## 番外編 「熱の中だけ、素直になる人」
## 番外編 「熱の中だけ、素直になる人」
朝。
最初に違和感に気づいたのは朔だった。
ルナが起きてこない。
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「ルナ?」
返事がない。
いつもならとっくに起きている時間なのに。
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部屋をのぞくと、布団の中で丸まっているルナがいた。
「……ん」
小さく声がする。
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「おい、どうした」
朔が近づくと、ルナはゆっくり顔を出す。
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顔が赤い。
目が少し潤んでいる。
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「……なんか、暑い」
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一瞬で分かる。
風邪だ。
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### 確認
「熱あるなこれ」
朔が額に手を当てる。
「……ん」
ルナは抵抗しない。
むしろ、手に寄ってくる。
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「病院行くぞ」
「やだ」
即答。
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「やだじゃねぇ」
「朔がいるからいい」
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朔は一瞬固まる。
「意味わかんねぇこと言うな」
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でもルナはもう布団に戻る。
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### 甘えモード発動
数時間後。
薬を飲ませて、水を飲ませて、布団を整えて。
ようやく落ち着いた頃。
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ルナは朔の袖を掴んでいた。
「どこ行くの」
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「台所」
「やだ」
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朔はため息をつく。
「ずっとここにいろってか」
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ルナは小さく頷く。
「うん」
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あまりにも素直で逆に怖い。
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### 完全に崩れるルナ
戻ってくると、ルナはまだ袖を掴んでいる。
「朔」
「ん」
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「頭痛い」
「薬飲んだろ」
「効かない」
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朔は少し黙る。
「我慢しろ」
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ルナは少しだけ間を置いてから言う。
「我慢、やだ」
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いつものルナじゃない。
完全に“甘える側”になっている。
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### 降参
朔はため息をついて、隣に座る。
「ほら」
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ルナはすぐ寄ってくる。
肩にもたれる。
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「近い」
朔が言う。
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「いい」
即答。
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朔は軽く笑う。
「今日だけだぞ」
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ルナは小さく頷く。
「今日だけ」
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でも離れない。
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### 夜
少し熱が下がってきた頃。
ルナはぼんやりした声で言う。
「朔」
「ん」
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「ずっといてくれる?」
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朔は少し黙る。
「当たり前だろ」
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ルナは安心したように目を閉じる。
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「よかった」
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朔は軽く頭を撫でる。
「寝ろ」
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ルナは小さく笑う。
「朔、優しい」
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「今さら気づいたのかよ」
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ルナはそのまま眠る。
袖を握ったまま。
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## 番外編タイトル
**「熱のときだけ、ちゃんと甘えられる人がいる」**
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