滅茶苦茶でスミマセン
「玲、これなんか似合いそうだぞ。」
シフォンワンピースを差し出す兄。そんな薄い布で、丈の短いスカート、冬は寒いのに…もっと機能的なゴムのパンツにフリースのトレーナーでいいじゃないかと思うが兄は気にしない。
「これ試着しておいで。」
「兄さん、もっとカジュアルなものをお願いします。」
「店員さん、フィッティングルームお願いします。」
相変わらず無視。
「ちゃんと兄さんの前では綺麗にしないと。こんな男の前だったらその程度でいいかもしれないが…。」
愛想のいい店員さんに連れられ試着。
「いいな。これ着て帰ります。着ていた服は処分してください。」
兄よ、そのジーパン楽で気に入ってるんです。
しかも服の値段、0が一個多いですよ。相変わらず……。こんなひらひら家で着れませんって。
「下着も変えたいな…ああ、君たち帰っていいよ。玲は俺が連れて帰るから。」
下着って、兄に買ってもらうのこの年でおかしくないですか。
西海と先輩に何度目かの帰れコールを言う。
「玲はお兄さんより俺といる方が楽しいみたいですよ。」
先輩、それもちょっと違います。
「下着なら俺が買いますよ。好みもあるしな、玲。」
西海、誰の好みですか。
コミュニケーションの取り方、あなた達少し間違ってないですか?
兄の携帯電話が鳴る。
「父さん、え、今から?今、玲と買い物してるんだけど……そう。わかった。」
どうやら電話の相手は父だったようだ。
兄の険しくなる顔にほっとする。これで開放だ。
あの父もたまにはいいことをする。
「玲、ごめん。ちょっと仕事が入った。一人で帰れるか?」
西海と先輩のことはがん無視。
さすがです。
「送るから大丈夫ですよ。」
「安心してください。」
西海と先輩が答える。
兄は二人を上から下まで眺める。
「玲に何かしたらただじゃ済まないからな。」
兄さん、おかしいです。
相変わらず無茶苦茶です。
「ま、またうちに来い。玲は必ず帰って来いよ。また連絡するからな。」
珍しくというか、私といる人間を初めて家に誘う。滅茶苦茶な兄は言いたいことだけいうと、さっさと背を後ろにし消えて行った。
嵐が去った。
「いい兄さんだな。」
先輩、何が?
「妹思いだな。」
滅茶ぶりしか見せていませんが西海。
ウインドウショッピングも終わり仲良く夕飯の支度を買い帰宅する。
寒いことこの上ないワンピースを着て、もちろん私の部屋へ。
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