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#48 何が「守ってみせる」だよ

 馬車(ゥラエダ)から飛び降りたルブルムは、明らかにいつもより跳躍力があった。

 そして馬よりも速く走り、怪我をしていない方の馬の背中へ軽々と跳び移った――ああ、魔法か。

 そういえば自分の体の特定部位を強化する魔法を何種類か作っていると言っていたな。

 走る速さと跳躍力とを強化する魔法は『鹿(ケルウス)』だっけかな。

 ルブルムは馬の背中でまた何か魔法を発動した。

 消費命(パー)の集中と同時に実行した偽装消費命(ニール・ヴィーデオ)にちょっとズレがあったのか、魔法代償(プレチウム)の消費を『魔力感知』で感知できた――できたから何だっていうんだ。

 自分自身に対して問いかける。

 なんで傍観者の位置にいるんだって。


 馬車(ゥラエダ)の速度が落ち始める。

 ルブルムは恐らく馬を落ち着かせたのだ。

 俺がこうしてぼんやりしている間に、もう一頭の馬へと移り、矢を抜き、恐らく今度は『生命回復』を発動した。

 二頭とも落ち着いたから、もうすぐ馬車(ゥラエダ)は停まるだろう。

 ブレーキを押していただけの俺と、具体的な行動を起こして目的を実現化したルブルム。

 ケティを助けるために先に動いたのもルブルムだし、野盗の仲間らしきクソ御者を返り討ちにしたのもルブルム。

 それに対して俺は、ただオロオロしていただけだった。

 マドハトだって置いてきてしまったし。


 何がルブルムを守るだ。

 ディナ先輩と交わした約束だが、今思い返せば恥ずかしい。

 何を「守る」だなんて上から――おこがましい。


「……リテル」


 ケティが弱々しい声で俺を呼んだ。


「ごめ、んね……私……」


「ケ、ケティのせいじゃない。俺の方こそ、ケティをちゃんと守れなくて……」


 ケティのせいじゃないという思いは本当。

 沈んだ表情のケティを慰めたいけれど、うまく言葉が続かない。

 リテルの大事なケティを――俺の今までの行動の何か一つでも違っていれば、ケティの喉にこんな痛々しい傷は残らなかった。

 全部、(としてる)のせいだ。

 (としてる)はやはりこの世界(ホルトゥス)にとって、居てはいけない存在だったん――突然、右手首をつかまれた。


「もう止まった。ブレーキから手を放して大丈夫」


 ルブルムだった。

 そのまま顔を近づけるように御者席へと登ってきたルブルムは、俺の耳元で小さく「寿命の渦(コスモス)」とだけ呟く。

 ハッとして、いつの間にか解けていた偽装の渦(イルージオ)を慌てて再作成する。

 なんてダメなんだ俺は。


「ト……リテルが、頑張ってくれたから、私は落ち着いて事態を見ることができた」


 ルブルムのフォローが今は刺さる。


「ごめん」


「なんで謝る?」


 そうだよね。そこはありがとう、だよね。

 海外旅行中に姉ちゃんにも注意されたっけ。

 自分の矮小なプライドを守るために安易な謝罪を使うなと。

 怒られる前に謝っておけば罪を軽くできると思っている無責任さが透けて見えると。

 相手へ渡すべき感謝を自ら踏みにじり、しかも相手には謝られるようなことをしたかと不要な罪悪感を抱かせる。二重、三重に失礼な態度だと。


「……謝ったのは、俺のとっさの判断が遅れてしまったから。ルブルムのおかげでケティの命を助けられた。ありがとう」


 そう。

 ここで皆の関係がギクシャクするようなきっかけに、間違っても俺がなるわけにはいかない。

 今度はマクミラ師匠の教えを思い出す。

 反省は最小限に留めろと、その場の「次」へつなげるために必要じゃない反省は後回しでいいと。

 まだ「狩り」は終わっていない。

 現状で言うならば、まだ「襲撃」は終わっていない。


「それで状況を整理する。小道へ誘導しようとした御者と、馬を追い込むための道具を用意していた二人の野盗とはつながっていた可能性が高い。だとしたら、この先には野盗の仲間が待ち構えている可能性も高いと思う」


