすいんじゃないだろうかとか、解決策を模索してみたり――ルブルム?
手を止めて、何を見ている?
答えはすぐにわかった。
マドハトが居る場所へと目を向ける。
そこはメリアンとホブゴブリンとが戦っている場所、その二人の狭間だった。
「マドハト!」
しかし、俺の声に振り返ることもなく、マドハトはホブゴブリンへと向かって歩き出した。しかも武器は持たずに。
この竪穴は周囲が土ではなく岩であるがゆえに音がよく響いた。
だから俺にもしっかりとその音が聞こえた。
マドハトが出したと思われるその音が。
舌打ち。
それが第一印象だった。しかもその音は続く。
音色は豊かで、チェッとかチュッとかトゥッとかコンッとかタッとか様々な音色の舌打ち。
さらに合間に、食事マナーの悪いクチャ音が混ざっているような――独特のリズムがある。
ホブゴブリンも同様の舌打ちクチャ音で答え始める。
通じているのか?
まるで会話だ――そう感じた直後、ホブゴブリンが大剣を下ろした。
振り下ろしたのではなく、敵意をなくした感じで。
メリアンはまだ武器を構えたまま警戒の姿勢を解いていないが、マドハトとホブゴブリンは楽しそうに――あれは喋っているのか?
この舌打ちクチャ音、もしかしてゴブリン語?
「わかった。おいらは信じるよ。君たちが良い奴だってこと」
ロービンが笑顔を浮かべ、ようやくメリアンも武器を収める。
マドハトは手招きをしている。
俺はケティを背負ったまま、ルブルムと一緒に彼らの居る方向へと近づく
「さっきの奥に逃げた奴は、あんたの仲間なのかい?」
メリアンが尋ねるとホブゴブリンは首を縦に降る。
縦は否定。
「バータフラは仲間じゃない。でも、良い奴だよ。だってスノドロッフからさらわれた子どもたちを安全なこの洞窟にかくまってくれたんだから」
さっきの奴、バータフラというのか。
「スノドロッフだって?」
メリアンが驚いているってことは――何か有名なところ?
「ルブルムは知ってる?」
小声で尋ねると、すぐに返事が戻ってくる。
「魔石の産地という噂がある。クスフォード領のどこかにあるという虹爵様の直轄地」
なるほど。秘密の場所ってやつか。
「なあ、ホブゴブリンの……あんた、名前はなんて言うんだ? あたしはメリアンだ」
メリアンが自分から名乗った。
「メリアン、よろしく。おいらはロービン」
ロビンフッドを思い出す。
まさかホブゴブリンはみんなロビンっぽい名前なのか――そこで心の中で苦笑する。
ここは地球とは違う世界なのに。
「僕、マドハトです! こちらはリテルさま! ルブルムとケティ!」
メリアンに続いて名乗るべきか迷っているうちに、マドハトが教えてしまう。
ゴブリンの世界では名前を名乗ることが何かの礼儀的なことなのかもしれない。
「なあ、ロービン。さらわれた子たちって言ったよな? さらった奴は誰だかわかっているのか?」
「おいらは見てないよ。だっておいらがバータフラたちと会ったのは、バータフラたちが悪い奴らから子どもたちを取り戻したすぐ後だから」
バータフラ――さっきの爬虫種がそんないい奴だったら、どうして俺たちに襲いかかってきた?
裏切り御者のノバディとは仲間のような感じだったし、街道を封鎖して旅人襲うような奴らが――もしもバータフラたちが魔石の産地であるスノドロッフから子どもをさらってきた張本人だとしたら、メリアンと互角なこのホブゴブリンとの戦闘を避けるため、嘘をついたのだとしたら。
だってこのロービン、すごく性格良さげで嘘とか簡単に信じそうだし。
となると、バータフラとそのお仲間は、この洞窟の奥で子どもを人質に取って立てこもるか、さもなくばその子たちを連れて他の出口から逃げるか、あとはさらに仲間が集まってくるのを待って反撃の準備をしているとか――いくらロービンが強くとも、魔法を使われたら形勢は逆転するかもしれないし――まあこれはロービンを信用する前提だけど。
何にせよ、あまり時間を与えない方がいいんじゃないか?
