貧乏くじ
学生時代、不毛な結婚をして死別して依頼、くるもの拒まずで恋愛ーと言っていいのかわからないほど大人の関係を築いていた友人が恋をした。
相手は、俺の好きな人だった。
どんなに、声をかけても表情一つ変えない彼女があいつの姿を見たとたん、おもしろいほど表情が変わる。
仕事で、好きになってからずっと見ていた彼女の変化。
彼女の気持ちは、まだ恋ではないかも知れない。
けれど俺は、あいつと彼女が出会った瞬間。
-勝てない
と思った。
素直に応援するほど優しくもない俺は、友人にただ彼女が絆されていくのを見るより、無理やり俺の存在を押し込んだ。
以外に押しの弱い彼女に、もっと早く強引に彼女を捕まえればよかったと思う反面、俺だけだったら押しさえ気がつかないふりをされたような気がして、余計にへこむ。
かたづけだって、料理だって好きなほうだ。
彼女が俺を選んでくれるなら、彼女を甘やかせるのに。かたづいた彼女の部屋であいつとビールを飲みながら思う。
「悪いな。」
あいつが唐突に言う。
なにが悪いのか…心当たりがありすぎる。
「いや俺にできなかったことだからいいんだ。」
そう、ここまで彼女に近づけたのは西海がいたからだ。
結末は、きっと振られる。
それでもおとなしく振られるぐらいなら、俺の思いをきっちりしって振ってほしい。
俺は彼女が好きだ。
けれど西海も幸せになってほしい。
そんな性格だなと思いながら、ビールを口にする。
苦いビールだった。
先輩主人公の話が書いてみたくなりました。シリーズ化するか、続編で書くか。現在悩んでいます。