「ここでは馬車(ゥラエダ)は引き返せない」


「だよね。だから馬を外して、いったんメリアンやマドハトたちと合流しに戻るというのはどうだろうか」


「リテル、馬に、乗れるの?」


 ケティが俺を見つめる。

 リテルの記憶の中には馬に乗った記憶はない上に、馬車(ゥラエダ)()いている馬は(くら)もつけていない。


「『安心』という魔法がある。それを使えば動物は落ち着く。母親に撫でられているような安心感を得る――だから、振り落とされずに乗せてくれるはず。後で教えるから」


 ルブルムには本当に頼りっぱなしだ。


「じゃあ、馬の問題はひとまず良しとして……あとはさっきの壁みたいな盾を持った連中だ。まだ街道との合流地点を塞いでいる場合の防御策を考えないと。向こうは弓も持っていたから」


 この先に敵がまだいるのなら、なおさら速やかにメリアンたちと合流したい。

 マドハトが心配なのもあるけど、御者はメリアンへ降伏を呼びかけろと言った――ということは戦力的には二対一でもメリアンは全然負けていなかったかも。

 弓の危険性を考慮しても戻って合流ってのが一番、生存確率が高そうだから。


「その方法は、時間が足りないかもしれない」


 ルブルムの発言の意味はすぐにわかった。

 小道の進行方向の遠くの方から馬の蹄の音が聞こえてきたから。

 即座に『魔力感知』を『魔力探知機』へと切り替える――まだ範囲外。

 ならば、とダメ元で偽装の渦(イルージオ)を変化させる――猿種(マンッ)から鼠種(ラタトスクッ)の兎亜種――御者の獣種へと。

 ルブルムがかけてくれた『脳内モルヒネ』は切れていたから、自身でもう一度かけ直す。

 すさまじい激痛が、強めの筋肉痛くらいにまで落ち着いてくれる。

 これでもう一つの魔法もかけられる。


「『声真似』……あー、あー、旦那ぁ……御者に似てますかね?」


 思いつきの即席で作った魔法ながら、なかなかいけそうじゃないか?

