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第48話、対端末戦

「・・・ん」


 力が抜けて行く。さっきまで張っていた感覚が無くなって行く。

 すると紅い光がゆっくりと消えていき、何時もの黒い腕に戻った。

 多分男達が捕まって、気持ちが落ち着いたからだと思う。


「・・・お腹、空いた」


 そして落ち着くと空腹を感じて来た。きっといっぱい魔力を使ったからだろう。

 明日は森に行く予定はなかったけど、予定を変えた方が良いかもしれない。

 とはいえ闘技場に居た頃の眩暈の感覚は無いし、急ぐ必要は無いと思う。

 何て考えていると、ギルドの職員さんが私を囲んで来た。


「グロリアちゃん、怪我はない?」

「ったく、この子は・・・何で一人で相手にしようとするかな」

「アンタこんな所普段来ないだろう。わざと人気のない所に入ったね?」

「危ない事にわざと突っ込んでいくのは、お姉さん感心しないなぁ」

『しまった。それはそうか。彼女達は怒るだろうな・・・どうしたものか』


 みんなは私を心配する言葉を口にした後、少し怒る様な気配を見せた。

 笑顔なのに怖い人もいて、ガライドも私も狼狽えてしまう。

 どうしよう、怒らせてしまった。ううん。心配、させて、しまった。


「・・・ごめん、なさい」


 その事にしょぼんと落ち込み、とにかく謝罪を口にする。

 すると職員さん達は私の頭を撫で、ぎゅっと抱きしめて来た。

 びっくりして顔を上げると、皆さっきの怒った様子が消えている。


「グロリアちゃんの事だから、何か理由があったのよね?」

「えっと・・・その・・・」

「ん、怒らないから、もう怒ってないから、お姉さんに教えてくれる?」

「はい・・・」


 戸惑いながら職員さんの言葉に頷き、ここまでの行動の理由を伝えた。

 男達に気が付いた時の事、ガライドとの相談、そして子供達への危険。

 逃がせないと、逃がしたくないと、そう思った気持ちを。


「そっか、だからグロリアちゃん、あんなに険しい顔してたのね」

「道理で迫力あると思った。でも理由が可愛い」

「一人で突っ走ったのは良くないけど、気持ちは解るわ。うんうん」


 理由を聞いた職員さん達は、私の行動に納得してくれたらしい。

 その事にホッとして、肩の力が抜けた。何処で怒られるかずっと不安だった。

 けどそんな私を見て怒りを覚えたのか、一人の職員さんが厳しい顔をする。


「グロリアちゃん。理由は解った。けど次からはちゃんと大人を頼りなさい。相手が魔獣なら、貴女はきっと問題無いのかもしれない。だって正面から戦えば良いだけなんだから。けど相手が人間の場合、そうはいかない時が有るの。今回は運が良かっただけって、そう覚えておいて」


 そして告げられた言葉は厳しい声音で、けれど何故か優しさを感じた。

 きっとこれは『注意』なんだと思う。リーディッドさんが良くしてくれるやつだ。

 私が帝国に居た頃に受けた『注意』とは違って、次は上手くやる為の指示。


「はい、ごめん、なさい。次は、きをつけ、ます」

「うん、良い子ね」


 職員さんは私に返事を聞くと、ニコッと笑って頭を撫でてくれた。

 他の職員さん達も私を抱きしめたり、頬を知り寄せたりと何時も通り暖かい。

 皆が凄く優しくて、安心して笑みが漏れ――――――。


「っ!?」


 ぞくりと、悪寒が走った。今まで感じた事の無い嫌な感じ。

 手足が震えて来る様な怖さ。逃げ出したくなる様な怖さ。

 その感覚が体を勝手に動かし、原因を視認した。遠くの丘に居る何かを。


 力が、大きな力が、見えた。青く光る力が、凄まじい力が。

 アレは駄目だ。あんなのに当たったら、ここに居る人は誰も耐えられない。

 防御の為に赤い光・・・駄目だ、間に合わない。凄い速さで迫って来てる。


 防ぐ為には最短で打たないともう防御出来ない。

 けどそうすると、職員さんが私の力で吹き飛んでしまう。

 私はあの紅い光を、そんなに細かく動かせない。でも何もしなかったら職員さんが死ぬ。

 怪我させるかもしれないけど突き飛ばすしか―――――――。













『シールド展開』










「うおおお!?」

「きゃあ!?」

「な、なんだ!?」


 放たれた青い光が弾かれ、人の居ない所に落ちて行く。

 みんな驚いて狼狽えているけれど、多分一人もけが人は出ていない。

 だって私の視界に『人的被害無し』と文字が出ているから。


 皆を守ったのは、突然現れた紅い盾。大きな紅い盾。

 さっきまで丸かったはずのガライドが、一瞬で盾の形になって攻撃を防いだ。

 そして両手両足と同じ様に、紅く光って更に大きな盾を作り出している、


『対変異獣決戦兵器所有者ノ明確ナ敵対行動ヲ確認』

「ガラ、イド?」


 初めて聞く声だ。何時ものガライドとは違う、とても平坦な声音。

 それに何だかひび割れた様な音で、どうしたのか不安になった。


『対決戦兵器モードニ移行。クラッキング開始・・・システム掌握マデノ予測時間64秒・・・セキリュティノ起動ヲ確認。再計算・・・掌握前ニ攻撃準備ヲ確認。迎撃ノ必要有リ』

「ガ、ガライド、どうしたんですか!?」


 ガライドの様子がおかしい。明らかに何時ものガライドじゃない。

 慌てて駆け寄ると、突然右腕から何か変な音が聞こえて来た。

 バキン、ギッ、ガシャン、って、不思議な音。


 思わず視線を落とすと、右腕が変な形になっていた。

 手の先が無い。いや違う、折れている。

 そして折れた腕から筒の様な物が飛び出て、紅く光り始めた。


「ぐっ、がぁああ・・・・!」


 力が溢れて来る。けど何か、何時もと何か違う。

 抑えが、利かない。私の意志が完全に無視されている。

 強制的に紅く光らさせられている・・・!


『エネルギー充填完了、セット』

「っ!?」


 腕が勝手に動いて、ガライドの盾にガシャンとくっついた。

 盾を支えにする様にして、筒がその上にがっちり固定されている。

 そして光が、筒に集まる。力がドンドン一点に集中して行く・・・!


『ターゲットロック・・・発射』

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