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酒に飲まれた恋心  作者: 月帆
本編
10/22

疑り深くて何が悪い

生きる力って…そんなに絡まれたのが衝撃だったんだろうか。

もしかして今まで絡んでくる相手もいなかったとか…この大きな図体に絡もうとする勇気にあるやつは少ないか。

何というか読めない人だと西海のことを分類する。


釣れた魚は美味しかった。



魚を頬張りながら西海の横顔をこっそり見る。なんというかあんな出会いをしたためついついガードが甘くなる。

死別した奥様には気の毒だが、いい男だ。


鍛えられた身体も男くさいぐらいの男らしさも。

なぜ独身?なのか。

周りがほおって置かないだろう。

妻が忘れられないから血迷って私を…いや。責任をとりたいのか?


なんとなく釣りが終わり、海辺の散歩。

沈む夕日、海と空が一緒になる。

「すごい。」

「好きな人と見たかった。」


またこにパターンですか。

はい。


少年のようにきらめく瞳、いい年した男が気持ち悪い。

「すまない」

西海の言葉に、自分の気持ちがまた口に出ちゃったことに気がついた。

流されている自分が怖い。

このまま西海のペースにはまりそう。

西海のことなんて知らないのに…父の部下、先輩の友人、疑えば疑うだけ利用されそうな気もする。


そして、帰宅。

もちろん送り付き。


「お茶でも飲んで行きませんか?」

疑う気持ちが強くなる。初婚ではなくとも、こんないい男ほっておかないと思うから…

だから部屋に誘った。

この部屋に人をいれるのは先輩と西海だけ、親もいれたことはない。

斜め上の西海の表情を見る。

絶句してる?


表情が読めない。


あっさり西海は汚物の部屋で冷蔵庫の買い置きのペットボトルのお茶を飲み帰った。


諦めたのか、諦められたのか、よくわからない表情。西海の横顔を思い出す。これだから弁護士は嫌なんだ。

それから西海とわかれて一週間。

先輩からも西海からも連絡はなかった。


いつもの日常。

いつもの仕事。


あの出来事は…気の迷い。


忙しくしていれば、二人のことなんて思い出さない。

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