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絶海学園  作者: 浜 タカシ
第一章 国立太平洋学園の潜伏者
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第八話 休憩

~2100年4月9日 11:20 NPOC非常事態対策本部~

対策会議は10分ほどで終わった。会議が終わるや否や会議室から足早に出ていく人、打ち合わせを続けている人、様々だ。

俺たちがこの対策本部のメンバーに選ばれたのは生徒の中にいる可能性の高いスパイを日常の学園生活を送りながら探し出すためだった。

「貴君。ほんとにこのお願い受けるの?」

隣に座っている優芽が俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。

「あぁ、そうだな…」

俺も正直迷っていた。スパイということは敵国の人間だ。下手に事に関わると危険な目に遭遇するかもしれない。最悪命の保証もないといったところか。

「山本くん、西郷さん時間大丈夫かな。案内しないといけないところがもう一か所あるから案内したいんだ」

いつの間にか俺と優芽の後ろに立っていた東がしゃべりかけてきた。

「どこに行くんですか?」

優芽が東に質問した。

「対策本部のメンバーには司令部内に執務室が与られるんだ。そこに案内したくてね」

執務室か。なんだかいい響きだ。

「わかりました」

そう言いながら立ち上がった俺につられるように優芽も立ちあがった。


~4月9日 11:20 首相官邸~

先ほどNPOC上空にアメリカ軍の戦闘機が到着し防衛を開始したという連絡がホワイトハウスから入った。これでひとまずは安心できる。

「西郷君、少し休憩しないかね」

朝の電話会談から休む間もなく関係部署に指示を出していた児玉総理が椅子に腰かけながら言った。顔にはかなり疲れの色が見える。

「総理大丈夫ですか?かなりお疲れのご様子ですが…」

私は紅茶をカップに注ぎながら聞いた。

「いやなかなか疲れたよ。クリントン大統領との会談の後は防衛大臣や文部科学大臣と会議。それに加えてショッキングなことも立て続いたからね。」

総理はここまで言うと紅茶を口に含んだ。

「統括学園長よろしいですか」

近藤が私の肩を叩いた。報告だろう、だが今回はいつも表情をほとんど出さない彼女が青ざめた顔をしている。

「どうした近藤、そんなに青ざめた顔をして」

「はい。先ほど警備課から報告がありまして、NPOC上空で防衛を行っていたアメリカ空軍の戦闘機一機が撃墜されたとのことです。幸いパイロットは非常脱出装置を使い死者はいません」

彼女の口から淡々と語られることの重大さに近藤が青ざめていたのもわかる気がした。

「そうか。NPOC事自体に何か攻撃はあったのか」

「いえそのような報告は受けておりません」

「わかった。ご苦労」

私は大きなため息をついた。目の前で総理は紅茶を美味しそうに飲んでいる。総理の束の間の休憩に間を刺すようなことはしたくないが、報告せざる負えないだろう

「どうしたんだね西郷君、大きなため息なんかついて」

「総理、実は…」

私は近藤から受けた報告を総理に話した。「パリーン」総理の手からカップが落ち割れた。

「本当なのかね西郷君。おい誰か、急いで事実確認を」

「はっ、はい」政府関係者の一人が足早に部屋を出て行った。

「でも西郷君。それが本当なら革命国は君の見立て通り私たちが想像しているよりも軍事技術を向上させていることになる。」

総理の焦りもわかる。革命国は想像よりも軍事技術を上げている。技術向上のスピードは連合国側を軽く上回っているだろう。

「もしかすると革命国は私たちが想像しているよりも脅威になりつつあるのかもしれません」。

私の中にあった不安が確信に変わった瞬間だった。


~4月9日 12:00 NPOC SS層 高等部資料室~

アメリカの戦闘機を撃ち落とすことを失敗した私は次の作戦のため資料室に来ていた。学校は閉鎖されいるので校内には誰もいない。私は電子ロックを解除した。この程度のロックはついてないも同然だ。この資料室にはSS地下水道管の地図が保管されている。どうやら何年か前の卒業生が悪さをするために書き留めておいたものらしい。

「あった」

目的の地図を見つけ私は足早に資料室を去った。ちょうどその時お昼を告げる鐘が鳴った。

第九話に続く


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