「あの……ロービン」
「なんだい?」
「そのさらわれた子たちはさ、どうしてここに居るの? 早く村に帰してあげたらいいんじゃない?」
「そうだねぇ。でもおいら、この森のことは詳しいけど、スノドロッフ村がどこにあるのかは知らないのさ」
「誰なら知っているんだろう」
そこまで言いかけて、ロービンの表情が険しくなるのを感じる。
ああそうか。スノドロッフって秘密の場所なんだっけ。
もしもバータフラが、子どもたちをかくまう理由として、魔石目当ての悪党が狙っている類のこと言っていたら、俺たちに悪党フラグが立っちゃうよな。
俺たちがスノドロッフのことを知ろうとしてるって思われるのはNGだな――えーと。
「あ、いや、その知っている人に頼んだら、帰してもらえるんじゃないのかなって」
「そうだねぇ。だからバータフラの仲間が、スノドロッフまで連絡に行ってくれているのさ」
そうきたか。
スノドロッフの場所を知っちゃっている体なのか。
でもそれ、けっこう破綻しやすい嘘だよな? スノドロッフからの助けに来た人と遭遇したらすぐにバレるレベルの。
もしやその助っ人とやらが来たらロービンとの戦闘を避ける必要がなくなるということか?
ということは野盗の増援が来た時はロービンを仲間にするか、せめてこちらとは敵対しないように信用を得ておかないとってわけか。
そして何より時間はない。
「そのバータフラって、さっき中に入っていった人だよね? なんかさ、俺たち勘違いされているかもしれないんだ」
「勘違い?」
ロービンが首をかしげる。
かしげるという動作は地球もこの世界も同じ意味。
同じ動きで同じ意味なの地味にありがたい――じゃなくて。
うまく思考を誘導しないとだ。
「俺たちさ、この森を抜けた街道のところで盗賊団に襲われて、こっちの方に逃げてきたんだけど。でも、バータフラは俺たちから逃げ出して。絶対に勘違いされていると思う」
「あー、そうかもね」
「それでさ、話聞いてたら、バータフラたちが追い払った盗賊団と、俺たちを襲った盗賊団って同じ連中かもしれないって思ったんだ」
「うんうん」
「だとしたら、盗賊団が仲間を連れて俺たちのこと探しているかもしれないし、この奥に隠れられる場所があるなら、俺たちも一緒に隠れたいかなって。盗賊団が大人数なら、一緒に戦いたいとも思っている」
「そうだねぇ」
メリアンやルブルムたちと相談もせず話を進めてしまったが、彼女らの表情を見る限り、俺の案を否定するそぶりはない。
ロービンは大剣の、刃の根本にある大きな鍔を背中のベルトについた四本のフックのうち、肩甲骨付近の二本のフックへと引っ掛けた。
「おいらが連れて行ってあげるよ!」
ロービンは空いた両手を柏手のようにパンと打ち鳴らした。
するとマドハトがまた舌打ちクチャ音で何かを話し、ロービンと二人で大笑いする。
マドハトがまだゴブリンだった頃を思い出す。ゴブリンの生態も。
もしかしてロービン、ゴブリン語を知っているってことはこんな爽やかマッチョ好青年に見えて超下品な下ネタで盛り上がっていたりしてないよな?
