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2話


「嫌よ」


「記憶が無いんだろ?もう一度、届け出が無いかー」


「嫌よ」


目の前が真っ暗に染まってふわふわと海に漂った様な感覚の後、気付いたらここだった。

三日が経ったらしい。


ふかふかのベッドに広い部屋

淡いブルーを占める部屋が私は気に入っていたのに…今、追い出されようとしているのかしら



「警察に行こう、君を探している人がいるかもしれない」


「居ないわ」


そう、だって普通はすぐに探すわよ

三日寝ていても何も無かったんだもの

私には誰もいないと思うの。

探しても虚しいだけよ。


そらならーーー


「…ここで働いたら駄目かしら?」


「…はぁ?」


「教えてくれたらなんでもするわ!」




部屋でお茶を注ぎ入れながら考える。

この一週間はあっという間だった。

珍しい物ばかりだった物も随分と慣れたわ

え?私って一体どこで住んでたのよ。


「お疲れ様、最初はどうなる事かと思ったけど頑張ってんな」


目の前にはエドワードが笑ってる。

私を踏んだ男。

そして、ここ家の息子で私を雇ってくれた

お人好し。私だったら絶対雇わないわ。



「いつまでもお皿やカップを割る訳にはいかないもの!猛特訓したわ!」



「ぶッ…それ、威張って言うことか」


お茶を飲もうとしていたエドワードが吐き出しそうになった。


数え切れない程、割ったのよ…

ツルッと滑ってガッシャーンよ。

でも誰も怒らないの、優しいわ…


「頑張ったんだもの。いいでしょ?」


「ああ、そうだな。……これでも使え」


そう言うとエドワードは立ち上がり

私の頭をクシャクシャと撫で

手の上に容器を置いた。


「…これはーー」


クリーム…

ここで働き出してから手荒れが気になり出していた。


それを気づいて?

あ、あんまり見られたく無かったのに…

そっと手を隠す。


……ちょっと、ドキドキしたとか

嬉しいとか…な、ないんだからね!


きっと記憶前の私は男性と余り関わりが無かったんだわ…こんな事くらいで動揺するなんて

決して、決してエドワードだからではないわ!

 



「あ、ありがとう…嬉しいわ…」



本当に…


……本当、良い人よね





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