--- ## 番外編 「君のための日は、少しだけ難しい」
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## 番外編 「君のための日は、少しだけ難しい」
朝。
朔の誕生日。
本人はまだ気づいていない。
目覚ましを止めて、普通に起きて、普通に歯を磨く。
いつも通りの朝。
その隣で、ルナだけが落ち着かなかった。
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「……今日か」
小さくつぶやく。
カレンダーを見て、もう一度確認する。
間違いない。
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「朔の誕生日」
声に出すと、少しだけ胸が詰まる。
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### 作戦会議
キッチン。
ルナは真剣な顔で立っている。
「まず……朝ごはん」
「それから……プレゼント」
「あと……」
そこで止まる。
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「普通って、難しい」
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ルナは少しだけ眉を下げる。
いつも朔がやっていることが、今は全部自分の番だった。
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### 朝
「おはよ」
朔がリビングに来る。
テーブルには朝ごはん。
少し焦げたトースト。
ちょっと形の悪い卵焼き。
そしてコーヒー。
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「……お前、今日どうした」
朔は少し笑う。
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ルナは少し緊張した顔で言う。
「誕生日だから」
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「覚えてたのかよ」
「うん」
即答。
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朔は少し黙ってから座る。
「ありがと」
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ルナの表情が少しだけ緩む。
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### プレゼント
食後。
ルナは小さな箱を差し出す。
「これ」
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朔は受け取る。
「開けていい?」
「うん」
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中には、小さなキーホルダー。
手作りっぽい、少し歪な形。
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「これ……作ったのか?」
「うん」
ルナは少しだけ目を逸らす。
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「うまくできなかった」
「でも、朔のこと考えて作った」
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朔は少し黙る。
そして笑う。
「十分すぎるだろ」
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ルナは小さく頷く。
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### 外出
「どこ行きたい?」
朔が聞く。
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ルナは少し考える。
「朔が行きたいところ」
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「俺の誕生日なんだけど」
「だから」
即答。
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朔はため息をつく。
「じゃあ適当に歩くか」
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ルナは嬉しそうに頷く。
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### 途中
道を歩きながら、ルナがぽつりと言う。
「ねえ朔」
「ん?」
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「誕生日って、何の日?」
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朔は少し考える。
「生まれた日」
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ルナは少し黙る。
「じゃあさ」
「うん」
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「朔が生まれてくれてよかった日?」
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朔は一瞬止まる。
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「……そういうことにしとくか」
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ルナは小さく笑う。
「じゃあ今日はいい日だね」
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### 夜
帰宅後。
ケーキは小さいものを買った。
ろうそくが一本。
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ルナが火をつける。
「願い事して」
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朔は少し考えてから言う。
「特にない」
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ルナは少しだけむくれる。
「ダメ」
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朔は笑う。
「じゃあ一個だけ」
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「何?」
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朔はルナを見る。
「お前が普通にずっと隣にいること」
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ルナは固まる。
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そして小さく笑う。
「それ、もう叶ってる」
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火を消す。
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静か。
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ルナが小さく言う。
「朔」
「ん」
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「今日、私も嬉しかった」
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朔は軽く頭を撫でる。
「そりゃよかった」
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ルナは少しだけ目を閉じる。
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「来年もやる」
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朔は即答する。
「当たり前だろ」
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## 番外編タイトル
**「君の誕生日は、僕にとっても記念日だった」**
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