洞窟の中に入っても、ロービンとマドハトの舌打ちクチャ音会話は続いている。
その洞窟の中は、外から見えていた以上に広い。
入り口から入ってからはゆるやかな傾斜で少しずつ下がりはじめ、入り口を見上げるくらいの深さまで降りたら、そこから先は比較的平坦な地下道が奥へと続く。
平坦の始まりの場所に火のついていない松明がいくつか立てかけてあり、ロービンはそのうちの一つを手に取り、傍らに置いてある火口箱を使って火を灯した。
ルブルムも灯り箱に火を灯す。
火の揺れ方から、風が緩く通っていることがわかる。
少し湿った岩肌に、所々垂れ下がっている鍾乳石の影が揺れる。
背負っているケティを鍾乳石にぶつけないように気をつけながら進む。
そういう細かな凹凸を除けば、穴の断面はだいたいソロバンの珠みたいな形。
真ん中の広い場所はメリアンが背をかがまずに歩けはするが、ロービンが大剣を振り回すのはかなり厳しそう。
そのロービンの大剣。
さすがにロービン自身の身長よりは短いけれど、確実にリテルの背より長さがある。
元の世界で言うところの洋風の両刃剣で、刃の根本、柄との境目部分に長い棒状のしっかりとした鍔が付いている。
例の体に巻き付けた革ベルトには合計四本のフックがついていて、あの棒状の鍔を引っ掛ける位置によって、背筋に沿って、右から斜めに、左から斜めにと、大剣の引っ掛け方が三種類できそうな感じ。
前からこういう大きな剣を普段どうやって持ち歩いているのか不思議に思っていたけど、なるほどこういう方法もあるのか。
歩いているとき揺れはしているが、柄が後頭部にぶつからないよう、首に巻いた革ベルトには柄を受け止める出っ張りのようなものがついている。
色々と工夫してあるんだな。
マドハトが急に立ち止まり、腹をかかえて笑い始めた。
ロービンも立ち止まってマドハトを待つ。
二人はすぐに話を再開し、相変わらず楽しそうに舌打ちクチャ音を洞窟内へ反響させている。
べ、別に寂しくなんかないぞ。索敵に集中できるし。
それよりも洞窟内の『魔力感知』だが、効果範囲を洞窟内の地形に沿って前後へ細長く伸ばしていて――なんとなくだけど、洞窟内の地形を大雑把に把握できているような気がする。
普通の場所でも障害物があると、そこから先が「感知できない」存在感みたいなのを感じるんだけど、岩肌の通路ってまさにそれなんだよね。
「感知できない」ゾーンがほんのりと感じ取れるおかげで、逆に洞窟内の地形が浮き彫りになるというか。
偽装の渦とか、『死んだふり』とか、爬虫種の使っていた『魔力感知』に何もないことを返す魔法とか、そういったモノを感知しようと『魔力感知』の質を高めたおかげで、コウモリがソナーで地形を把握しているのに近いことができるようになったのかも。
しばらくの間は洞窟の先の地形把握と、実際に到着してからの目視での確認結果とを答え合わせし続けた。
どうやら本当に把握できているっぽい。
松明の火が照らすのはほんの数メートル先くらいまでだが、『魔力感知』のおかげで不安をかなり減らせることができた。
まあその分、他のことに神経と思考とを使うだけだけど――あ、この先、二股になっているっぽい?
ん?
その二股の先、片方に誰かいる。
獣種っぽいけど、今まで見たことがない獣種だ。
そいつがさっきの爬虫種と、あと子どもくらいの獣種三人とも一緒に居る――ということは、野盗の一味と判断して良さげ?
