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【コミカライズ&書籍化】空の乙女と光の王子(旧題:私、悪役令嬢だったようです)  作者: 冬野月子


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45 ローゼリア

「———大丈夫か、ミナ」

誰かが背後からミナの身体を支えていた。


「…殿下…」

その声の主に気づき、振り返るとアルフォンスが立っていた。

「これは一体…何があった?」


見ると、二人の前にローゼリアが倒れていた。



「これは、以前問題を起こしていた娘だな」

「…はい…」

「魔物と似た気配を感じたので来てみたら、この娘が黒いものに覆われていた。何があった?」

「…それが…声をかけられて…私がいなければと…」

「何だと?」


アルフォンスはローゼリアに近づいた。


「…今はあの気配を感じないな」

「先ほどの光で消えたのでしょうか…」

「だが…何故この娘に光魔法の効果があった?あれは魔物にしか効かないはずだ」


「…う…」

ローゼリアが身じろいだ。


「…あ…れ」

身体を起こすと不思議そうに周囲を見渡し、その視線がミナを捉えた。

「あんた…何したのよ!」

「それはこちらが聞きたい」

ようやくアルフォンスの存在に気づいたローゼリアは目を見開いた。


「え、殿下…」

「お前は何者だ」

アルフォンスはローゼリアに詰め寄った。

「ミナに何をしようとしていた」


「え…私…」

動揺し目を泳がせたローゼリアがミナを見ると、またその目を険しくさせた。


「…ほらそうやって!どうしてあんたがアルフォンス様に庇われるのよ!」

「何…?」

「ヒロインは私なのに!もういやこんな世界!」

叫ぶとローゼリアは身を翻して駆け出した。


「おい…!」

アルフォンスは追いかけようとしたが、すぐに足を止めてミナへ向いた。




「ミナ…大丈夫か」

「あ…はい…っ」

頷き、顔を上げるとすぐ目の前にアルフォンスの顔があり、ミナは思わずのけ反りそうになった。


「本当に大丈夫か」

「は、はい」


(顔が近いってば!)


心配そうにさらに近づこうとするアルフォンスから逃れようとするより早く、アルフォンスの手がミナの背中へと回った。


「良かった」


(え…)


温かなものに包み込まれ———ミナはアルフォンスに抱きしめられた事に気付いた。


(えぇ?!な、何で?!)


驚きと、苦しくはないけれどしっかり抱きしめられているせいで身動きができない。



「…明日、教会に行くのだろう」

ミナを抱きしめたままアルフォンスが言った。


「え、あ…はい」

「私も行くから、あの娘の事も聞いてみよう」

「…はい…」




「———ところでミナ」

困惑しながら頷いたミナの耳元でアルフォンスの声が響いた。

「君は随分と、エドモントと親しくなったようだな」


「…え?」

「今日の実技の後も二人で話し込んでいたが、君達はそんなに仲が良かったのか」

どこか不機嫌そうな声でアルフォンスは言った。

「え、ええと…」


「ミナ。先日父上が言っていた婚約の事だが、前向きに考えようと思っている」


「え…」

アルフォンスの言葉に、ミナは何とか顔だけを上げた。

「———婚約者などいらないと、今も思っているが。君を他の者に取られたくないとも思っている」

顔を上げたミナを見つめてアルフォンスは言った。


「こんな感情を抱いたのは初めてだ」

「…殿下…」

「呪いの件が落ち着いたら…いや、それまで待たない方がいいのか。いつ君を誰に取られるか分からないからな」

ミナを見つめる目を細めてアルフォンスはそう言った。

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