第二十話 再会
2100年7月1日 NPOC UG3 システム管理課~
「と…父さん?」
俺の目の前にいたのはこの世にいるはずのない父親だった。
〜2093年8月 東京〜
俺の家は裕福で何不自由ない暮らしをさせてもらっていた。父の仕事は詳しくは知らなかったが家を空けることが多く家族の楽しい思い出はあまりない。
俺の父は俺が小等部3年の時に亡くなった。俺が父の死を知ったのは夏休みに帰省した時、父が亡くなってから既に3ヶ月が経っていて俺は最後を見届ける事が出来なかった。
「貴文驚かないでね。お父さんがあるに亡くなったの…。貴方にも最後のお別れをさしてあげたかった。」
俺が帰省したとたん母が泣きながらそう言ったのを俺は今でも鮮明に覚えている。俺は父が亡くなったことを実感できなかった。あの頃はまだ小さかったし父が死んだと言われても分からなかった、人が死ぬってことを本当のこととして受け止められなかったというのもあるだろうが単純に父と過ごした日々が短すぎて、父がいないことが普通になっていてなんらいつもの日々と変わらない毎日が待っていることが幼ながら分かっていたのかもしれない。
~現在~
そんな父がここにいるのはどういう事なんだ?俺は理由が全く見当つかなかった。
「貴文、やはりなぜここに私がいるのかさっぱりわかっていない様子だな」
俺の中で今まで信じていた物が少しずつ崩れ始めた。
「貴文覚えているか?お前が小さいころ私は家を空けていることが多かったことを。私は防衛省の官僚だ。お前には一度も言ったことはなかっただろう。7年前、革命国が急速に力をつけ始めた。そこで当時日本本島で自衛隊の兵器の開発を監督していた私にこのNPOCへの移動が命じられたんだ。このNPOCには開園当初から地下にこの研究施設があった。だが軍事兵器の開発は日本本島で事足りていたから特に重要視されていなかったんだ。でも7年前さっきも話したように革命国の脅威が確実に迫ってきていた。だからNPOCでの軍事開発が強化されるため人員も増員されたという事だ。そして私が死んだ事になった理由を話さないといけないな。実を言うとここに今いる人間は皆、既にこの世にいないことになっているんだ」
「ど…どういうことだよ!みんな死んでることになっているって。意味が分からないよ父さん」
「そうか…この研究施設は連合国軍の要なんだ。それは貴文も分かるな」
「あぁ…わざわざ研究拠点を日本本島からここに移したんだ。きっと日本本島で研究開発すれば革命国側に感づかれ戦況が危うくなるんだろうなってことは分かるよ」
「貴文の言う通り日本本島で研究してしまえば革命国はあっという間に研究開発に感づいてしまい連合国側の手の内が相手にすべて知られてしまう。だからこそこの絶海に浮かぶ人工島で研究開発する必要があるんだよ」
「でもそれとみんなが死んでることになっているのはどう繋がってるんだよ!」
「まだ分からないか…連合国軍の要ともいえる兵器開発をする者は革命国側にしてみれば非常に邪魔な存在だ。誰が開発に関わっているか分かってしまえばその者や家族に危険が及ぶ可能性がある。だから死んだ事にして誰にも危険が及ばないようにしている。そういうことだ」
父のいう事は正論だと思う。でも俺はやり方が間違っている。そう感じた。
「父さんが言ってることも分かる。ただ、俺はやり方が間違っていると思う」
「ほう、あの弱かったお前からそんな言葉が聞けるとはな…。貴文、そこまで言うならお前の正解を俺に見せてみろ」
第二十一話に続く