「ロービン。この奥には、バータフラと、スノドロッフの子どもたちの他に誰か居るのかい?」
メリアンもきっとあの謎獣種に気付いたのだろう。そんなことを言い出した。
『気配感知』って言ってたっけ。
「ああ、商人さんだよ。ウォルラースだっけかな」
「え?」
思わず声が出てしまった。
「うん。多分、ウォルラースで合っているはず」
ロービンは、確かにそう言った。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。
ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。フォーリーから合流したが、死にかけ、今は麻痺毒を入れられたようだ。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、今は犬種の体を取り戻している。
リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。変な歌とゴブリン語を知っている。
・ルブルム
魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。ケティがリテルへキスをしたのを見てから微妙によそよそしい。
・アルブム
魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種の兎亜種。
外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。
・ディナ
カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。
アールヴを母に持ち、猿種を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。
・ウェス
ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種。
魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。
・『虫の牙』所持者
キカイー白爵の館に居た警備兵と思われる人物。
『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種の半返りの女傭兵。
・ノバディ
ディナが管理する娼婦街の元締め、ロズの用意してくれた馬車の御者。尻に野盗の入れ墨がある。
ちょっと訛っていたが、野盗仲間に対しては普通に喋っていた疑惑がある。
・エルーシ
ディナが管理する娼婦街の元締め、ロズの弟である羊種。娼館で働くのが嫌で飛び出した。
仲間の猿種と鼠種と共に野盗に入団しようとしたが、現在は野盗の毒で麻痺中。
・ブレドア
横転させた馬車で街道を封鎖し、襲撃してきた牛種。
メリアンに返り討ちに合い、死亡。左脇腹に野盗の入れ墨がある。
・小道の襲撃者たち
二人組の爬虫種。馬に乗り、片方は寿命の渦を見えなくしていた。魔法も用いる。
野盗の入れ墨はなかった。ルブルムの活躍により、二人とも死亡した……はずだったのだが。
・バータフラ
広場の襲撃者である二人の爬虫種の片方。ロービンの居る竪穴の底まで馬に乗って逃走。
さらに、洞窟内へと逃げた。「スノドロッフの子どもたちを保護した」と言っていたらしいが、怪しい。
・ロービン
マッチョ爽やかイケメンなホブゴブリン。メリアンと同じくらい強い。正義の心にあふれている。
マドハトと意気投合し、仲良くなれた様子。
・スノドロッフの子どもたち
魔石の産地であるスノドロッフからさらわれてきた子どもたち。
・ウォルラース
キカイーの死によって封鎖されたスリナの街から、ディナと商人とを脱出させたなんでも屋。金のためならば平気で人を殺す。
キカイーがディナたちに興味を示すよう唆した張本人。洞窟の奥の人物が同一人物かどうかは不明。
■ はみ出しコラム【学校】
ホルトゥスには「スクール」と呼ばれる学校的なものが存在する。
細かい部分は地域により異なるが、ラトウィヂ王国においては、以下のような形態である。
・対象年齡
六歳前後から半成人(十歳。十進数換算で十二歳)までの間。
ただし、立ち見で良ければ年齡に関係なく授業を受けることができる。
・開催場所
基本的には地球でいう「学校」のような専門の建物は存在しない。
主な開催場所はそれぞれの地域の集会場であり、イベントのような形で同じ内容の授業を一定期間繰り返す。
対象年齢の者は、その期間内に最低一回は参加しないといけない。
都市部の富裕層区画には、「スクール」専門の建物がある場合もある。
・授業内容
簡単な読み書き(最低限、告知版が読める程度)、
簡単な計算(四則計算)、
魔物の危険性(その地域に実際に出没した魔物について語られることが多い)、
法律(国や領、その地域の守るべき規律や犯罪、税金のこと)、
魔法についての説明(地域による。都市部では半成人以上の年齡の者にだけ教えることが多いが、農村部ではストウ村のように成人するまで教えない方針の地域もある)
・講師
都市部の富裕層区画では専門職がこれを行う場合もあるが、基本的には領監や国監が講師を務める場合が多い。
都市部のスクールには、領監や国監の見習いが立ち見で見学に来る。
・職業斡旋
講師は子どもたちのうち、聡い子を見つけると、特別カリキュラムを組むことがある。興味の方向や技術的な能力など。
場合によっては組合職への推薦を行ってくれる。優秀な人材の登用を担ってもいる。
・通い講師
富裕層や貴族の子女については、スクールに通うのではなく通い講師を読んで自宅で学ばせることもある。
・社交会
貴族の子女については、貴族の子女だけが通う特別な「スクール」が存在する。これを「社交会」と呼ぶ。
そこでは身だしなみや礼儀、政治に関する教養を学ぶ。
社交会において、他者とのコミュニケーションが十分に取れないと判断された場合、庶民とは逆に政治職から引き離す意味での組合職への推薦が行われることもある。




