1話
耳に波の心地よい音が入り
暖かい風が身体を撫でた
サラサラとした砂は気持ちよく
空も薄暗い
ぼんやりした意識の中
このままもう一度寝てしまおうかと
考えていると
「ーーーうぐっッ!!!?」
腹部に経験した事の衝撃が走ったと同時に
えっ?と誰かの声が聞こえた気がした
ーーうぐぅぅうぁああ…
な…に…っ…………なん…なの一体!?
涙が出てお腹を抱え蹲る
余りの痛さに沸々と怒りが増す
「……っ……うぅ…」
「大丈夫か!?ごめ…」
その痛みの原因を作った奴だろう男が慌てふためきながら声を掛けてくる
なーにが大丈夫か!?よ!!!
平気な訳が無いじゃない!!!!
凄く痛かった!いや!今も物凄く痛い!!!
「大丈夫じゃ無いわよ!!見てわからない!?」
そもそもこの男は私に何をしたの!?
思いっきり男を睨むと
男は言いづらそうに目を逸らしたが
「ごめん、そんな所に人が寝てるなんて思わなくて…その、踏んで…悪かった」
踏んだーー?
踏んだですって!?
「あんた、私を誰だとーーーー」
思って、るの?
「…誰なんだよ?」
「うっさい!黙ってて!今思い出すから!!」
そんな筈ない。覚えて無いなんて…
きっと余りの痛みで全部飛んだんだわ!
私は…
私はシャーロットよ!そうよ!
シャーロットって名前で…
あとは…あとは…?他に…何か
何も思い出せず思わず息が荒くなる
思い出そうとする程
頭がまわらず気持ちが悪いーーー
「お、おい!?」
身体もふらつき足に力を込めるが
いうことをきいてくれない
なんて…最悪な、日なのかしら…
男の声を最後に
段々と意識が遠のいていった