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閑話、見習いの怒り

「許可出したものの、マジで森の中自由に動いてんだな。良くあんな見通しが悪い上に、何処から魔獣が来るか解んねぇ森の中に突っ込めるもんだ。森を反対側から抜けて来た事を考えれば当然なのか? 正直心配なんだが、迷わず帰って来てるし何も言えねえんだよなぁ」


 ギルマスはグロリアが魔獣の森で戦っている事を知り、感心した様子で言っていた。

 単純な戦闘技術だけじゃない、生存能力の高さが無いと無理な事だと。

 ただ相手を打ち倒す力だけでは、あの森で自由に魔獣を狩るなんて出来ないだろうと。


「それにそれに、素材はどれもこれも良い感じですよー。お肉が無いのは仕方ないとして、毛皮も牙も爪も骨も外殻も殴った所以外ほぼ傷なしですよ。全部一撃で仕留めてますねこれは。まあどれも歯型が付いてるのはご愛敬ですが、その辺りは削ってしまえば解らないでしょう」


 グロリアが持って来た素材を調べ、受付の連中は手放しでほめていた。

 魔獣相手にここまで綺麗に素材を持って来る事は中々できないと。

 そもそも有用な物をきっちり持って来ている辺り、よく人の話を聞いて周りを見ていると。


「彼女は気配の察知と言うか、敵の接近に敏感な様です。この間の仕事で害獣駆除をやった際、彼女が全部見つけてしまったぐらいですし。アレが出来るなら後は接近して仕留めるだけでしょう。単純な戦闘能力以外も規格外で驚くばかりです、先輩の面子が立ちませんねー」


 グロリアの面倒を見ているリーディッドは、基本的に面倒を見る必要が無いと褒める。

 多少常識や連携意識が足りないが、そこが埋まればこの街の誰よりも優秀な傭兵だろうと。

 人の悪い所を上げてチクチク言う女が、殆ど問題を上げなかった。


「なあリーディッド、この間グロリア嬢ちゃんの訓練見かけたんだが、すげえなあれ。訓練って言うか殆ど実戦じゃん。相手してる兵士って確かギルマスと勝負出来るぐらい強い奴だろ。傍から見てても剣筋が見えない時あんのに、あの嬢ちゃん普通に弾いてたぞ」


 偶々グロリアの訓練を見る機会が有った傭兵が、奴の動きに感心していた。

 ただ単に力の強さだけじゃない。型は感じないが動きに無駄がないと。

 実戦で積み上げられた確かな実力を感じる動きだったと。


「お前あの時怪我してて下がってたから見てないんだっけ。魔獣相手の時はマジで凄かったぞ。魔獣が踏み込むより速く踏み込んで、一撃で頭吹き飛ばしたからな。背後から襲い掛かって来た魔獣相手でも一切動じずに対処してたし、後ろに目でもついてんじゃねえか?」


 冗談交じりに、けれど確かなグロリアの傭兵としての評価を、ギルドの傭兵が口にした。

 傭兵とは名ばかりの何でも屋ではなく、本物の傭兵としての力を持つ人間だと。

 もし今が戦時だったら英雄と呼ばれていたんじゃないかと。


「グロリアってすげえよな。あんな小さいのにすげえ力持ちだし」

「走るの、すっごい早い・・・負けない自信あったのに・・・!」

「雰囲気は大人しいけど、動くと割と荒っぽいよねー。でも綺麗に見えるから不思議」

「私はこの馬鹿に一度も怒らないのが一番凄いと思う」

「「「「「確かに!」」」」」

「お前らなぁ!」


 街のガキ共は既にグロリアを街の住人と見て、大人達も奴を完全に認めている。

 ガンが連れて回っているのも原因の一つだ。あれでアイツは街中で顔が利く。

 あの野郎が連れて回っているというだけで、街の連中は警戒が薄れる。


 グロリア、グロリア、グロリア、グロリア。


 もう街のどこに行っても、どこかしらで奴の名前を聞く様になった。

 田舎の街だというのも理由だろう。森の魔獣以外は刺激の少ない街には大きな出来事だ。

 だが誰もがアイツを褒めやがる。誰一人として奴の事を否定しない。


「何が、何が『紅蓮のグロリア』だ・・・!」


 最近傭兵達や街の連中が口にする渾名。紅蓮のグロリア。

 とても目立つ紅い髪と、日の光の中でも輝く様な紅い目。

 何時も紅いドレスを身に纏い、紅い手袋と靴下に靴という紅尽くしの姿。


 その姿で鮮やかに魔獣を狩る様子にそんな名前で呼び出し、誰もが賛辞を述べる。

 もう誰もが、街の誰もが、奴を一人前の傭兵と認めている。


「ざっけんな・・・! あんなもん、魔道具を持ってるからじゃねえか・・・!」


 怒りのあまり壁を叩く。周囲の視線が集まるが知った事か。

 腹の虫がおさまらない。あんなズルで一人前なんてあって良い訳がねぇ。

 それにそんなズルでも一人前に扱われるなら・・・!


「俺だって・・・俺だって魔道具さえあれば・・・!」

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