 ルブルムは首を横に――これは同意。まだ首を振る方向の意味の違いに慣れないな。

 そしてルブルムは偽装の渦(イルージオ)で自身の寿命の渦(コスモス)を消し込んだ。

 さすがルブルム、俺のやりたいことを即座に理解してくれる。

 一方、ケティはといえば顔を歪めて目をつぶっている。

 ごめん、ケティ。

 トラウマを(えぐ)ってしまったかもだけど、相手を油断させるためにはこれが最適解だと思うんだ。

 今度こそはできることを全部やっておきたい――そんな俺の気持ちをケティも汲んでくれたのか、ハンマーを手繰り寄せ、首の血を拭いた布で血塗れになった柄を拭う。


「ケティ、無理しないで」


 思わず声をかけたが、小さな声とはいえ『声真似』は、一度変えたら魔法効果時間が経過するまで元の声に戻らないのが残念なところだな。

 切り替えられるようにしようか一瞬迷ったけど、魔法は効果を複雑にすれば必要な魔法代償(プレチウム)も増えてしまうから。

 申し訳なさそうに首を横に振るケティを支えようと近寄ると、ルブルムは俺たちとは反対側、馬車(ゥラエダ)後方へと移動して小剣を構える。

 一箇所にかたまらない方がいいってのは、対魔術師を想定するときには正しいのだが、変なよそよそしさを感じてしまう俺は――気が散ってるな。

 さっきケティが襲われたときのことを思い出す。

 あれは俺に油断があった。

 思い込みがあった。

 注意力が散漫だった。

 二人を守るために、余計なことを考える脳みそリソースは全部、観察と思考とに割り振るんだ。


 ケティには横になったままでいいと指示し、俺はその傍らで馬車(ゥラエダ)の御者席側入り口からケティを隠すように位置取り、手斧を構える。

 入り口から入ってきた者へ手斧が届く距離に。

 もちろん、四方の幌は全て下ろしている状態だ。


 一番良いのは生け捕りで情報を聞きだせることだけど、一番大事なのは逃さないこと。

 来たのは偵察だろうし、ただでさえこちらは人数が少ない。

 それに盗賊団みたいな輩だったら、俺たちより戦闘に慣れている可能性が高い。

 全力で行こう――あっ、『魔力探知機』の範囲に入った。

 馬に乗っているのは一人――この獣種はフォーリーにたくさん居たな。


爬虫種(セベクッ)


 ルブルムが小さく呟く。

 耳が穴だけのあの獣種。

 どんどん近づいてくる馬と爬虫種(セベクッ)

 くっそ緊張する――落ち着け、俺。

 紳士たれ、俺。

 肩の力を抜き、再び手斧を構え直す。


 さらに近づいてきたので広域索敵の『魔力探知機』から、円形の『魔力感知』へと戻す。

 側面の森に伏兵が居る可能性も考慮して。

 その途端、近づいてきた馬が突然止まった。

 距離的には、小道の進行方向のカーブの先あたり。

 こちらから目視できない場所

 あっ、消費命(パー)の集中――あいつ、魔法を使う!

 一瞬、判断に迷いはしたが、あいつらの仲間を装う作戦中だからとぐっと堪える。

 ルブルムも俺の目を見つめながら静かに待機していいる。

 俺の意図が通じているようだ。

 ディナ先輩との勉強会でお互いの意識合わせのために互いの思考の推測をする訓練してたけど、すごく役立っている感がある。


 また馬が動き出した。

 さっきより少し遅い――警戒した速度か。

 自分の身に魔法効果は感じていないということは、攻撃じゃなく補助系の魔法を使ったのだろうか。

 運が良かったと考えるべきだろう。

 これが範囲魔法攻撃とかだったら、もうやられていたかもしれないんだ。

 正直、相手が魔法を使う可能性に対してはかなり無警戒だった。

 魔法という手段がもたらす可能性があまりにも広すぎて、対策以前にそもそも選択肢を適切にピックアップ出来てなかった。

 反省すべきことはたくさんあるが、今は相手の動向とそれへの対応、判断へ集中しよう。

 ほら、もう馬車のすぐ近くまで来た。


「なーに息を潜めてんだよ、ノバディ。連れてくるはずの女を抜け駆けして勝手に味見か? その割には腰振ってねぇなぁ? あーん?」


 ノバディ――御者の名前だろうか?

 馬車(ゥラエダ)の幌は四方を下ろしていたことも、都合よく解釈してくれている。

 腰を降ってないという判断は――さっきの魔法か?

 透視とか――だとするとルブルムの存在も把握されているか?

 しかも「連れてくるはずの女」とか――最初から俺たちを狙っていた?


「あっ……んっ……もっと……」


 実戦の緊張もあるせいか、思考に呑まれて反応を迷っていた俺の股間に、体を起こしたケティが顔を寄せ、やけに色っぽい声を出した。

 向こうの呼びかけに合わせるつもりか?

 ケティはさらに俺にしがみつきながら体を起こし、手斧を持っていない方の左手をケティ自身の胸へと誘導する。

 柔らかい革鎧の向こうの弾力をわずかに感じる。

 さらにケティは俺の口を塞ぐ、ケティ自身の唇で――わざと音を立て、幾度となくキスを繰り返す。


「おいおいおい、再開してんじゃねぇよ。どっちが上だと思ってんだ?」


 声の主はもう、御者席のすぐ真横にまで近づいて来ている。

 しかも俺やケティが居る側に。

 馬からは降りていない――そうだよな。乗り込んでくる選択肢しか考えていなかった俺の浅はかさよ。

 それにしても何もしゃべらないのは怪しいよな。

 ケティの顔を俺から少しだけ離す。


「ちゃんと連れて行きやすから、もうちょっとだけ待ってくだせぇよ」


「ん? ノバディ、お前……」


 もうバレたのか?


