第五十話 文月の奪還作戦(後編)
~2100年7月14日 8:35 革命国内農場~
俺は母屋のドアを勢いよく開けた。1階には誰もいないようだ。急いで階段で2階に駆け上がった。思い出せば3か月前も階段を駆け上がったな…。でもあの時は優芽の手を掴めなかった。あれから自分を責め付けた。
2階に着くと個室のドアを片っ端から開けて回った。違う。違う。違う…。どれだけ開けても優芽の姿はない。最後の部屋のドアに手をかけた。部屋の中には…
誰もいなかった。でもなんだか懐かしい感じがした。優芽の暖かさを感じた。でも姿は見えない。どうしてなんだ…。
「貴くんなら私のこと絶対見つけてくれるよね?」
幼い頃かくれんぼする度に優芽は冗談ぽく笑いながら俺に言ってきた。そうか…
俺はクローゼットに手をかけた。きっと君ならこうする。だって俺を信じてくれる、そう言ってくれたから。
クローゼットを開けると俺は後ろに倒れた。中から何かが飛び出してきたからだ。あっ…懐かしい。俺が守りたかったものはこれだ…
「優芽…迎えにきたぞ」
「た…貴くん…うわぁーん」
優芽は俺に抱き着いたまま大泣きを始めた。
「貴君なら絶対に…絶対に迎えに来てくれると思ってたよ」
「ごめんな。遅くなった」
「本当だよ!もうー遅っいんだから!」
「あぁー?助けてもらってそれか?」
「あ…あははは!」
「ふっ、ふふふふ」
「なんで笑うの貴くん」
「だってお前泣きながら怒るんだもん。おかしいだろ」
「もう…!」
「そうだ優芽、お前に言わなくちゃな」
「へっ?」
「優芽お誕生日おめでとう」
「えっ?今日7月14日?うわぁー本当だ…もうそんなに経ってたんだね…」
「自分で分かってなかったのかよ。もっと喜んでくれると思ったのにな」
「えっ?喜んでるけどな…貴君こっち向いて」
「んっ?何だ…」
えっ…優芽の顔が近い…俺は自分の守りたかったものを守れたみたいだな。
「どう…?私の喜び伝わった?」
「じゃあ俺の気持ちも」
「へっ?ちょっと待って…」
もう一度唇を重ねた。俺が守らなくちゃいけないものはこれなんだな
「い…今のキスは?」
「優芽…頼りないけど、付き合ってくれ」
「えっ…きゅ、急だなー」
「やっぱ俺じゃ駄目か」
「そ…そんな訳ないじゃん。不束者ですがお願いします」
「お前に似合わずお堅いな」
「こういう私はお嫌いで?」
「どんな優芽も受け入れる所存ですよ」
「あはは!よーし、NPOCに帰ろ!」
「その前に優芽、もう一度約束しておくよ。俺はお前の事を命に代えても守る…ていっても一回約束破っちゃたけどな…」
「そんなことないよ、だって貴君はこうして助けに来てくれたでしょ。約束守ってくれてるよ」
「優芽…」
「さぁさぁ帰るよー!」
「私も貴君に一生ついていくよ」
「ん?何か言ったか?」
「何も言ってないよー」
第五十一話に続く
優芽お誕生日おめでとう…なんか恋したいです




