森の知恵の竜(ドラゴン)
改行が多いところで視点の切り替わりになります。
我が人の世に染まって長い。人里の近くで過ごし人からの恩恵を預かる。その代わりに訪れた者の話し相手になる。嬉しい事に月に数人は我に知恵を借りに来る。
今日も少女がその内に悩みを抱えてやってきた様だ。
「…此処が知恵の竜の住まいなの?」
知恵の竜の住うという森に入ると意外にも整備された道があり、洞窟に住んでいるのかと思えば綺麗な庭付きの家に着いた。
「失礼しま…え?!」
「ようこそ悩める人の子よ。そこに座るといい。今お茶を出そう」
その姿は人間の子どもの姿をしていた。
「驚いたか?ドラゴンにとって偽る姿に意味はない。故に怖がられることの少ないこの姿が会話するのに都合がいい。さあお飲み」
「それで?どんな話を持ってきたのだ」
「恥ずかしい話ですが男性とのことで相談が…」
「それは同性の者に頼むべきでは?我は一応雄なのだが」
「相談ができないのです。どうかお知恵をお貸し下さい!」
頭を下げ強く閉じた瞼の奥から涙が溢れてくる。
お茶を飲む音がする。何時間もこうしている気分だ。
「それで?何が問題なのだ」
「私と彼の身分の差です」
「身分か。面倒なものよな」
無理だろうか?
「まあ何処の世も単純な方法があるではないか」
「それは?」
「力を示す事じゃよ。誰からも認められる力を示せば周りは何も言えまい。どう思っておってもな」
「力を示す…出来るでしょうか」
「簡単なことではない。しかしそれで諦めるならそれもよかろう。どちらの道も自分で選んだ道じゃ。誰かに言われた道ではなく、な?」
確かにそうだ。簡単ではないが諦めたくないなら出来ることをやる。それでいいのだ。
「よい顔じゃな」
「ありがとうございました。確かに単純ですが我儘になる事を忘れていました。これはお礼です」
「なに我は話を聞いて思った事を言ったにすぎんよ。それでは息災で」
こうしてはいられない。急いで街に戻って私にできる事を考えなければ。
慌ただしい少女だ。結局お茶は手をつけて貰えなかった。話も色恋沙汰とはなんとも言えない助言になっただろうか?迷いの無くなった目をしていたので大丈夫だとは思うが。
心配しても仕方がないか。貰ったお金で明日は久しぶりに人里で酒にありつくとしよう。
半年後。我の暮らす国で初の女王が誕生したと聞いたが珍しい事もあるものだ。
1500字ぐらいから減らしていったのでちょっと薄味になりましたが、楽しんでもらえたら幸いです。




