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酒に飲まれた恋心  作者: 月帆
本編
18/22

甘い顔、優しい顔…そして

乙女モード完了。


つっこみがはいるところが、自分のおっさんくささ。

着ちゃった。

着いちゃった。


だって予約してるのにもったいない。自分に言い訳しながら…

貧乏性。


ひさびさのワンピース、ヒールの高い靴、足がもつれそうになるほど緊張する。

「先輩、おまたせしました。」

軽く見開かれる先輩の瞳。

「きれいだね。」

これが恥ずかしげもなく言える先輩は女慣れしている。

「俺のために着飾ってくれたらうれしい。」

・・・だから誤解されるんだ。

そうして晩餐は始まる。

肉も魚もデザートもおいしい。

でも、一度一緒に食べたごはんと違うのはお酒はなしということ、しらふのまま。

「受け取ってほしい。」

店のBGMがやけに白々しい。

今気がつく、そう今の現実が直視できない。

だって指輪だーーし。

高そう。

「先輩?」

「結婚して欲しい」

相変わらずなんだ、この展開。ってか、西海も先輩も結婚簡単に考えてませんか?仮にも法律を学んだ人間じゃないんですか?

結婚手続きにはお金かかりませんけれど、離婚手続きにはお金かかるんですよ。

「先輩、先輩が思っているような人間じゃありません。だから無理です。」

言った。

そう、これが言いたかったんだ。

みんなに、これが言いたかったんだ。

「思ってる人間?」

「私は…先輩が見てるのは妄想です。」

そうなんだ。見てくれに騙されてるんだ。

「それは玲のほうじゃないの。」


一瞬凍った。

私が?


「俺が女受けしそうだから、ずっと惚れてるの言ってたのに気づかないふりをした。」


そんなことないって言えない自分がいた。

ああ、そうなんだ。


きずつくのがいやだから、先輩のこと冗談にした。

本気になりそうだったから。

だって、本当先輩、いい男なんだもん。見栄えだけの私と違って、釣り合わないって思っても当たり前じゃない。

「そうですね。」

「本当とか理想とかどうでもいいんだ。玲から目が離せない。この理由じゃダメかな。」


ダメじゃないそう、どんな理由でもダメじゃない。


「玲」

先輩の声。

「了解、乙女モード」

本音が口に出る。

「でも、きっと先輩は…いつまでも尊敬する先輩何です。」

これが答え。たぶん先輩もわかってた。


先輩はさみしそうに笑った。


甘い顔、優しい顔…やっぱり最後まで笑って優しい顔をしてくれる。

最後まで優しい人。


帰りは頭を冷やしたくて

危ないからって送ってくれる先輩を巻いて

一人で帰った。


あんな優しい人を傷つけた。


一台の車が止まる。

不審者?


西海だった。

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