1章11話 不信
扉が閉まる音が、部屋に小さく響いた。
司令官はしばらく動かなかった。
机の上に置かれた書類に視線を落としたまま、
まるで何かを測るように呼吸を整えていた。
(……見た目は兵士のはずだ。
だが、兵士“らしさ”がまるでない)
ソルの返答は落ち着きすぎていた。
記憶が曖昧だと言いながら、声は揺れない。
恐怖も焦りも、怒りもない。
(記憶障害者の反応ではない。
かといって、嘘をついているようにも見えん……
何だ、あの静けさは)
司令官は書類を一枚めくった。
ロウザ村の報告書。
戦場の調査結果。
どれも“異常”という言葉でしかまとめられない内容だった。
(死体を抱えて平然……
魔物の残骸は崩れ落ち……
生存者は一人だけ……)
淡々とした事実の羅列が、
逆に不気味さを際立たせる。
司令官は椅子にもたれ、
天井を一度だけ見上げた。
(兵士の皮を被っているが……
中身は、別の何かのようだ)
そう思ってしまう自分に、
司令官はわずかに苛立ちを覚えた。
(馬鹿げている。
だが……説明がつかん)
机の端に置かれたベルを指先で軽く叩いた。
「……医務官を呼べ。
例の男の診断を急がせろ」
声は落ち着いていたが、
その奥にはわずかな硬さがあった。
(あれを“兵士”として扱うのは危険だ。
だが、敵と決めつける材料もない……
しばらく観察するしかないか)
司令官はゆっくりと息を吐き、
書類を整え直した。
静かな部屋に、
紙の擦れる音だけが戻ってきた。
ソルって好きなゲームの強キャラでいたんですよねー めっちゃ課金した思い出が .......