「フォーリーじゃ、そんな訛りが流行ってんのか?」


 そうか。地で訛っていたんじゃない可能性もあったか。


「な、なんか、馴染んじまいやして……」


「まあ、お前の潜入も長いからな」


「へへっ」


 愛想笑いを浮かべた瞬間、幌が破れた、というより突き破って槍がっ。

 槍の穂先が俺の左腕を抉る。

 騙せているなんて思ってはいなかったから油断せずに身構えてはいた。

 だけど単純にその速さに反応できなかった。

 ケティじゃなく俺を狙ってくれてまだ良かった。

 ケティを床へしゃがませるように押し、俺は槍が突き出た側とは反対側の――あんまり幌に近付くのも問題あるか。

 左腕は痛むものの『虫の牙』の痛みに比べたら全然マシ――『脳内モルヒネ』の効果時間がまだ切れていないのもあるか。

 いやいや毒が塗ってある可能性も捨てるな。

 馬の位置を考えると槍の長さは半アブス(一・五メートル)、いやもうちょっとあるな。

 念のために傷口の血を吸い出そうとしたが、外側だからか自分の口は届かない。

 急に背後からルブルムが顔を出し、傷口の血を吸い出して吐き捨てた。

 すかさず『生命回復』まで。


「やっぱりな。心臓の動いている死体なんざおかしいと思ったんだ」


 野盗がそう言いながら再び槍を刺してくる――俺とルブルムが居る方向へ。

 なんとか避けはしたが、床が血塗れが足を滑らせて危うく尻もちを付きそうになる。

 そんな情けない俺とは違い、ルブルムは立ち止まらなかった。

 何かの魔法を発動しつつ奴らとは反対側の幌を切り裂き、そこから外へと飛び出した。

 ケティは血塗れの床に伏せている。

 俺は――槍相手に手斧は不利だ。他の武器を――馬車(ゥラエダ)に載せてあったはずの四振りの槍が、一振りすらも残されていない。

 御者がケティを人質に取ったとき――「俺に呼ばれた」とマドハトが御者席側へ出てきたとき、不審に思った俺が馬車(ゥラエダ)の中へと入ったら御者はケティの喉元にナイフを当てていて――あのときケティの方にばかり気を取られていたが、今思えば、ルブルムが後方から何かを外へ出していた。

 ケティを盾にしてルブルムに槍を捨てさせたのかもしれない――なんて分析は後回しだ。

 今は他の武器を――御者ノバディの死体、水の入った木樽、食料の入った革袋、藁の詰まったクッション――そのとき、それらがふわりと浮いた。

 違う。馬車(ゥラエダ)の右側面、やつらの居る側が大きく跳ね上がったのだ。

 横転という単語が脳裏に浮かぶ――俺は無意識に前へ踏み出して、床へと触れる。

 そして『ぶっ飛ばす』を発動した。

 『ぶん殴る』五発分のダメージ。

 衝撃が馬車(ゥラエダ)を揺らし、わずかな静止時間のあと、馬車は元の水平へと落下した。

 その勢いのまま、水の入った木の樽をつかむ。

 一番大きく動いていたやつ、つまり中身がかなり減っているやつを。

 そのまま樽を持ち上げ――くっ。血塗れの床で足が滑って無理か――だけど。

 敵の側の幌近くへとなんとか動かすことはできた――と同時に木樽へとガンッと強い振動。食いついた!

 俺も負けじと手斧で木樽へ斬りつける。

 一撃で亀裂が入ったその裂け目から、水が溢れる。

 俺はその流れる水へと触れ消費命(パー)を集中した――『水刃』を槍のように鋭く伸ばして、馬にまたがる爬虫種(セベクッ)へ向けて。


「痛っ!」

「わっ!」


 声が二つ聞こえた――そういや馬車(ゥラエダ)が傾く前、消費命(パー)の集中を変な場所から感じたな。

 爬虫種(セベクッ)のちょっと後ろから。

 居るとわかった上で見れば、今なら『魔力感知』でも把握できる。

 『魔力感知』に「何も居ない」という反応を返す存在が。

 理解し警戒していたというのに、命がかかった場面で見逃してたのか。

 しっかりしろ、俺!

