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掌に炎を  作者: 猿
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ただ好きなだけなのに

暇があれば目を閉じて、まぶたの裏に炎を思い浮かべる。

炎は熱くて恐ろしいものだが、同時に美しいと思う。


ライター、ガスバーナー、マッチ…色んな炎があるけど特に蝋燭が好きだ。

ゆらゆら揺れるあの丸い火が好きで、オレンジ色のフワッとした明るさが好きだ。


あまりに好きなものだから、よく親の目を盗んでこっそり蝋燭に灯をともした。

暗がりで見る蝋燭はすごく綺麗で、長いこと見てたらボーッとしてしまい、1度危うく一酸化炭素中毒と火事になりかけた。

10歳の時のことだ。親にはしこたま怒られた。


そんな事があったから、実家は今でも火気厳禁。

父は禁煙し、マッチもライターも処分した。

母はガスコンロをIHに切り替えた。


手の届くところから消えた火が欲しくて欲しくて…だからずっと頭で思い描いた、あの形、あの色、あの熱さ…ずっとイメージし続けた。もう癖になっている。


大学に進学し1人暮しを始めた後は夜は必ず蝋燭で過ごしていた。


火への欲求が充たされ、やっと恋愛に興味を持ったのが二十歳の頃。

アロマキャンドルが女子受けがいいと聞いて買い漁った。


だが初めてできた彼女を部屋に招いた際、玄関に並ぶキャンドルの数にドン引きされた。

慌ててアロマではなく火が好きなのだと弁解したらフラれた挙げ句、放火魔予備軍と噂になった。

それが一年前。


以来彼女はいない。


現在は就活を始めたものの、まるで手応えはなく、ストレスで予備軍から本物にならないように自分を抑えて生活している。

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