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プロローグ
「私を人間にして頂戴!!!」
海の底の光が届かない静かな場所に
不似合いな声が響く
ローブを深く被った男は相手の少女を
見つめて言った
「人間に…?恋でもしたかな?御嬢さん」
「えぇ!そうよ!この尾鰭じゃ困るのよ」
男は溜息を吐きながら首を振る
少女は何よ?悪い?とでも言いたそうだ
「覚悟はあるのかい?」
男が呆れるのも無理もない
少女以外にも人間に恋をして海を去った
人魚が居たのだ
しかし成就した者は居なかった
男が言う条件は
一、記憶を消す
二、一ヶ月以内に愛し合う事
三、出来なければ泡になって消える
この条件が厳しくて諦める者も少なくは無い
さて、どうする?そう男が少女に尋ねる
「それでいいわ!」
少女は迷いも無く答えた