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異世界に生まれて  作者: ガラス片
3/4

生きる


 どうも、生後一週間の、赤ちゃんです。


 え、一週間も何してたかって?

 そりゃ寝てたよ。ぐっすりと。

 今は意識がハッキリしてきたところ。



 生後一週間にして、色々と分かったことがある。


 まず一つ目。どうやら男の子らしい。催した時に、ね。見てしまったんだ。あれを。


 二つ目。親に見棄てられたらしい。なんか、黒髪黒目が珍しいそうな。私―いや、もう俺、か。俺を通して悪魔を見たらしい。所謂『忌み子』だってさ。

 まぁそんな状態だから、下手に俺を刺激すると何が起こるかわからん、ということで。

 捨てられること、殺されることはなかったけれど、育児は放棄するみたいだ。


 んで、なんでこんなにピンピンしているかってことなんだけども。今俺は侍女さんに育ててもらっている。

 なんでもこの侍女さん、つい最近お子さんが産まれたんだけど、死産だったそうで。

 生まれてきた俺と、かつての我が子が重なったらしい。そうしたら、いてもたってもいられずに、『私が育てます。』と進言して、今に至ったそうだ。

 意識が朦朧としている時だったけど、そう語りかけてくれたことを覚えている。


 何はともあれ、彼女が育ててくれなかったら今ここに俺はいないから。

 本当に、感謝してもしきれない。


 それから、名前もつけてくれたんだ。

 『カナリリア』

 ―それが、俺の名前。


 ん?それ女の名前じゃないか、って?

 そうだよ。カナリリアは女の子の名前。

 俺に女の子の名前がついたのには、理由がある。


 あれはいつだったかな。あー、そうそう、確か生後五日くらいの時。侍女さん―マリーという―が、俺を庭に連れていこうとしてくれた時のことだった。

 なんと、部屋から出た瞬間に、女の子になった。いや、まじで。

 バチッって音がして、俺はビックリしすぎて漏らした。マリーも驚いたらしくて、その場で俺のおしめを変えようとした。テンパりすぎた。


 おしめを外すとあら不思議。

 男児として、そこにあるべきものが、なかったのだ。



 マリーは呪いだとか何とか言ってたけど、まぁそういう体質なんだと思っている。



 そんなこんなあって、両親は俺の性別なんて確認してなかったし、部屋以外じゃ女の子になるし。じゃあもう女の子として育てた方が良いだろう、とマリーが判断したから、俺は女の子の名前になった。


 あ、俺がそこそこ大きくなったらだけど、マリーはちゃんと俺に全てを話すつもりだったみたいだ。


 そして三つ目。異世界転生した。


 俺がここを異世界だと断定した理由、その一。

 文字が違う。強いて言えばアルファベットに近いけど、文法とかがまったく違う。

 その二。人の身にはありえない色彩。

 なんだよ深緑色の髪って。ワカメかよ。

 その三。魔素と呼ばれる極小の粒子。

 一気にファンタジーになったね。この世界にはあって当然の物。空気中に漂っている。魔法もあるよ。マリーが使ってた。


 転生っていうのは、本当にそのまんまの意味。

 前の人生―前世で死んで、こっちで生まれたからだ。ちなみに華の女子高生だったんだぞう。交通事故で死んだんだけど。

 心残りは色々とあるけれど、今となってはもうどうしようもないから、俺は俺の人生を生きていくつもりだけどね。



 まぁ色々とすべきことはあるんだけれど、今はまだ、マリーとの生活を楽しみたい、と思ってる。

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