 自分の未熟さを噛み締めながらもう一回『水刃』を、今度はその後ろの奴へ向けて伸ばす。

 と同時に手斧で幌を裂き、俺も馬の手前へと飛び出した。


 馬に乗っていたのは二人の――同じ顔?

 手前の奴は右手を負傷し槍を手放している。

 後ろの奴は、俺と同じタイミングで御者席側から飛び出したルブルムに小剣で首を貫かれ、そのまま落馬する。

 俺も負けじと手斧を振りかぶると、手前のやつは手綱を引き、馬はいななきながら大きく前足を上げた。

 ここで『水刃』で横から攻撃できたら最高なんだけど、触れている水でなければ発動できないのがな――そんな俺の視界に、ルブルムが現れた。

 馬の背よりも高く跳び、馬車(ゥラエダ)の屋根枠を蹴って空中から手前の奴の肩へと斬りつけるルブルム――手前の奴も落馬した。

 乗り手の居なくなった馬は暴れまわるが、ルブルムはすかさずその背へとまたがり、消費命(パー)を集中し――恐らく『安心』を使ったのだろう。

 馬の暴れっぷりは次第に収まってゆくか、その過程で手前の奴が悲惨なくらい馬に踏まれまくった。

 馬がようやく静かになったときにはもう、全身が不自然な角度に曲がりまくった手前の奴が――その身からは寿命の渦(コスモス)が消えていた。

 『魔力感知』には誰も、「存在しない奴」さえも引っかからない。

 俺は馬車(ゥラエダ)へ乗り込み、ケティを起こして一緒に降りた。

 ルブルムは馬を馬車(ゥラエダ)から外している。


「ルブルム、すごい、ね」


「うん」


 ケティが漏らした言葉に、俺は本心から同意した。

 今回、ほとんどルブルムが一人で倒したようなもんだった。

 もっと動けるようになりたい。

 もっと早く判断できるようにも。

 もどかしさと、自身のおこがましさとで心が震える。

 だからケティが次に口にした言葉に、すぐには返事ができなかった。


「二人の息、ぴったりだよね」


 ケティはじっと俺を見つめる。

 悲しそうな、怒ってもいるような、なんとも言えない表情で。

 これはすぐにフォローしないとダメなやつなんじゃ――そう思いながらも、俺は返事の言葉が見つけられずにいた。


● 主な登場者


有主(ありす)利照(としてる)/リテル

 猿種(マンッ)、十五歳。リテルの体と記憶、利照(としてる)の自意識と記憶とを持つ。魔術師見習い。

 ラビツ一行をルブルム、マドハトと共に追いかけている。ゴブリン用呪詛と『虫の牙』の呪詛と二つの呪詛に感染している。


・ケティ

 リテルの幼馴染の女子。猿種(マンッ)、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。

 リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。フォーリーから合流したが、死にかけた。


・ラビツ

 久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。

 フォーリーではやはり娼館街を訪れていたっぽい。


・マドハト

 ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、今は犬種(アヌビスッ)の体を取り戻している。

 リテルに恩を感じついてきている。元の世界で飼っていたコーギーのハッタに似ている。変な歌を知っている。


・ルブルム

 魔女様の弟子である赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種(マンッ)

 槍を使った戦闘も得意で、知的好奇心も旺盛。ケティがリテルへキスをしたのを見てから微妙によそよそしい。


・アルブム

 魔女様の弟子である白髪に銀の瞳の少女。鼠種(ラタトスクッ)の兎亜種。

 外見はリテルよりも二、三歳若い。知的好奇心が旺盛。


・カエルレウム

 寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種(マンッ)

