第74話、初めての脅威
食事をしていたせいで話を半分聞いておらず、実際はどうなのか少し自信が無かった。
だから後でガライドに確認を取り、やっぱり魔獣退治に行くらしい。
魔獣に関しても倒したら私の自由にして良いらしい。なら全部食べてしまおう。
そして翌日の朝、朝食を取った後にお迎えが来た。
古代魔道具使いの女性が、戦った時に近い恰好で。
これが彼女の戦う時の服装、という事なのかな。
「では、行きましょうか。先ずはギルドに」
リーディドさんがそう告げて、私と彼女はその後ろをついて行く。
とはいえ三人だけじゃなくて、ガンさんとキャスさん、リズさんも付いて来るみたいだけど。
後エシャルネさんも付いて来るらしい。私の闘う所を見たいんだって。
「はぁあ・・・とうとうお姉さまが戦う姿を見られるのですね・・・!」
「いえ、私はやりませんよ。確実に私の手に負える相手じゃなさそうですし」
「えぇ!? そ、そんな・・・!」
「いや、流石にそこは解っていて下さいよ・・・」
という感じだったから、本当はリーディッドさんの戦う所を見たかったみたいだけど。
ただリーディッドさんは後ろから手助けする人だから、そういう意味では今も戦いの様な。
今も私の為に戦う場を作ってくれて、だから私は闘いに行ける。
そんな感じで皆でギルドに向かい、中に入ると受付の人達が私達に目を向けた。
するとその内の一人が慌てて奥の部屋に走って行き、その間に私達は受付へと向かう。
ただその短い間に、大きなギルマスさんが出て来た事で必要無くなったけれど。
元々リーディッドさんはギルマスさんを呼ぶ為に受付に向かったみたいだし。
「あっらー! まさかまさか、領主様がこんなに早く対応してくれるなんて! それに昨日のお嬢ちゃんも! もしかしてお二人で退治に向かってくれるのかしら!」
「そういう事になりますね。なので手続きをお願いします」
「手続き? 何の事かしら?」
ギルマスさんが手を頬に当てて首を傾げると、リーディッドさんの目が細まった。
「この件は私達が受ける事になっています。ですが私達は傭兵。仕事でないと言うのであれば受けませんよ。勿論『お嬢様』もその予定です。何なら領主に確認を取っても構いません」
「あっらー、こわーい。冗談よ冗談。ちゃーんとやるわよー」
「そうですか。それは失礼を」
『・・・ああ、成程。領主に陳情したのだから報酬は要らないだろうと言い、それならこの件は無しだと返されたと。絶対冗談じゃなかっただろう、この男』
どうなんだろう。私にはその判別は付かない。
でも今ちゃんと手続きをやってくれてるみたいだし、それで良いんじゃないかな。
リーディッドさんもちょっと怒ったみたいだったけど、もう怒ってない訳だし。
「やっぱ私あのギルマス嫌いー」
「うんうん、キャスさんや、気持ちは解るが少し黙ってような」
「ガン、うざい」
「ストレートに酷い事言うなよ・・・」
ただやっぱりキャスさんは彼の事が嫌いな様だ。
ガンさんも嫌い、なのかな。気持ちは解るって言ってるし。
「いやぁー、楽しみねぇ。未知の古代魔道具の使い手の戦いが見られるなんて」
『良く言う・・・私もこの男は余り好きになれんな』
そうして手続きが済むと、何故かギルマスさんも一緒に付いて来ることになった。
最初リーディッドさんは断ったけど、見届ける必要があるから譲れないと言い張って。
領主に陳情するってよっぽどの事なのだから、きっちり終わらせてくれないと困るからと。
報酬を出す以上は傭兵の仕事なのだし、ギルマスの意向には従うべきじゃないかとも。
その話し合いのせいか、キャスさんの機嫌は更に悪くなり、ガライドもちょっと機嫌悪い。
正反対にギルマスさんはとても楽し気で、私はどうしたら良いのか少し困っている。
このまま戦って良いのかな。皆が嫌そうならやらない方が良いんじゃないかな。
「グロリアさん、お気になさらず。普段通り、魔獣を倒して下さい」
「は、はい。わかり、ました・・・!」
困っている私に気が付いたのか、リーディッドさんが頭を撫でてくれた。
それにホッとしつつ歩を進めると、少し変な臭いを感じた。臭いで目が痛くなる気がする。
皆も同じなのか、ハンカチで鼻を塞いだり、目をこすったりしていた。
「すっげぇ臭い・・・つか目に来る・・・!」
「ね、ねえこれ大丈夫? 本当にここ毒の範囲じゃないの?」
「一応この距離なら毒素は無いみたいですね。臭いで気持ち悪くなる人は多そうですが」
『凄まじい臭気成分が漂っているが、確かに毒素は無いな』
この臭いは毒じゃないらしい。でも凄い臭い。
始めて嗅ぐ臭いだ。こんなに辛いと思った臭いは初めてだ。
「これも被害の一つなのよねー。毒は無いけど吐きそうになる臭いなのよ。家屋がある辺りまで臭いが届いてるし、衣服にも臭いが付いちゃうから大変なのよね」
ギルマスさんがハンカチで鼻を覆いながらそう説明をした。
服にも付いちゃうのか。それは辛い気がする。
エシャルネさんとお姉さんもちょっと辛そう。
リズさんだけは何時も通りのすました顔だ。凄い。
私はさっきから辛くて顔を顰めてしまっているのに。
『グロリアが見た事無い程にくしゃっとした顔をしている・・・流石の君もこの臭気は辛いか』
・・・どうしよう、何時も通り近付いて殴るつもりだったけど、ちょっと辛い。




