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閑話、事前の書簡

「・・・なんだ、これは」


 馬鹿娘から届いた書簡に目を通し、思わずそんな言葉が漏れた。

 書かれている内容自体は一見平凡に見えるが、これは暗号文の類だ。

 一般人が見ても解らない、一定の人間にしか通じない物。


 その内容は迂闊には口に出来ない物だった。

 少なくとも誰が聞いているか解らない今は絶対に。


 馬鹿娘が魔獣領で暴れたので取り押さえ、魔道具も抑えていると。

 それだけならばまだ良いが、古代魔道具を使えない様にしたと書いている。

 嘘だと思うのであれば構わないが、直接馬鹿娘を連れて文句を言いに来ると。


 更に言えば、その魔道具を『例の娘』が使える様になっているとまで。


「やってくれる・・・」


 明らかにこの内容は、馬鹿娘が書いた物ではない。

 日付を見た所、出発と同時に出していると思った方が良いな。

 今から何かしらの準備をしても間に合わん。もっともそれが狙いであろうが。


 まさか我が家の女系にのみ扱える魔道具を、他国の者が扱えたとは。

 それも『別の古代魔道具』の使い手が。

 我が家の目の上のたんこぶになりかねない、と思っていた存在だ。


 特に、魔獣領の領主が抱えている、という点が面倒くさい。

 あそこの領主は何故か知らんが、代々貴族らしい欲というものが無さ過ぎる。

 権力争いに参加せず、淡々と義務を果たし、だがその役割故に誰も咎めない。


 当たり前だ。あんな物騒な領地など、誰が治めたいと言い出すものか。

 奴の事を気に入らないと排斥したとして、自分に役目が回って来たらどうする。

 土地的に旨味が在れば別だが、魔獣の素材以外に何も無い土地など。


 無論魔獣の素材は物によっては金になるが、それは同時に危険も高くなる。

 兵士を指し向ける訳には当然いかんし、今時の傭兵共はそんな危険をおかすまい。

 だからこそ余計に邪魔だ。あの『古代魔道具使い』は邪魔でしかない。


 高品質な魔獣の素材を、当然の様に回収し続ける人間が突然現れた。

 ソレは発言力が無い故に放置出来た田舎貴族を、いずれ価値ある貴族に変える。

 故に『殺す』か『引き込む』かの二択だったのだが・・・。


「あの馬鹿娘めが・・・!」


 確かに邪魔になるし、二人目の『古代魔道具使い』が居る事で価値が下がるとは言った。

 だがまさか私の判断より先に殺しに行くとは誰が思う。

 しかも成功したのならばともかく、大失敗などという言葉では終わらせられない結果だ。


 どうせなら殺されてくれれば良いものを、生きて帰って来るなど以ての外だ。

 古代魔道具の使えないクソガキなど何の価値も無い。死ぬ方がよっぽど使い道がある。

 せめて監視を付けられれば別だったが、あの馬鹿娘はその辺りだけは聡いからな・・・。


「要求は察するに・・・後ろ盾になれ、という事であろうな」


 古代魔道具の娘を欲しがるものは数多く居るだろう。

 だが所持しているのは『まだ』価値の無い貴族だ。

 たとえ問題が起きたとしても、狙った側に痛手はほぼ無いだろう。


 そんな事が続くのは、狙われる側にとっては当然望ましい事では無い。

 どこかの馬鹿娘が手段を択ばず、という事も起こりえる訳だからな。

 ならばどうすれば良いか。簡単だ。下手を打てば家が潰れる危機感を与えれば良い。


 つまり『襲撃の件も魔道具の件も黙っておくから従え』という脅しだろう。


「・・・さて、どうするかな」


 うてる手段は余りに少ない。今から暗殺も無意味だろう。

 そもそもあの馬鹿娘は腐っても古代魔道具使いだった。

 幾人かの暗殺者を自力で撃退して、その度に穴だらけに変えて来た。


 それを正面から倒す人間に、下手な暗殺者を差し向けてどうにかなるものか。

 時間をかけた、あらゆる手段を模索した上での暗殺、でなければ不可能だろう。


「少々、道化を演じるとするか・・・」


 馬鹿娘が。本当に、死んでいれば良かったものを・・・。

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