side ディエゴ
これはソールと会うちょっと前の話です。見ても見なくても本編には響かないようにします。
「あぁ!チクショウ!」
男の苛立ちが声になって出てきた。
「まぁまぁ、落ち着きましょうよ。」
大きな盾を構えた男がディエゴをなだめている。
「だから、熊狼の討伐なんてやめていつも通り角兎を狩って入ればよかったのよ。」
女はディエゴに文句を言っている。
「そんなこと言ったって、こっちの方が報酬が良かったから仕方ないだろ!それに、お前もこっちの方がいいとか言ってたじゃねーかよ!」
「そんなこと・・・そんなこと覚えていないわよ!」
「それよりも少し暗くなってきたから、帰りましょう。」
「たく、しょうがねーな!お前らが、遅いから暗くなっちまたんだぞ!」
終始怒りをあらわにしながら、男たちは帰っていった。
ミルディア王国に帰ると、門の前に大勢の列ができていた。
「おい、この列はどうなってんだ。」
近くにいた、兵士が答えた。
「はい10分程前に、問題がありまして。ある商人が運んでいた荷物の中に、この王国では禁止されている物がありまして。そのせいで、このような事態になってしまい。すみませんが、並んで待ってください。」
「そんなん知ったこっちゃねーよ!早く入れろ!」
「やめろくださいよ、僕たちの印象が悪くなっちゃいますよ。」
冒険者というものは、自営業のような物で、印象が悪ければ、指名依頼が少なくなってしまい、稼ぎが少なくなってしまうのだ。
「わかったよ、後ろに並ぶよ、それでいいんだろ。」
列の1番後ろに並ぼうとしたら、目の前にガキがいた。
(このガキの前に並べば、早く門に行けるな)
もちろん早く入れるとは、思っていたが、1人分でどうこうなるものではない。おそらく今日、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすために、行ったことなのかもしれない。
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