第十二話 電子ロックとログ
~2100年4月9日 14:00 NPOC US1層 学生寮~
俺と優芽は作戦会議をするため俺の部屋へと移動した。
「貴君。どうするの?」
確かにどうすればいいか分からない。
「優芽はどうするのがいいと思うんだ」
「もう!質問に質問で返さないでよ」
と言いながら優芽は考え出した。優芽が考え事をするときは考える人の像みたいになる。
「でも、手当たり次第に探しもだめだよね…」
「そうだろうな。優芽の言う通り手当たり次第に探すには対象者が多すぎる。どうにかして絞り込めればいいんだけどな」
結局息詰まってしまったのだった。
~4月9日 14:15 システム管理課~
私は対策会議から戻り自分の机で作業をしていた。
「部長、大変です」
部下の一人が大きな声で私を呼んだ。急に大きな声を出したものだからびっくりしてしまった。
「どうした急に大声なんか出して。何かわかったのか」
「はい。建物に設置してある電子ロックのアクセスログを確認していたら、今日は閉鎖されていて入れないはずのSS層高等部のロックが解除された形跡を発見しました」
これは大発見だ。閉鎖されているSS層にわざわざ侵入し電子ロックを解除した者だ。きっとスパイに違いない。
「それで誰が電子ロックを解除していたんだ」
「それがなぜか個人情報が登録されていないんです。でも高等部の生徒が着用している腕時計のログですからきっと高等部の生徒の誰かでしょう」
「ちょっと貸してくれ」
全システムがダウンしているとはいえ個人情報ページは彼らのサーバーにバックアップが取ってあるはずだ。見れないはずはない。私は山本君の個人情報ページを開いた。彼の個人情報は見れる。
「えっ、これって…」
私は彼の家族構成を見て驚いた。
~4月9日 15:00 NPOC司令部 個人執務室~
俺と優芽は東から呼び出しを受けもう一度執務室に戻ってきていた。
「いやぁー二人とも何度もすまないね」
「いえ大丈夫です。ところで東さん、至急伝えたいことって何ですか?」
「あぁ、それがだね…。先ほどシステム管理課の方で今日閉鎖されている高等部の校舎の電子ロックにアクセスしたログが発見されたんだ」
閉鎖されているはずの高等部に忍び込んだという事だ。きっとスパイに違いない。
「それはスパイってことですよね」
流石に優芽も気づいたようだ。東に質問している。
「そうだね。私たちはこれがスパイによるアクセスとみているんだ。あともう一つログから分かったことがあってね、このアクセスした人間は高等部の生徒のようなんだ」
「でも東。そこまで分かっているんだったらどこの誰かも既にわかってるんじゃないか?」
俺は東に質問した。この学校の生徒情報はすべて個人情報ページで管理されているはずだ。
「私たちも確認したんだがどいうわけか個人情報がないんだよ。でも他の生徒の者はあるんだ。そして個人情報ページは今回のシステムダウンの影響は受けていない。だからおかしいんだよ」
「個人情報が消えちゃうってことはあるんですか?」
「いやそれはないよ。でも確か何人かの新入生の個人情報は今日システムがダウンした時にアップロードしていた…」
という事は正常にデータがサーバーにアップロードされていない可能性があるという事だ。
「でも個人情報は幼等部に入学するときに入力するから高等部は関係ないけどな」
「結局手掛かりが無くなっちゃった…」
優芽の言う通り振出しに戻ってしまった。
第十三話に続く




