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第47話、魔道具持ち

『魔道具持ち? 魔道具使いとは違うのか・・・?』


 ガライドが今呟いた疑問を、私も同じ様に持って首を傾げる。

 あの男の手に有る物は間違い無く魔道具のはず。

 ガンさんの魔道具を見た時と同じモノを感じるから間違い無い。


 ただガンさんは『魔道具使い』と呼ばれ、けれど男は『魔道具持ち』と言われた。


 そう発言したギルマスさんは、ニヤッと笑って武器を構えている。

 初めて会った時に持っているのを見た大剣。

 その剣を片手で突き出し、反対の手は『来い』と言う様に指をちょいちょいと動かした。


『グロリア、ギルマスは自信がある様だ。ここは任せよう』

「・・・わかり、ました」


 本当は心配だけれど、ガライドの指示に従って踏み込みかけた足を戻す。

 実際ギルマスさんは笑顔だし、きっと大丈夫なんだとは思う。

 思うけど、やっぱり、少し、心配。


「ぐっ・・・!」


 男は攻撃をせず。鞭をだらんと下げて動かない。

 忌々しそうな顔をしながら、私とギルマスさんを警戒する様に視界に収めている。


「なんだよ。おら、来いよ。それとも魔力が切れかけてんのか?」


 そんな男をまた挑発する様に、ギルマスさんは更に足を踏み出した。

 男はそれに怯んだのか、じりじりと下がっていく。

 勿論私の方にじゃなく、誰にも居ない方にゆっくりと。


「そっちは部下が構えてるぜ?」


 ギルマスさんの言葉通り、男の動く方向にはギルドのお姉さん達が居る。

 けど男が魔道具を持っている以上、あの人達が立っている事の方が危ないと思う。


「くそっ!」


 そう思っていると男は一番人が少ない方向に走り出し、他の男達もそれに追従し出した。

 けれどその速度は遅い。魔道具を持ってるはずなのに、魔道具を使う気配がない。

 何故だろうかと一瞬考えたけれど、そんな思考は無駄だと斬り捨てる。


「にが――――」

「逃がすかよ!」

『早い・・・!』


 けれど私よりも早く、ギルマスさんが駆けだし大剣を振り下ろした。

 まるでそちらに逃げる事を予測していた様に、男が動くのとほぼ同時だったと思う。


「っ!」


 剣の軌道上に居た男は何とか飛びのいて躱し、けど着地出来ずに地面に倒れる。

 そして起き上がろうとするもどこか痛めたらしく、痛そうに顔を歪めて動きが止まった。

 おかしい。魔道具を使っているにしては弱過ぎる。余りに動きが鈍い。


「はっ、何してんだよ。ほら、起き上がらねえと斬られちまうぞ」

「ぐ、くそっ!」


 ギルマスさんは追撃を入れずに剣を肩に乗せ、男が立ち上がるのを待っている。

 男は痛そうに表情を歪めながら立ち上がり、次の瞬間魔道具が光るのが見えた。


「トカゲがっ、舐めんなっ!」

「ほっ、とっ、当たんねぇなぁ」

『魔獣と戦っている所を見た時は力押しが目立ったが・・・鮮やかな動きだな。男の攻撃が遅いのも理由だろうが、それでも危なげない動きは見事と言うほかない』


 男が振るった鞭を、ギルマスは容易く躱している。

 ただ最初の一撃でも思ったけど、男の攻撃はすさまじく遅い。


 ガンさんが魔道具を使った時は、明らかに本人の速度も上がっていた。

 アレは警戒をしてないと躱せなかったと思う。けれど男の攻撃にそんな気配は無い。

 その証拠とでも言う様に、ギルマスさんは軽々と躱して行く。


 けど威力は確かなもので、地面を打てば地面がえぐれている。

 木に当たれば当然の様に切り倒しているし、当たれば危険な事は間違いない。

 それでもギルマスさんは余裕の表情で、むしろ笑顔で対応している。


「威力は在るなぁ。当たんなきゃ意味ねえけどな。まあ『魔道具持ち』じゃこれが限界か」

『・・・ふむ、掴めて来たぞ。魔道具使いと魔道具持ちか。成程な』


 何かを納得したようなガライドの言葉が気になり、彼らを視界に収めながら首を傾げる。


『おそらくだが、魔道具使いとは魔道具の力を完全に引き出せる者の事を指し、魔道具持ちとは魔道具の力の一部を発動出来るだけの者を指す、という意味ではないだろうか。あの男は魔道具の力を十全に発揮する事は出来ず、だからギルマスはあの様に余裕なのだと思う』


 そう説明をされて、納得出来る覚えがあった。ガンさんとこの男には違いがある。

 ガンさんの時は『光剣』が怖かったけど『ガンさん』も怖かった。

 けど男の場合『鞭』は怖いけど、男の事は一切怖くない。

 これならギルマスさんへの心配は必要無いのかな。


「くそっ、なんで、何で掠りもしねぇ!」

「そりゃそうだろ、折角の鞭なのに使い方が雑だし―――――」


 ギルマスさんはそう言いながら、素早く踏み込んで大剣を振るった。

 ただし剣を横向にしているからか、そこまで早くない剣速だと思う。

 けれど男はギルマスさんの剣を躱せず、剣に腕を弾かれ鞭を落としてしまった。


「ぐあっ!?」

「―――――遅いんだよ」


 手を離れた鞭からは嫌な感じが消え、飛んで行った鞭は職員さんが即座に取りに行った。

 男は腕を抑えて蹲り、仲間の男達は動けずにギルマスさんを凝視している。


「ったく、魔道具を見せればビビると思うなよ。おい、お前等、こいつらを捕らえろ!」

「うぅ・・・くそぉ・・・」


 そうしてギルマスさんの指示で皆が動き出し、男達は太いロープで縛られていった。


『・・・さて、これでどう判断するか』

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