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インターミッション 新たな地へ

「なぜだカウガール どうしてツナを食べない」

「不味いじゃん それに気持ち悪いから好きじゃない」

「なんて事を! ツナはこの世で一番美味い食べ物だ」

「食イ物で喧嘩スンなよ コの炭素生物どモめ」


 リベルタとZERO-NEMOは、マルティニ社の空港内のレストランに居た。

 上品な木製テーブルの上に所狭しとデジタル精製された料理が並んでいる。リベルタが適当に「ここから、ここまで」注文したものだ。

 ZERO-NEMOは街には戻らずリベルタと同行することになった。

 二人は街を救った英雄ではあったが、ZERO-NEMOは犯罪者であり賞金のかかったお尋ね者だ。

 いかに株主でもウィリアムでも、それを帳消しにすることはできない。

 そこでリベルタはZERO-NEMOを()()することにした訳だ。

 捕まえたお尋ね者を何処に突き出すかは、逮捕者の裁量次第だから、これは特に問題のない行為だ。

 問題があったとしても、強行手段を使うだけだが。


「株主ってのはすごいな! 傷も治してくれたし、これいくら食べてもタダだって!」


 ZERO-NEMOとの戦いで斬り飛ばされた左手の指は、マルティニの医療技術によって、元通りに復元されていた。

 再生技術は義指よりも高価だが、株主特権で容易に受けることが出来た。株式企業国家にとって株と金はすなわち絶対権力なのだ。


「で、どこか行くあてとかあるの? タタラ社ってどこに会社あんの?」

「ワタシはタタラ社とは直接の関係がない 我々の祖先は、ずっと昔にタタラに解雇され、ワタシはその子孫だからだ」

「あそこから出たこともないんでしょー? お尋ね者じゃハンターには成れないし…… まぁなんか上手くやってよ あんたくらいの腕があるなら大丈夫だよ」

「ああ」


「そういえばなんか、そのスーツいつの間にか直ってる? それ自己修復するやつなんだ いくらすんの?」

「タタラ社が四年前に発売したハイエンドモデルだ 手にいれるのに苦労した」

「コりゃ高級品ダナ まぁ俺の方ガ高価なんダけど」

「なにそのアピール」


「所でそのスーツずっと着っぱなしなの? 顔くらい見せてよ」

「断る」

「なんで!? あたしは見たい!」

「ワタシは見せたくない 以上だ」

「あー恩人に向かってそれ? どんだけ恩知らずなの?」

「なんと言われても断る 絶対だ」

「ケチ!」


「オイちょっト、リベルタ 緊急通信ガ入っテルぞ」

「んもー一体今度は何!?」


<<----こらちはサミュエ---- 現在---Firearm--- ---ダレル---- すぐ救---- 全ての------>>


「待ってサミュエル社!?今サミュエルって聞こえた?」

「聞こエた! ああ、俺ハ何てバカなンだ! ダレルの奴らガ暴れテるって事ハ、向こウにモ行くっテ何で想像でキなイ!」

「コードウェルおじさんが危ない! 助けにいこう!」

「知り合いが居るような口ぶりだな すぐに出発するのか、カウガール?」

「もちろん!」


 リベルタはテーブルの上に残っていたシーフードサラダとステーキ肉とパンをいっぺんにかき込んだ。

 食材の内容についてはここでは説明を省いておこう。


「そうか、ではワタシも行こう」

「え、ほんとに?」

「ワタシは冗談は言わない」


 リベルタは頬を緩め、ZERO-NEMOに拳を差し出し頷いてみせた。ZERO-NEMOも少し遅れていかにも難儀そうにそれに応えて拳を付き合わせた。


「意外とあれだよね 律儀だよねあんた」

「……」





 説明しておくと、コードウェルおじさんはサミュエル社の今の社長。あたしとは血の繋がりがあるわけじゃないけど、勝手におじさんって呼んでるの。

 サミュエル社はもう何百年も続いてる老舗の銃メーカーで、世界で一番の銃と世界一のバーボンを作ってる。

 パパはサミュエル社の銃の大ファンで、サミュエル社の人達とは家族同然。ちなみにグリップ君もサミュエル社の製品なんだ。


 おじさんは…… ああちょっとまぁあんまりイケてない…… 

 前はもう少しマシだったんだけど、コードウェルおじさんのお父さん、つまり前の社長が病気で死んでからは引きこもりになっちゃったの。

 まぁそれでもパパの友達だし、あそこは故郷みたいなものだし、助けにいかないとね。

 それじゃぁ出発!

tips1 サミュエル社 コルト製造会社の創業者、サミュエル・コルトより

tips2 コードウェル コードウェル・ハート・コルトより

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