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絶海学園  作者: 浜 タカシ
第二章 文月の奪還作戦
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第二十三話 RGH

~2100年7月12日 NPOC UG3 システム管理課~

「それで山本管理官、西郷さんについてどのようなことが分かったのですか?」

「あぁ、やはり皆の予想通り捕らえられているのは革命国南西部のある施設であることが分かった」

ある施設…。俺は一抹の不安を覚えた。強制収容所や人体実験施設など残酷な施設の名前が俺の脳裏を次々と横切って行った。

「西郷優芽が収容されているのは革命国のある農場だ。調べによると国の直接管理下にある農場のようだが強制収容所などではなくあくまで乳牛等を飼育・生産するごく一般的な農場のようだ」

「優芽は農場で何をさせられているんだ?」

「報告によると農場の老夫婦の養子として引き取られ農場の手伝いをしている。ということだ」

「そうか…。じゃあ優芽はひとまず無事なんだな?」

「そういうことになるな。ただ一つだけ問題がある」

「何ですか?山本管理官らしくないですが…」

「農場の位置が革命国軍総司令部、通称RGHの南西に3kmだ。RGHは貴文でも聞いたことがあるだろう」

革命国軍総司令部。確か英語表記では『Revolutionary country General Headquarters』だったか…。RGHはいわば革命国軍の心臓。防衛体制も並大抵のものではないだろう。

「RGHの防衛システムは一昨年の時点で半径2.5km圏内に接近する航空機や地上走行用軍用機などを感知すると自動防衛システムが作動し防衛を行う。RGHの防衛は質より量と言われている。ものすごい数の銃弾やミサイルが降り注いでくると考えた方がよいだろう」

「山本管理官、今半径2.5km圏内は自動防衛システムの作動範囲とおっしゃいませんでしたか。確か農場はRGHから3km離れているはず…。なんら問題ないのでは?」

「東、俺も最初はそう思った。でも父さんが言った言葉をもう一度思い出してみろ」

「確か…あっ!」

「東部長も気づきましたか。そうこの情報は一昨年のもの。4月のサイバー攻撃からも分かるように革命国軍の技術は格段に進歩してきている。さらにここ数年の進歩は目まぐるしいものだ。だとしたらこの範囲も2.5kmよりも広くなっていると考えるのが妥当だろう」

だったら農場もこの範囲に含まれている可能性が高い…。どうすれば安全に優芽を助け出せるのか…。

「革命国は情報技術もかなり発達させている。やはり4月のサイバー攻撃がよい例だろう」

サイバー攻撃…。たしかあれはスパイが内部から行ったものだったはず…。待てよ…。

「父さん!一つだけ方法があるかもしれない」

「ほう…。聞かせてみろ貴文」

「NPOCがされたみたいに俺たちもRGHにサイバー攻撃を仕掛けるんだよ」

「まっ、待ってくれ山本君。確かにその発想は素晴らしいがRGHのサーバーシステムはこのNPOCに劣らないものだ。このNPOCが外部からの攻撃が無理なようにRGHも外部からのサーバー攻撃は無理だよ」

「東、一つだけお願いを聞いてもらってもいいか?」

「へっ…。いやすまない。何だいお願いって」

「4月10日の非常事態対策本部の会議議事録音声を聞かせてくれ」

俺は確かめたくなった。俺がずっと感じてきた違和感の正体を。


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