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## 番外編 「約束の場所」

## 番外編 「約束の場所」


春が過ぎて。


夏が近づいていた。


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ある日の放課後。


ルナは教室の窓から空を見ていた。


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青い。


どこまでも青い。


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「何見てるんだ?」


朔が隣に来る。


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「未来」


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「見えるのかよ」


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「ちょっとだけ」


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ルナは笑う。


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### 帰り道


いつもの道。


いつもの二人。


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でも今日は少し違う。


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ルナが妙に機嫌がいい。


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「なあ」


朔が聞く。


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「今日なんかあった?」


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ルナは少し考えてから言う。


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「秘密」


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「怪しいな」


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「怪しくない」


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絶対怪しい。


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### 到着


しばらく歩く。


そしてルナが立ち止まった。


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「着いた」


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「どこに」


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そこは小さな丘だった。


街が見渡せる場所。


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夕日が綺麗に見える。


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「いつの間にこんな場所」


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「前に見つけた」


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ルナは少し照れながら言う。


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「朔と来ようと思って」


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朔は少しだけ驚く。


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### 夕焼け


二人で並んで座る。


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風が吹く。


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街の音が遠い。


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ルナが静かに言う。


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「覚えてる?」


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「何を」


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「最初の頃」


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もちろん覚えている。


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不安定だったルナ。


消えそうだった毎日。


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世界が歪んでいた時間。


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全部。


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「覚えてる」


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ルナは頷く。


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「私ね」


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少し間を置く。


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「その頃、未来なんて無いと思ってた」


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朔は黙って聞く。


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「明日が来るかも分からなかったから」


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夕日が揺れる。


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「でも今は違う」


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ルナは笑う。


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本当に幸せそうに。


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「来年も」


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「再来年も」


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「その先も」


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「考えられる」


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### 小さな約束


朔が言う。


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「じゃあ約束するか」


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ルナが振り向く。


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「何を?」


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朔は少しだけ照れながら言う。


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「毎年ここ来る」


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沈黙。


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数秒後。


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ルナの目が大きくなる。


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「それ、ずるい」


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「なんで」


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「嬉しいから」


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朔は笑う。


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「ならいいだろ」


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ルナは何度も頷く。


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「うん」


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「絶対来る」


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### 帰り際


空には一番星が見えていた。


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ルナがぽつりと言う。


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「ねえ朔」


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「ん?」


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「ありがとう」


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「何が」


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ルナは空を見る。


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「未来をくれて」


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朔は少しだけ困った顔をする。


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「大げさだな」


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「本当だよ」


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ルナは笑う。


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そして自然に手を握る。


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もう迷わない。


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もう不安にならない。


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二人の歩幅は揃っている。


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## 番外編タイトル


**「未来は、誰かと約束した瞬間に少しだけ現実になる」**


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その夜。


ルナは日記を開いた。


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今日の日付を書く。


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そして最後に一行。


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> 来年も、この景色を一緒に見たい。


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書き終えて微笑む。


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きっと叶う。


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そう思える未来が、今は隣にあった


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