第三十四話 決断(後編)
~2100年7月14日 3:30 NPOC非常事態対策本部~
会議室前方のスクリーンに映し出されたのはログを改ざんしている東の姿だった。
「東、これでも証拠を出せと言えるのか?」
「言えるさ、だってこれが本当の映像かどうかわからないじゃないか。もしかすると君が私を落とし入れるためにフェイク動画を作って流している可能性だってあるだろう?」
ここまできてまだ言い訳するか…。どうすればこのクズを屈服させられるか…。
「そうだな…。悪かったよ、俺がフェイク動画を作ったのは認めさせてくれ…」
「あはははははははははは!ははははははははは!そうか…そうかそうか、そうだよな、だって出てくるはずないもんな俺が証拠なんて、あははははははははははは!」
「貴文君…君は誠実な少年だと思っていたのに残念だよ…」
「どうして…どうして出てこないって確信できたんだ…東、参考までに聞かせてくれ…」
「あはははははははははは!だってさだって俺消しといたから絶対に出てくるわけないだろ!あははははははははははは…ははは?」
「とうとうぼろを出したか東、誰が消したって?」
「いや…その…これは言葉のあやというか…でも俺がやった証拠は結局ないんだろ?だったら俺は無罪だ」
「そうだな。この動画がフェイク動画だったら無罪だな。でも消されたはずの動画だったらどうだ?」
「どういうことだ…」
「確かにお前は監視カメラの映像をきれいさっぱり消してたよ。ご丁寧にあの時間の職員アクセスログまで全部な。でもこれが監視カメラ以外の映像だったらどうだ?」
「なん…だと…」
「お前は知らないだろうな。教えてやるよあの日、4月8日何があったか教えてやるよ」
時は3か月戻り4月8日…NPOCがサイバー攻撃を受けたあの日に遡る。
~4月8日 21:00 NPOCシステム管理部~
私はNPOCで起きている異変の元凶を特定していた。ログは【000212010203】、生徒名:一ノ瀬明衣、私はシステム管理部長としての権力を徹底的に行使することにした。なぜならこの状況は私にとって非常に好都合だからだ。23:00から緊急会議が入った。今回の一件についての対策会議であることは容易に検討が付く。今回NPOCで起こっていることはあってはならないシステム異常だ。きっと統括学園長は明朝にでも本土に報告に行くだろう。そして今回のシステム異常が全てではないだろう。一ノ瀬明衣は必ずサイバー攻撃を仕掛けてくる。であれば非常事態宣言が宣言され非常事態対策本部が発足する。でも統括学園長は本土にいる。となれば非常事態対策本部長は今回の一件に深くかかわることになるシステム管理部長つまり私になる。このNPOCでは非常事態対策本部長になれば統括学園長と同等の権力が得られるという仕組みがある。これはNPOCが抱える秘密UG3を保護するため早急に対策を講じる必要があるとき全権限を有する統括学園長がいないとなれば対策に大きな遅れを取ることになる可能性を考慮したものだ。これを有すればあの西郷を蹴落とすことだってできるだろう。
「部長、今回の異常についてログを早急に確認する必要があるのでは?あとセキュリティーシステムの移行も検討されては?」
「そうだな…ログは私で確認するみんなはセキュリティーシステムをβに移行してくれ」
「ですがログの確認は膨大な量です。部長一人では…」
「いいから早くやれ!これは上司の命令だぞ?聞けないのか」
「わ…分かりました」
私は部下が席に戻ったのを確認すると一ノ瀬明衣の個人情報ページとアクセスログを全消去したのだった…。
第三十五話に続く




