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4話

「ーーーーーーシャル!?」


思わず振り向くと

エドワードが肩を上下させながら

はぁはぁと苦しそうに息をしていた。


何かあったのかと思う程

真剣な顔付きに不安がよぎり思わず眉を寄せる。


「…シャル?」


シャル…?



「誰と勘違いしているの?私はシャーロットって呼ばれていた筈だけれど?」


でも、シャルと呼ばれても

不思議と不快感や嫉妬心が無い。



「もしかしたら、俺はシャーロットの記憶を無くす前を知っているかも知れない」


「なに?どういう事?」


「話が長くなるから、そこに座ろう」


そうして、座りながら

エドワードの話を聞く事にした。


シャルとは数年前に出会った事

過ごした日々、そして会えなくなってから

探していたこと。

そしてシャーロットと出会った事。



「……それで?」


「思い出せないか?」


「思い出せないわね」


全く思い出せないわね。

本当に私なのかしら?想い人を前にしたら記憶が戻りそうなものだけれど?

ただの他人のそら似じゃないかしら?




私、脚あるし。





「……そうか」



明らかに落ち込んだ声をしている様子に

苛立つ。私をシャルって子として見てたって事ね。


許せないわ。

屈辱だわ。それにドキドキしたなんて

自惚れていたわ。


……お人好しと思ってたけど


「あの優しさはシャルって子に向けられてたのね?」



「……え?…違っ…それはーー」



悔しいわ。悔しい。

だけど、ここでは絶対に泣かないから!

前を向いて食いしばる。


「話が終わったなら、私は戻るわ」




そもそも、髪の色だって違うなんて

呪いでもなきゃ

突然変異みたいな事ありえないじゃない!



本当は走り去ってしまいたい気持ちを抑え

平然を装い屋敷へ戻った。







シャルの話をされて数日間

エドワードを避けて仕事をしていた。


ここに来て、もうすぐで一ヶ月になる。

仕事には慣れた筈が緊張感が解けたのか

日に日に疲れが溜まりつつあった。


自分の脚では無い様な感覚に襲われる事も多々あり、エドワードがしてくれた話を思い出す。



もしかしたら、本当に呪いなのかしら?


自室のベットのうえで

転けた時に出来た沢山の傷をそっと触り

バタンと後ろに倒れ込む。



人間に恋をしたら呪われるとか

掟を破って呪われたとかかしら?



今までの生き方を捨ててまで

好きだったのかしら?



額に腕をのせて

あの日エドワードの『…そうか』と言った時の顔を思い出し苦々しく笑う



記憶を無くしてしまうなんて…


仮に私がシャルでも記憶を無くしたのなら

彼が好きなシャルでは無くなったと

気づかなかったんでしょうね…


悲しませるだけだったわーーーーー


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