 ルブルムとアルブムをホムンクルスとして生み出し、リテルの魔法の師匠となった。『解呪の呪詛』を作成中。


・ディナ

 カエルレウムの弟子。ルブルムの先輩にあたる。重度で極度の男嫌い。壮絶な過去がある。

 アールヴを母に持ち、猿種(マンッ)を父に持つ。精霊と契約している。トシテルをようやく信用してくれた。


・ウェス

 ディナに仕えており、御者の他、幅広く仕事をこなす。肌は浅黒く、ショートカットのお姉さん。蝙蝠種(カマソッソッ)

 魔法を使えないときのためにと麻痺毒の入った金属製の筒をくれた。


・『虫の牙』所持者

 キカイー白爵(レウコン・クラティア)の館に居た警備兵と思われる人物。

 『虫の牙』と呼ばれる呪詛の傷を与える異世界の魔法の武器を所持し、ディナに呪詛の傷を付けた。


・メリアン

 ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。

 ものすごい筋肉と角と副乳とを持つ牛種(モレクッ)の半返りの女傭兵。


・ノバディ

 ディナが管理する娼婦街の元締め、ロズの用意してくれた馬車(ゥラエダ)の御者。ちょっと訛っていたが、野盗仲間に対しては普通に喋っていた疑惑がある。


・街道の襲撃者たち

 森の中を近づいてきたのは猿種(マンッ)鼠種(ラタトスクッ)

 横転馬車(ゥラエダ)の裏側辺りに待機しているのが羊種(クヌムッ)牛種(モレクッ)。他にもまだ仲間がいそう。


・小道の襲撃者たち

 二人組の爬虫種(セベクッ)。馬に乗り、片方は寿命の渦(コスモス)を見えなくしていた。魔法も用いる。ルブルムの活躍により、二人とも死亡した。




■ はみ出しコラム【絵画】

 ホルトゥスにおける絵画は、二つに大別される。


告知絵(タブラ)

 教え伝える目的のための絵を告知絵(タブラ)と呼ぶ。

 領主からの告知や、領主や国王その先祖たちの業績を称えるために公共の場に掲げられることが多い大きな絵。

 モチーフとしては魔獣との戦いが多い。

 どのように倒したか、どこが弱点かはかなりしっかり描かれる。

 使われる絵の具は卵黄テンペラが主流。

 板絵の他、カエメン壁へ直接描かれるなど。

 カエメン壁についてはタイルや色石を直接埋め込んだモザイク絵、また、色付きガラスをステンドグラス風にセットした模様(フォルマ)窓という形式もある。


 組合(コレギウム)において秘伝を伝えるなどの目的で描かれた絵についても告知絵(タブラ)と呼ばれる。


芸術絵(ピクトゥーラ)

 主に個人で楽しむための絵全般を指す言葉。

 富裕層の肖像画、風景画、同人誌など。画材はキャンバスに卵黄テンペラ、墨絵、版画など。

 絵の具は相当に高価であり、墨についてもそれなりの値段であるため、金銭にゆとりがある者か、パトロンがいる者でなければ絵を描ける環境を手に入れるのは困難である。

 領主の出したお触れをニュースとして版画化されることがあるが、領主は独自の告知板を持っておりそこへしか告知しない。版画は民間機関がその内容を版画化して販売しているので、芸術絵(ピクトゥーラ)として分類される。

 ちなみに、領主の告知内容を改竄(かいざん)して版画化した場合は厳罰に処される。


 同人誌においては、イラスト付き小説や、それこそ地球の漫画にかなり近い形式のものもある。

 画材の高価さや印刷技術が活字レベル止まりなこともあり、同人誌や漫画を個人所蔵する者はかなり少ない。

 非富裕層の場合、大都市に存在する画廊やマンガ喫茶的な場所へ見に通う形態がほとんどである。


・写真

 写真については、理論が記載された文献は残っているものの実用化はされていない。

 化学的な技術が未発達なため、ピンホールカメラを通して得られた映像を定着させるための技術が確立されていないのである。


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