最終話 未来の二人
~2110年6月19日~
「なんで6月に結婚式挙げたがるんだろうな」
「ジューンブライドだろ、ヨーロッパの方ではちょうど乾季と重なるから晴れの日が多いらしいぞ。日本は梅雨だから真逆の天気だがな」
「あはは、そうだな。でも今日は珍しくカラッと晴天だな」
「そりゃ、空もあの二人の事を祝ってるって事だろ」
「そういう事か」
「そういう事だよ」
~控室~
10年前の7月17日、40年近く続いた連合国と革命国の冷戦状態が平和条約締結によって終結し、世界には平和な日々が戻った。
「新婦様の準備が整いました」
「はい、今行きます」
そして今日、1組のカップルが夫婦になろうとしていた。
ガチャ、ドアが音を立てながら開いたと思うと、純白のドレスに身を包んだ花嫁が部屋と入ってきた。
「それでは、5分ほど私たちは失礼させていただきます」
そう言い残すとスタッフたちはそそくさと退室していった。
「ど、どうかな…」
「あぁ、そうだな…」
「やっぱり私が着たらだめだったかな…」
「綺麗だぞ。とっても」
「ほっ、ホントに?」
「何で嘘つく必要があるんだよ」
「た、貴君もカッコいいよ!」
「お、おう」
コンコン「失礼する」
最初の来客は父さんだった。
「貴文、優芽さん結婚おめでとう」
「ありがとうございますお義父さん」
「ありがとう」
「貴文、お前の覚悟は学生時代から幾度となく聞いてきたから大丈夫だと思うが、必ず優芽さんを守るんだぞ」
「はい」
「優芽さん、こんなバカ息子を選んでくれて本当にありがとう。よろしく頼む」
「こっ、こちらこそ」
「もうあなた!空気を重くしないの!」
「母さん…」
「貴文、優芽さんおめでとう。優芽さんこんな出来の悪い息子だけどよろしくね」
「はい!」
「俺の評価低すぎじゃないですか…」
コンコン「貴文くん、優芽いいかい?」
「どうぞ」
次の来客は優芽の親父さんとお袋さんだった。
「あっ、山本司令官、ご婦人も本日はよろしくお願いします」
「西郷統括学園長とご婦人も娘さんを私たちに預けてくださり、感謝してもしきれません」
「また後程ゆっくりと」
「はい、それでは私たちは失礼します」
「さて、貴文くん、優芽、結婚おめでとう。貴文君、優芽を選んでくれてありがとう」
「親父さん、頭を上げてください。こちらこそ優芽を預けてくださりありがとうございます」
「貴文君だからよ、あなたならきっと優芽を幸せにしてくれる」
「お袋さん…」
「優芽も、しっかり幸せになるのよ」
「お父さん、お母さん…」
「まぁ寂れた話はこのくらいにして、そろそろ時間だろうに、準備の邪魔して悪かったね」
「二人とも、またあとで式場でね」
「なんだか、本当に結婚するんだって、改めて実感しちゃったよ」
「俺もだよ」
「さぁ、そろそろ時間だよ!頑張ろうね!」
~チャペル~
「新婦入場」
「ねぇ、お父さん」
「どうした?」
「バージンロードにはどういう意味があるか知ってる?」
「あぁ、知ってるさ。新婦が生まれてからこれまでに歩んできた道を表している、そうだろ?」
「流石お父さん」
「優芽の人生にはいつも貴文君がいたね」
「そうだね…」
「彼なら大丈夫さ。優芽が選んだ人だ、きっと優芽を幸せにしてくれる。私はそう思うよ」
私は真っすぐにバージンロードを見た。目の前には貴君がいる。いつもそばには貴君がいてくれる。
「貴文君、娘をよろしく頼むよ」
「必ず幸せにしてみせます」
「優芽、幸せになりなさい」
「はい」
「新郎山本貴文は夫として、新婦西郷優芽を、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「新婦西郷優芽は妻として、新郎山本貴文を、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
END
まずはじめに、最終話までお付き合いくださった読者の皆様、本当にありがとうござました。
私の初執筆作品である絶海学園を本日無事に書き終え、完結させることができたことをとても嬉しく思います。
さて、最終話「未来の二人」を執筆する際、娘や息子が結婚し、親元を離れていく、そんな親の気持ちはこんなものなのかな、とこれもまでの話を思い出し、感慨深いものがありました。
今後は改定版として手を加えたもの中で貴文や優芽の成長を見守っていただければと思います。
また今後は時間に余裕ができましたら週更新作品を別に執筆し始めたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。




