エドワード3
親同士が進めた婚約者
幼馴染のロージーが来ていた。
お互いの両親が仲が良く
ロージーとは兄妹の様な関係だと思っていた
婚約が決まったのは
一ヶ月半程前に海難事故に遭った後だった。
ロージーは俺の事を好きだと言うが
俺の好きはロージーとは違う。
きちんと話をつけたかった。
「ロージー、婚約の話なんだが…」
ビクッと肩を揺らしたロージーが
こちらを見て困った様に笑う
「テディは私の事が嫌い?」
「嫌いじゃない。けど、俺はーー」
「じゃあ、問題無いと思うの。親同士が結婚を決める事なんて良くある事だし…」
「だけど、俺にはーーー」
「おじ様は喜ぶんじゃ無いかしら?私も娘みたいに可愛がってもらってるもの。お互い親孝行が出来るわね?」
ロージーはにこりと笑うが
有無を言わせない態度に俺は動揺してしまった。
「……っ…ロージー、聞いてくれ。俺は好きな人がいる。誰かを喜ばせる為に結婚する訳じゃない。」
「……でも、テディ。離岸流に巻き込まれた所を助けたのは私だよね?相手が誰だか知らないけれど、お見舞いにも来なかったじゃない」
ね?と慰め労わる様に
下から俺の顔を覗き込む。
「……事情があるんだ。それに…本当にロージーが助けたのか?」
「…どういう意味?」
「そのままだ」
「…助けたわ。運良く海岸に倒れていた所を手当てしたのは私よ」
「……そうか」
「…テディ、もし相手が居るのならここに連れてきておじ様と私に会わせて欲しいわ」
相手を見ればテディを諦められるかもしれないから…とロージーは帰って行った。
♢
ーーーおじ様と私にーーか。
ーーーーはぁ…。溜息が漏れる。
出来る事なら紹介したかった。
難しいよな…
そもそも会えない。
それに話を聞いた今でも…
俺は、ロージーじゃなくシャルが助けてくれたんじゃ無いかと思っている。声を聞いた気がしたんだ。
『ーーーーテディ、目を開けて』って。
気が付けば、シャルとの思い出の場所に来てしまう。
「…重症だな」
仕事も残っているのに何をやってんだか…
戻ろう…とくるりと踵を返すと
微かに何かが聞こえた。
〜〜〜〜♪〜♪〜
耳を澄ますと歌が聞こえる。
……これは聞き覚えがある。
彼女の、シャルの歌だ。
聞こえる方に全力で走る
行かないでくれ、そこに居てくれ、頼む!
「ーーーっシャル!!!?」
どちらのシャーロットか分かりやすくする為に
少し変更しました。