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絶海学園  作者: 浜 タカシ
第二章 文月の奪還作戦
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第二十二話 答え

~2100年7月12日 NPOC UG3 システム管理課~

貴文は小さいころから自分の考えを持たない子供だった。私や妻が言うことに律儀に従うよく言えば純粋、悪く言えば優柔不断であった。このような子どもを『良い子』と評価するのが世間一般であろう。だが私は貴文にそんな操り人形のような子供だけには育ってほしくなかった。でもどうだ、久しぶりに再会してみれば私の嫌いな操り人形になっていた。自分の意見を全く持たず、ただ世間一般的な善悪に身を任せている貴文が私のしていることを全否定しようとしたのだ。きっと貴文は自分の答えなど出せていないだろう。

コンコン。「管理官、東システム管理部長と山本貴文が到着しました」

来たか…。まぁいい。貴文のすべてを私がねじ伏せてぶち壊してやろう。

「急にお呼び立てして申し訳ない。西郷優芽の居場所が分かりましたので早急にご報告をと…」

「父さん!」

ん?なんだこの貴文の目は…。今まで一度も見たことのない、憎悪・悲観・同情など様々な負の感情に混ざって強い決意が垣間見える…そんな貴文の目を見て私は少し身構えた。

「なんだ貴文。言ったはずだよな、お前の答えを私に見せてみろと。答えが出たのか」

「あぁ、出たさ。あんたの全てをねじ伏せてぶち壊すような答えがな」

「ほう…。面白い。聞かせてみろ」

「小さいころから父さんや母さんのいう事を聞いておけば間違えはない。みんなが正しいと思うことが正しいんだ。そう思ってきたよ。実際今でも少しそう思っている自分がいる。だからこの間このUG3の秘密を聞かされた時、そんなの間違っているとも思ったし、日本を守るために仕方ないことだとも思ったよ。でもこれは俺個人の考えじゃない。世間一般的にはこんなこと間違っているだろうし、父さんが言うように日本を守るためには仕方のないことだったのかもしれない、でも俺はこんなことは考えていない。みんが間違っていると思っているから俺も間違っていると思っていただけなんだって東に気が付かせてもらえたよ。俺は誰が何と言おうと優芽を助けに行って、優芽を守る。世界中が敵に回ってもこれだけは揺るがない。これが俺の答えだ」

ふっ…。操り人形の糸が切れたようだな。貴文がこんなことを考えていたとは知らなかった。きっと貴文も私が考えていたことを幼いながら感じとていたのだろう。誰が何と言おうと自分の想いを突き通す…。いい言葉だ。

「そうか。いいだろう。貴文、ただお前の答えを聞いただけではなんの証明にもならない。何としても西郷優芽を助けるんだな」

我ながら不器用だと思った。息子の成長を素直に喜べばいいのに何かが私と貴文の間に壁を作ってしまっている。この壁が壊れる日が来ればいいな…。

「父さんに言われなくてもそのつもりだよ」

目の前には私が知っている弱い貴文はおらず、1回りも2回りも大きく見える息子がいる。

きっとこれから貴文が歩んでいく道は山あり谷ありさらに茨の道だろう。

みんなが正しいと思うことに従えば安全は保障される。それでいい。皆がそう思うだろう。でもどうだ?本当に守りたいものがあるのに型にはまったままで守れるのか。少なくとも貴文は守れないと思った。だから自ら厳しい道を選んだのだろう。それでいい。私は息子の成長を素直に喜んであげれる父親ではない。だが陰ながら後押しはできる。息子の意思を尊重しよう。だって…


本当に守りたいものは誰もが見つけられる訳ではないのだから…。

第二十三話に続く


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